放射性物質車両運搬規則


◎運輸省令第16号
 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和32年法律第166号)第59条及び放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律(昭和32年法律第167号)第18条の規定に基き、放射性物質車両運搬規則を次のように定める。

  昭和33年5月20日

運輸大臣 中村三之丞

放射性物質車両運搬規則

(趣旨)
第1条 鉄道、軌道、索道、無軌条電車、自動車及び軽車両による放射性物質(核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和32年法律第166号)第2条第2項の核燃料熱質及び放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律(昭和32年法律第167号)第2条第2項の放射性同位元素をいう。以下同じ。)の運搬に関しては、この省令の定めるところによる。

(容器及び包装)
第2条 放射性物質を運搬する場合は、これを容器に入れ、かつ、包装しなければならない。

2 前項の容器及び包装は、次の各号に掲げる基準に適合するものでなければならない。

一 客器及び包装は、運搬に十分耐えるものであること。

二 人体内に長期間固着するおそれのある放射性物質を入れる容器は、金属製であること。

三 谷器及び包装の表面は、放射性物質により汚染されていないこと。

四 空気を汚染するおそれのある放射性物質を入れる容器は、気密な構造であること。

五 液体状の放射性物質を入れる容器は、こぼれない構造とし、浸透しにくい材料を用いて製作されていること。

六 波体状又は粉末状の放射性物質を入れる容器で事故により破損の生じ易いものは、放射性物質による汚染のひろがりを防止することができる吸収材その他の材料で包まれていること。

七 包装又は容器は、つり輪又はフックを設ける等荷役に便利な構造であること。

八 包装の大きさは、これに外接する直方体の各辺が10センチメートル以上であること。

3 1個の容器には、次の各号に掲げる数量をこえる放射性物質を入れてはならない。

一 ラジウム、ポロニウムその他のラジウム系元素にあっては、各2,000ミリキューリー

二 固形セシウム137、コバルト60又はイリジウム192にあっては、各300キューリー

三 前2号に掲げるもの以外の放射性物質にあっては、各2,700ミリキューリー

4 放射性物質の放射線量率は、容器に入れ、かつ、包装した場合において次の各号に掲げる値をこえてはならない。

一 放射性物質から1メートル離れた位置において10ミリレム毎時

二 包装の表面において200ミリレム毎時

5 運輸大臣の許可を受けた場合は、第1項の包装を省略し、又は第3項の数量をこえる放射性物質を1個の容器に入れることができる。

(標札)
第3条 包装(前条第5項の規定により包装を省略した場合には容器)の表面の見易い箇所には、当該表面における放射線量率が10ミリレム毎24特をこえる放射性物質(以下「第1種放射性物質」という。)にあっては第一号様式、その他の放射性物質「以下「第2種放射性物質」という。)にあっては第二号様式の標札をはりつけなければならない。

(最大許容週線量)
第4条 第1種放射性物質の運搬に従事する者の1週間の被ばく放射線量は、当該放射性物質と人体との間に適当な距離を設けること、人体が放射線に被ばくする時間を短かくすること等により、運輸大臣が告示で定める最大許容週線量をこえてばならない。

(取扱場所)
第5条 第1種放射性物質は、人の来集する場所に置き、又は当該場所で積込、取卸等の取扱をしてはならない。ただし、なわ張り、標識を設ける等障害防止の措置をした場合は、この限りでない。

(積載方法等)
第6条 放射性物質の積込又は取卸は、容器又は包装が開放し、又は破損しないように行わなければならない。

2 放射性物質の積付は、運搬中において転落、転倒等のおそれがないように行わなければならない。

第7条 第1種放射性物質は、旅客、鉄道係員、自動車運転者等が通常使用する場所から別表に定める距離以上離して積載しなければならない。

(積載限度)
第8条 標札に記載された放射単位数の合計が40をこえる第1種放射性物質は、これを同一の車両に積載してはならない。

(混載制限)
第9条 放射性物質は、次の各号に掲げるものと混載してはならない。

一 火薬類取締法(昭和25年法律第149号)第2条に規定する火薬類及び火薬類取締法施行規則(昭和25年通商産業省令第88号)第1条の4第一号に規定するがん具用煙火

二 高圧ガス取締法(昭和26年法律第204号)第2条に規定する高圧ガス(消火器に封入したものを除く。)

三 揮発油、アルコール、二硫化炭素その他の引火性液体で引火点 (アーベル・ペンスキー引火点測定器により、1気圧の下において測定したものをいう。)が25度以下のもの

四 塩酸、硫酸、硝酸その他の強酸類で酸の含有量が体積比で10パーセントをこえるもの

(運搬標識)
第10条 放射性物質を積載した鉄道、軌道又は索道の車両の両側の見易い箇所には、白地に放射性物質と赤書した運搬標識を付さなければならない。

2 放射性物質(第2種放射性物質であって、容器、包装等を含む合計重量が1トン以下のものを除く。)を積載した無軌条電車、自動車又は軽車両の外部の見易い箇所には、昼間にあっては第三号様式の運搬標識を掲げ、夜間にあっては赤色灯を車両の前部及び後部(軽車両にあっては、後部のみ)につけなければならない。

(連結制限)
第11条 第1種放射性物質を積載した鉄道又は軌道の車両は、第9条第一号から第三号までに掲げるものを積載した車両から3両以上離して連結しなければならない。

(見張人等)
第12条 無軌条電車、自動車又は軽車両により第10条第2項の放射性物質を運搬する場合は、次の各号に定める事項を遵守しなければならない。

一 駐車する場合は、見張人を配置すること。

二 赤旗(夜間にあっては赤色合図灯)を備え、かつ、交通事故等により放射線障害が発生するおそれのある場合又は発生した場合には、附近にいる者に警告するため当該赤旗を掲げ、又は当該赤色合図灯をつけること。

(核燃料物質の臨界)
第13条 核燃料物質は、いかなる場合においても臨界に達するおそれがないように措置しなければならない。

附則

1 この省令は、昭和33年6月1日から施行する。

2 道路運送車両の保安基準(昭和26年運輸省令第67号)の一部を次のように改正する。

第1条第1項第十七号の次に次の1号を加える。

十八「放射性物質」とは、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和32年法律第166号)第2条第2項の核燃料物質及び放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律

(昭和32年法律第167号)第2条第2項の放射性同位元素をいう。

第40条第1項及び第2項並びに第41条第2項中「火薬類」の下に「又は放射性物質」を加える。

3 自動車運送事業等運輸規則(昭和31年運輸省令第44号)の一部を次のように改正する。

第36条第五号の次に次の1号を加える。

五の二 放射性物質(核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和32年法律第166号)第2条第2項の核燃料物質及び放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律(昭和32年法律第167号)第2条第2項の放射性同位元素をいう。)

4 危険物船舶運送及び貯蔵規則(昭和32年運輸省令第30号)の一部を次のように改正する。

第17条中「又は高圧ガス」を「、高圧ガス又は放射性物質」に改める。

第87条の次に次の1条を加える。

(容器、包装及び標札の特例)
第87条の2 放射性物質を積載した貨車を鉄道車両渡船で、又は放射性物質を積載した自動車若しくは軽車両を自動車渡船で運送する場合は、その容器、包装及び標札については、前条の規定にかかわらず、放射性物質車両運搬規則(昭和33年運輸省令第16号)の定めるところによらなければならない。

第161条第一号中「又は第87条」を「、第87条又は第87条の2」に改める。

別表