原子力局

 IAEAから日本が購入する金属ウランの試料採取がカナダのリレルで行われた。昭和34年度原子力平和利用研究費補助金、研究委託真の交付申請が締め切られ審査が開始された。法律では、核燃料物質の使用等に関する規則の一部改正の総理府令,規制法施行令の一部改正の政令が公布された。第1回原子炉主任技術者試験の口頭試験が7月20日に行われることとなった。また留学生報告としては関西電力の桑島謙臣氏のフランスサクレー研究所におけるものを掲載した。

IAEAから購入する金属ウランの資料採取立合について


 IAEA(国際原子力機関)から購入する約3トンの金属ウランは、カナダ政府がIAEAに無償提供したものである。この金属ウランについて、 IAEAが試料採取を行うときに日本側も立ち合えることが購入協定に定められていた。試料採取は4月27日および28日の両日にわたってソレルにおいて行われた。

 ソレルはケベック州モントリオール市の北方約45マイル、セントローレンス河に沿った人口は5万人ぐらいの小さな町である。小さな船が出入できる港と小規模な鉄鋼業が町を支えている。試料採取はソレルの町にあるソレル・スチール・インダストリーズ会社で行われた。この会社は本来鉄鋼業を主としており、 25ポンド砲の砲身、タ-ビンのブレード、各種鍛造品などを製造していたが、仕事が暇になったので、既設の2,000トン水圧プレスおよび小型圧延機を使用してウランの鍛造および圧延を始めたものである。

 日本が購入するウランはポート・ホープにあるエルドラド鉱山製錬会社の工場で製造され、ソレルの工場で鍛造されたものである。鍛造されたビレットは断面積が15センチメートル角の四角な棒で、デインゴット番号は129番, 131番および16番である。試料を採取した箇所を図に示す。


 129番および131番から採取した試料中両端の厚さ1センチメートルの試料を日本の試料とした。厚さ3-1/2インチの試料は危険係数測定のアンパイア用として封印の上エルドラド鉱山製錬会社で保管することとした。1-1/4インチ厚さの試料をさらに細分して, IAEA、カナダおよびアンパイア用の試料とした。その重量を示せば次のとおりである。



 なお、試料採取後の各ビレットの重量はそれぞれ129番が3,180ポンド、 131番は3,313ポンドであった。 16番は計量しなかったが、日本に供給されるのは3〜3.2トン(6,600〜7,040ポンド)であるから129番および131番で不足する分について16番から供給されることとなる。