放射能調査委託について

昭和32、33両年度の概況


1.昭和32年度
 委託先は、地理的分布および地域的特性を考慮して北海道(札幌)、東京、福井、京都、岡山、福岡の6都道府県の衛生研究所に、陸水(上下水、河川水、井水、天水等)および各種食品の放射能調査(グロスβ放射能)を委託した。その調査結果は毎月月報として報告され、年度末には年報として報告されている。調査結果としては、総合的にみて次のようなことがいいうる。

 (1)陸水においては、雨水に多くのカウント数を示した直後には井水、上下水、河川水のカウントもいくぶん増加する傾向が認められたが、概して最大許容量よりはるかに少ないカウント数を示している。天水においては、前記の諸水よりカウント数はかなり多いが、最大許容量を越すものはなかった。

(2)食品類においては、最大許容量に達するものはなかったが、野菜類において表面のざらざらしているもののはうが、なめらかなものよりカウント数が一般に多くなっている。

(3)地域的な変化はあまり顕著でないが、岡山県のものが概して他より低い値を示しおり、これは同地域の地理的位置および雨量の少ないこと等の気象的要素と関連があるものと思われ、さらに今後調査を継続して確める必要がある。

 以上の都道府県衛生研究所に対する調査委託のほか科学研究所に委託して宇宙線および地表からの自然放射能の調査を行った。
 委託金額は、地方衛生研究所4,821,000円、科学研究所620,000円であった。

2.昭和33年度
 前年度の6ヵ所のほか、地理的分布および地域的特性を考慮して、宮城(仙台)、茨城(水戸)、鳥取の3県を新たに追加し、前年度と同様の事項につき調査を委託した。委託金額は7,391,000円である。委託契約期間は、いずれも33年7月1日から34年3月31日までである。