昭和32年度の原子力平和利用研究委託費に関し、科学技術庁においては、7月29日付をもって以下にかかげるような二つの告示を行った。このうち、告示第5号は委託費の取扱いについて規定し、告示第6号は本年度における要望課題及び申請書の提出期間を定めたもので、今後は告示第6号のみが改められる予定である。 科学技術庁告示第5号
原子力平和利用研究委託費交付規則 原子力平和利用研究委託費(以下「委託費」という。)の交付については、この規則の定 めるところによるものとする。 (交付する委託費の額) 第1条 委託費は、科学技術庁長官が定める試験研究題目について行う試験研究に必要な経費について交付する。 2 前項の試験研究題目は、科学技術庁告示で定める。 (委託費の交付の申請の手続) 第2条 委託費の交付の申請をしようとする者は、様式第一による申請書7通(正本1通副本6通)にそれぞれ様式第二による試験研究計画書及び様式第三による事業等説明書を添えて科学技術庁長官に提出しなければならない。 2 前項の申請書の提出期間は、科学技術庁告示で定める。 (委託費の交付の條件等) 第3条 委託費の交付の決定をする場合においては、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和30年法律第179号)の規定によるもののほか、次の各号に掲げる条件を附するものとする。 一 帳簿を備え、委託費の交付に係る試験研究(以下「委託研究」という。)の遂行についての収支の額及び委託費の使途を明記しなければならない。 二 委託研究を実施するため委託費によって製造し、又は取得した土地、建物、構築物、機械装置、工具、器具又は備品の所有権は、委託研究の完了又は廃止の後科学技術庁長官の指示に従って国に移転しなければならない。 三 財産台帳を備え、前号の財産の整理保管の状況を明らかにしておかなければならない。 四 委託研究の結果得られた技術が特許権又は実用新案権の対象となるときは、遅滞なく、その権利を取得するための手続をとるとともに、その旨を科学技術庁長官に通知しなければならない。 五 前号により取得した特許権又は実用新案権の利用又は処分については、科学技術庁長官の指示に従って行わなければならない。 六 前号のほか、委託研究の成果の利用及び処分については、科学技術庁長官の指示に従って行わなければならない。 (申請の取下げ) 第4条 申請者は、委託費の交付決定通知を受けた後申請の取下げをするときは、その通知後30日以内に様式第四による申請取下げ届出書2通(正本1通副本1通)にそれぞれ参考となるべき書類を添えて科学技術庁長官に提出するものとする。 (請書の提出) 第5条 委託費の交付決定通知を受けた者は、遅滞なく、様式第五による請書3通(正本1通副本2通)を科学技術庁長官に提出するものとする。 (委託費の支払) 第6条 委託費の支払は、委託研究の完了の認定を行い、交付すべき委託費の額を確定した後に行うものとする。 2 委託費のうち必要があると認められる金額については、前項の規定にかかわらず、前払をすることがある。 (遂行状況報告書の提出) 第7条 委託研究を行う者(以下「受託者」という。)は、会計年度(国の会計年度をいう。以下同じ。)の毎四半期における委託研究の遂行状況に関する中間報告書2通(正本1通副本1通)を様式第六により作成し、当該四半期経過後20日以内に科学技術庁長官に提出しなければならない。 2 委託研究が完了した日の属する四半期、会計年度の最終の四半期及び委託研究の廃止の承認を受けた日の属する四半期に係るものについては、前項の規定にかかわらず前項の報告書を提出することを要しない。 (実積報告書等の提出) 第8条 受託者は、委託研究が完了したとき又は第11条の規定による委託研究の廃止の承認を受けたときは、完了又は廃止の承認の日から60日又は翌会計年度の4月10日のいずれか早い日までに様式第七により委託研究の実績報告書3通(正本1通副本2通)を作成し、科学技術庁長官に提出しなければならない。 2 受託者は、会計年度が終了したときは、30日以内に様式第八による委託研究の年度末報告書3通(正本1通副本2通)を作成し、科学技術庁長官に提出しなければならない。 (成果報告書の提出) 第9条 受託者は、委託費の額の確定通知を受けた後60日以内に、様式第九により委託研究の成果を詳細に記載した試験研究成果報告書2通を作成し、科学技術庁長官に提出しなければならない。 (計画変更の承認) 第10条 受託者は、試験研究計画書に記載された内容を変更しようとするときは、あらかじめ、様式第十による試験研究計画変更承認申請書3通(正本1通副本2通)を科学技術庁長官に提出し、その承認を受けるものとする。 2 科学技術庁長官は、前項の承認をするときは、条件を附することができる。 (廃止等の承認) 第11条 受託者は、委託研究を中止し、又は廃止しようとする場合には、遅滞なく、様式第十一による試験研究中止(廃止)承認申請書3通(正本1通副本2通)を科学技術庁長官に提出し、中止又は廃止の承認を受けなければならない。 (委託費の交付決定の取消等) 第12条 科学技術庁長官は、第10条第1項又は前条の規定により委託研究の計画変更又は中止若しくは廃止の承認をしたときは、当該委託研究に係る委託費の交付の決定の全部又は一部を取り消し、又は変更することができる。 2 前項の規定による取消又は変更を行った場合には、期限を附して、すでに交付した委託費の全部又は一部の返還を命ずることができる。
原子力平和利用研究委託費交付申請書
様式第二 試験研究計画書
様式第三 事業等説明書
様式第四 申請取下げ届出書 様式第五 請書
様式第六 試験研究中間報告書 様式第七 試験研究実績報告書
別紙 イ 試験研究結果説明書
別紙 ロ 試験研究収支決算書
別紙 ハ 試験研究内容及び成果についての概要説明書
様式第八 試験研究年度末報告書 様式第九 試験研究成果報告書 様式第十 試験研究計画変更承認申請書 様式第十一 試験研究中止(廃止)承認申請書 科学技術庁告示第6号 原子力平和利用研究委託費交付規則(昭和32年7月29日科学技術庁告示第5号)第1条第2項及び第2条第2項の規定に基き、昭和32年度における原子力平和利用研究委託費に係る試験研究題目及び申請書の提出期間を次のように定める。
原子力平和用研究委託費に係る試験研究題目及び申請書提出期間 一 試験研究題目は、次のとおりとする。 1 低品位ウラン鉱の有機溶媒による抽出精製に関する試験研究 2 ボロン10の濃縮に関する試験研究 3 原子炉用アルミニウム及びその合金材料に関する試験研究 4 原子炉及びその附属装置に必要なアルミニウム及び不銹鋼の溶接施行及び検査に関する試験研究 5 ウラン235存在比測定用質量分析に関する試験研究 6 六弗化ウランの製造及び六弗化ウランの移送に要する耐蝕性機器類に関する試験研究 7 二重温度交換法による重水の濃縮に関する試験研究 8 液化精溜法による重水の濃縮に関する試験研究 9 放射線測定器部品の放射線障害防止に関する試験研究 10 放射線障害防止用医薬に関する試験研究 11 有機化合物の変質による放射線量の測定に関する試験研究 12 大量コバルト60のキューリー量の測定に関する試験研究 13 黒鉛の放射線損傷に関する試験研究 14 核原科物質の精製又は使用済核燃料の処理に必要なイオン交換樹脂又は有機溶媒に関する試験研究 15 中性子の遮蔽を主目的とする放射線遮蔽材に関する試験研究 二 申請者の提出期間は、昭和32年7月29日から昭和32年8月17日までとする。 |