原子燃料公社のパイロットプラントが運転を開始するにあたって、さきに昭和32年12月9日総理府・通商産業省令第1号として公布された核原料物質又は核燃料物質の製錬の事業に関する規則(本誌第2巻第12号57ぺ−ジ参照)の一部が、昭和34年1月22日付で改正された。この改正の主要な点は第6条の記録の保持ならびに第7条の保安に関する規定等である。


総理府・通商産業省令第1号

 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和32年法律第166号)第10条第1項、第11条、第12条第1項、第64条第1項、第65条第1項及び第3項並びに第66条第1項の規定に基き、並びに同法第3条第2項、第6条第2項、第7条、第9条第2項及び第66条第3項並びに核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律施行令(昭和32年政令第324号)第11条の規定を実施するため、核原料物質又は核燃料物質の製錬の事業に関する規則の一部を改正する命令を次のように定める。

 昭和34年1月22日

内閣総理大臣  岸  信介
通商産業大臣 高碕達之助

核原料物質又は核燃料物質の製錬の事業に関する規則の一部を改正する命令

 核原料物質又は核燃料物質の製錬の事業に関する規則(昭和32年総理府・通商産業省令第1号)の一部を次のように改正する。

 第1条第1項第一号ホ中「並びにこれらによって汚染された物」を削る。

 第4条第2項中「5通」を「6通」に改める。

 第4条の次に次の8条を加える。

 (指定の取消)

第5条 法第10条第1項に規定する総理府令、通商産業省令で定める期間は、法第3条第1項の指定を受けた後2年とする。

 (記録)

第6条 法第11条の規定による記録は、工場又は事業所ごとに、次表の上欄に掲げる事項について、それぞれ同表中欄に掲げるところに従って記録し、それぞれ同表下欄に掲げる期間これを保存して置かなければならない。


 (保安規定)

第7条 法第12条第1項の規定による保安規定は、次の各号に掲げる事項について、工場又は事業所ごとに定めるものとする。

一 製錬施設の管理を行う者の職務及び組織に関すること。
二 製錬施設の従業者に対する保安教育に関すること。
三 災害の防止上特に管理を必要とする機器の操作に関すること。
四 災害の防止上特に管理を必要とする場所の設定及びその場所に係る立入の制限、汚染の除去等に関すること。
五 放射線測定器の管理及び放射線の測定の方法に関すること。
六 製錬施設の巡視、点検及び検査並びにこれらに伴う処置に関すること。
七 核原料物質及び核燃料物質の受渡、運搬、貯蔵その他の取扱に関すること。
八 核原料物質及び核燃料物質の廃棄に関すること。
九 非常の場合にとるべき処置に関すること。
十 製錬施設に係る保安に関する記録に関すること。
十一 その他製錬施設に係る保安に関し必要な事項

2 法第12条第1項の規定による保安規定の認可を受けようとする者は、その申請書を当該工場又は事業所の所在地を管轄する通商産業局長(鉱山保安法(昭和24年法律第70号)第2条第2項の規定による鉱山の場合にあっては、その所在地を管轄する鉱山保安監督部長)を経由して、内閣総理大臣及び通商産業大臣に提出しなければならない。

3 前項の申請書の提出部数は、正本1通及び副本6通とする。

 (危険時の措置)

第8条 法第64条第1項の規定により原子燃料公社及び製錬事業者は、次の各号に掲げる応急の措置をとらなければならない。

一 製錬施設に火災が起り、又はこれらの施設に延焼するおそれがある場合には、消火又は延焼の防止に努めるとともに直ちにその旨を消防吏員に速報すること。
二 核燃料物質を他の場所に移す余裕がある場合には、必要に応じてこれを安全な場所に移し、その場所の周囲には、なわ張り、標識等を設け、かつ、見張人をつけることにより、関係者以外の者が立ち入ることを禁止すること。
三 放射線障害の発生を防止するため必要がある場合には、製錬施設の内部にいる者及び附近にいる者に避難するよう警告すること。
四 汚染が生じた場合には、すみやかにそのひろがりの防止及び除去を行うこと。
五 放射線障害を受けた者又は受けたおそれのある者がいる場合には、すみやかに救出し、避難させる等緊急の措置を講ずること。
六 その他の放射線障害を防止するために必要な措置を講ずること。

 (事業の廃止の届出)

第9条 製錬事業者がその事業を廃止したときは、法第65条第1項の規定により、その廃止の日から30日以内に次の各号に掲げる事項を記載した書類を、廃止した製錬の事業に係る工場又は事業所の所在地を管轄する通商産業局長を経由して、内閣総理大臣及び通商産業大臣に提出しなければならない。

一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
二 廃止に係る工場又は事業所の名称及び所在地
三 指定の年月日
四 廃止の年月日
五 廃止の理由

2 前項の届出に係る書類の提出部数は、正本1通及び副本6通とする。

 (解散等の届出)

第10条 製錬事業者が解散し、又は死亡した場合において、法第8条第1項又は法第9条第1項の規定による承継がなかったときは、清算人若しくは破産管財人又は相続人に代って相続財産を管理する者は、法第65条第3項の規定により、解散又は死亡の日から30日以内に、次の各号に掲げる事項を記載した書類を、製錬の事業に係る工場又は事業所の所在地を管轄する通商産業局長を経由して、内閣総理大臣及び通商産業大臣に提出しなければならない。

一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
二 解散又は死亡に係る工場又は事業所の名称及び所在地
三 解散又は死亡の年月日
四 解散の理由

2 前項の届出に係る書類の提出部数は、正本1通及び副本6通とする。

 (指定の取消等に伴う措置)

第11条 法第10条の規定により指定を取り消された製錬事業者、事業を廃止した製錬事業者又は製錬事業者が解散し、若しくは死亡した場合において、法第8条第1項若しくは法第9条第1項の規定による承継がなかったときのその清算人若しくは破産管財人若しくは相続人に代って相続財産を管理する者は、法第66条第1項の規定により、核燃料物質を譲り渡し、汚染を除去し、核燃料物質を廃棄し、及び第6条に規定する放射線管理記録を内閣総理大臣及び通商産業大臣が指定する機関に引き渡さなければならない。

2 前項に規定する措置は、指定を取り消された日、事業を廃止した日又は解散し、若しくは死亡した日から30日以内にしなければならない。

3 法第66条第3項の規定による報告は、廃止した事業に係る工場又は事業所の所在地を管轄する通商産業局長を経由して、内閣総理大臣及び通商産業大臣にしなければならない。

4 前項の報告に係る書類の提出部数は、正本1通及び副本6通とする。

 (報告の徴収)

第12条 原子燃料公社及び製錬事業者は、工場又は事業所ごとに、その製錬事業に関する別記様式による報告書を、毎年4月1日から9月30日までの期間及び10月1日からその翌年の3月31日までの期間について作成し、それぞれその年の10月31日及びその翌年の4月30日までに内閣総理大臣及び通商産業大臣に提出しなければならない。

2 原子燃料公社及び製錬事業者は、生産に重大な支障を及ぼすおそれがある製錬施設の損傷があった場合には、その旨を直ちに、その状況及びその後にとった処置を10日以内に内閣総理大臣及び通商産業大臣に報告しなければならない。

3 前2項の報告は、当該製錬事業に係る工場又は事業所の所在地を管轄する通商産業局長を経由してしなければならない。

4 第1項の報告書の提出部数は、正本1通及び副本6通とする。

 附  則

 この命令は、公布の日から施行する。

 (別記)

 様式