原子力委員会
日加原子力協力協定締結さる 7月2日、オタワで正式調印 1.経 緯 日加原子力協力協定(正式には、原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とカナダ政府との間の協定)は7月2日、カナダの首都オタワにおいて正式に調印された。この協定は次期の国会において承認をうけることによって発効するものである。 日加協定の交渉への第1歩は、一昨年4月における日本政府の原子力の対外方針の決定にさかのぼる。当時、英国および米国とはできるだけ早く協定を結ぶとともに、カナダとも協定の交渉を行うことが定められた。この方針にもとづいて、日米、日英の両原子力一般協定はすでに昨年調印され、かつ国会の承認を得て発効するに至った。一方、カナダ側は一昨年4月にすでに協定の草案を送付してきていたので、これをもとにして検討を行ってきたが、本年4月にオタワにおいて細部にわたる本格的交渉を開始し、7月2日に調印することとなったのである。 2. 内 容 今回の日加原子力協定の内容は、カナダがすでにスイスおよび西独と締結した原子力協定とほぼ同様の内容のものであるが、特にわが国の要求をいれて修正されたものである。またわが国が米国および英国と結んだ原子力一般協定に比べてみても、これらの協定に示された国際的な形式がほとんどそのまま取り入れられている。 協定は別掲するとおり前文および8条から成る。 第1条は協力の範囲を示すものである。協力の範囲は特に原子力の平和利用に関連するものであり、情報設備、資材の供給、訓練、技術援助の供与を含む一般的なものである。特に注意すべきはこの協定では公開の情報のみが供給され、機密情報は全く除外されていることである。 第2条および第3条は情報、設備、資材、役務を供給ないし受領する際の条件を示すものである。 第4条は保障措置の規定である。保障措置の内容は英米両国との協定および国際原子力機関憲章に示されたものと同様である。またこの保障措置を国際原子力機関の保障機構に移譲する方法も規定されている。 第5条は協定の範囲から除外される部分を示す。主として軍事用のもの、商業的情報が除外される。 第6条は協定適用上の協議であり、第7条は定義、第8条は発効規定となっている。 なお、全体を通じてのこの協定の特色はこの協定が完全に双務的に書かれていることである。すなわち、単にカナダ側から資材などが供給される場合と全く同様の条件が日本側から供給する際に課されることになっている。 3.意 義 この協定が発効することによって日加両国間に原子力の分野における一般的協力が促進されることはいうまでもない。特にカナダは米国とならぶ世界のウランの大生産国であり、今後わが国に対して多量のウランを供給する道がひらかれることになる。わが国では、さしあたり原子燃料公社が東海製錬所において使用する6トンのウラン精鉱をカナダから購入することとなろう。 |