英国の原子力関係施設視察許可
取付に関する注意事項


 さきに米国の原子力関係施設(米国原子力委員会の管轄下にあるもの)の視察許可申請手続について紹介した(Vol.2 No.11, Vol.3, No.7等)が、今回英国の原子力関係施設の視察許可取付に関する注意事項が在連合王国大使館から外務省国際連合局を通じて通知されたので、以下に紹介し各方面の御参考に供したい。


1 英国においても米国その他におけると同様海外からの原子力関係施設視察希望者が増加の一途をたどっているので、近来その許可を制限する傾向にある。許可、不許可の決定に際しては、申請書類に記載された視察希望者の職業上の専門事項および視察目的の審査に重点が置かれ、最近視察希望者の専門が視察を予定した施設に関連が薄いと判断されたため不許可となった事例もあるので、申請に当っては漫然たる印象を先方に与えることを避けるため特に専門事項および視察目的(視察の対象のみならず視察を希望する理由を含む)を詳細かつ具体的に記載する必要がある。


2 英国の主要原子力施設のおのおのにつき最近の事情を列記すれば次のとおりである。

 1.コールダーホール発電所
 一般の視察者は従来どおり毎週土曜午前中に視察するよう定められている。原子力関係専門家は従来水曜を指定されていたが、現在ではむしろこれ以外の週日(ただし月曜を除く。したがって火、木、金)を選ぶほうが便宜である。なお、ロンドンから同発電所に赴くほとんど唯一の方法はロンドンを夜行の汽車で出発することであり、視察と往復には丸2日を予定しなければならない。(また英国の鉄道網はロンドンを中心としており方向の異なる各地間の横の連絡が一般に不便であり、2ヵ所以上の施設を視察する場合は1ヵ所を視察した後一度ロンドンに戻って出直すことが多いので、この点を視察日程を組む際に考慮する必要がある。)

 2.ハーウェル研究所およびアマーシャム研究所
 月1回または2回しか公開されない。
 ハーウェルは通常第2および第4火曜となっているが必ずしも一定していない。
 アマーシャムについては公開日は定められていない。

 3.ウィンドスケール化学処理工場、スプリングフィールド燃料工場およびドーンレー増殖炉工場
 従来政府派遣の調査団または特定の重要目的を有する者以外許可されておらず、一般の視察はきわめて困難である。

 4.バークレー、ブラッドウェル、ハンターストンおよびヒンクレーポイントの各発電所
 これらは電力公社が建設中の商業用原子力発電所であり、原子力公社の許可は不要につき、視察希望者は関係メーカーグループに直接申し込みその許可を得ることになっている。ただし上記4ヵ所のうちブラッドウェルはNPPC(Nuclear Power Plant Company)の設計にかかり、同グループは本邦向けテンダーに参加していないので、わが国からの視察を歓迎していない