原子力局

 日米原子力一般協定によって政府が米国から購入する特殊核物質の配分要領が決定した。国産1号炉の燃料としてIAEAから購入することに決定していた天然ウランを11月20日カナダのソレル会社で引渡しを受けた。留学生報告として工業技術院地質調査所の関根良弘氏の報告書を掲載した。また昭和33年度原子力平和利用研究費補助金による原子力平和利用研究のうち日本冶金工業(株)における研究を紹介した。

特殊核物質の配分要領


 日米原子力一般協定によって、米国から次の量の研究用特殊核物質を入手できることとなった。

    233U 10g

    235U 100g

    Pu(一般用)     10g

    Pu(中性子源または箔) 250g

 これらの特殊核物質は政府が米国から購入し、研究者に貸与する方針であるが、その配分要領は臨時に設けられた特殊核物質配分検討会の検討を経て、次のとおり決定した。なおこの配分要領は11月18日の原子力委員会において了承を得ている。

特殊核物質配分要領

I 日米原子力協定により購入する特殊核物質(以下「物質」という)は需要者が提出する所定の申請書に基づいて審査の上、これを配分するものとし、その配分を受ける者は核原料物質等の規制に関する法律に基づく核燃料物質の使用の許可を得、かつ政府と賃貸借契約を結ぶことを要する。

II 本配分要領に基づく配分の実施は本年度から開始することを予定し、物質の貸与期間は個々の契約によって定められるが、長期にわたるものについては3ヵ年契約を原則とし、必要に応じて延長できるものとする。

III 物質の配分は原則として毎年1回行なうものとし第1回の分は昭和34年1月の調査を参考にして配分するものとする。ただし、フィツションチェンバーおよび中性子源の配分は別扱いとする。

IV 物質は下記の研究項目に重点的に配分するものとし、同一系統の研究については、原則として集中的に行なうものとする。なお233U、 Pu(一般用)については原研を中心として配分する。

1) 233U
 A)核物理学的研究、ことに断面積の測定
 B)核分裂過程の研究
 C)分光分析的研究

2) 235U
  235Uはできるだけ高濃縮ウランを使用する研究に限定する。
 A)核物理学的研究、ことに断面積測定
 B)核分裂過程の研究
 C)分光分析的研究
 D)フィッションチェンバー、中性子検出器の試作に配分するほか、同製品として米国から購入する必要のあるもののために235U30gを別枠として確保し、需要者の必要に応じて配分する

3) Pu(一般用)
 A)核物理学的研究
 B)核分裂過程の研究
 C)分光分析的研究
 D)ミクロ化学的研究

4) Pu(特殊用)
 A)断面積測定用箔
 B)サブクリティカルアセソプリー用中性子源
 C)小中性子源

V 配分の手順は次のとおりとする。

1)当方の調査資料(第1回分は再調査一覧表)によって、当該需要者から所定の申請書を提出させる

2)前記申請書の内容を審査し、配分案を決定する

3)決定した配分案に基づき、外務省を通じて細目協定締結の交渉を進める。

4)前項と並行して加工について米国の事情を調査する。

5)細目協定締結後需要者と物質の賃貸借契約を結ぶ。