資料

核原料物質、核燃料物資及び原子炉の規制に関する法律

(昭和32年6月10日公布法律第166号)

目 次

第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 製練の事業に関する規制 (第3条〜第12条)
第3章 加工の事業に関する規制 (第13条〜第22条)
第4章 原子炉の設置、運転等に関する規制(第23条〜第43条)
第5章 再処理の事業に関する規制 (第44条〜第51条)
第6章 核燃料物質の使用等に関する規制 (第52条〜第61条)
第7章 雑則(第62条〜第76条)
第8章 罰則(第77条〜第83条)
附 則

第1章 総則

(目的)

第1条 この法律は、原子力基本法(昭和30年法律第186号)の精神にのっとり、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の利用が平和の目的に限られ、かつ、これらの利用が計画的に行われることを確保し、あわせてこれらによる災害を防止して公共の安全を図るために、製錬、加工及び再処理の事業並びに原子炉の設置及び運転等に関して必要な規制を行うことを目的とする。

(定義)

第2条 この法律において「原子力」とは、原子力基本法第3条第一号に規定する原子力をいう。

2 この法律において「核燃料物質」とは、原子力基本法第3条第二号に規定する核燃料物質をいう。

3 この法律において「核原料物質」とは、原子力基本法第3条第三号に規定する核原料物質をいう。

4 この法律において「原子炉」とは、原子力基本法第3条第四号に規定する原子炉をいう。

5 この法律において「製錬」とは、核原料物質又は核燃料物質に含まれるウラン又はトリウムの比率を高めるために、核原料物質又は核燃料物質を化学的方法により処理することをいう。

6 この法律において「加工」とは、核燃料物質を原子炉に燃料として使用できる形状又は組成とするために、これを物理的又は化学的方法により処理することをいう。

7 この法律において「再処理」とは、原子炉に燃料として使用した核燃料物質(以下「使用済燃料」という。)から核燃料物質その他の有用物質を分離するために、使用済燃料を化学的方法により処理することをいう。

第2章 製錬の事業に関する規制

 (事業の指定)

第3条 原子燃料公社以外の者で製錬の事業を行おうとするものは、政令で定めるところにより、内閣総理大臣及び通商産業大臣の指定を受けなければならない。

2 前項の指定を受けようとする者は、次の事項を記載した申請書を内閣総理大臣及び通商産業大臣に提出しなければならない。

一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名

二 製錬設備及びその附属施設(以下「製錬施設」という。)を設置する工場又は事業所の名称及び所在地

三 製錬施設の位置、構造及び設備並びに製錬の方法

四 製錬施設の工事計画

 (指定の基準)

第4条 内閣総理大臣及び通商産業大臣は、前条第1項の指定の申請があった場合においては、その申請が次の各号に適合していると認めるときでなければ、同項の指定をしてはならない。

一 その指定をすることによって原子力の開発及び利用の計画的な遂行に支障を及ぼすおそれがないこと。

二 その事業を適確に遂行するに足りる技術的能力及び経理的基礎があること。

三 製錬施設の位置、構造及び設備が核原料物質又は核燃料物質による災害の防止上支障がないものであること。

2 内閣総理大臣及び通商産業大臣は、前条第1項の指定をする場合においては、前項各号に規定する基準の適用について、あらかじめ原子力委員会の意見をきき、これを尊重してしなければならない。

 (指定の欠格条項)

第5条 次の各号の一に該当する者には、第3条第1項の指定を与えない。

一 第10条第2項の規定により第3条第1項の指定を取り消され、取消の日から2年を経過していない者

二 この法律又はこの法律に基く命令の規定に違反し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終り、又は執行を受けることのなくなった後、2年を経過していない者

三 禁治産者

四 法人であって、その業務を行う役員のうちに前各号の一に該当する者のあるもの

 (変更の許可及び届出)

第6条 第3条第1項の指定を受けた者(以下「製錬事業者」という。)は、同条第2項第二号又は第三号に掲げる事項を変更しようとするときは、政令でに定めるところにより、内閣総理大臣及び通商産業大臣の許可を受けなければならない。ただし、同項第二号に掲げる事項のうち工場又は事業所の名称のみを変更しようとするときは、この限りでない。

2 製錬事業者は、第9条第1項に規定する場合を除き、第3条第2項第一号又は第四号に掲げる事項を変更したときは、変更の日から30日以内に、その旨を内閣総理大臣及び通商産業大臣に届け出なければならない。同項第二号に掲げる事項のうち工場又は事業所の名称のみを変更したときも、同様とする。

3 第4条の規定は、第1項の許可に準用する。

 (事業開始等の届出)

第7条 製錬事業者は、その事業を開始し、休止し、又は再開したときは、それぞれその日から15日以内に、その旨を内閣総理大臣及び通商産業大臣に届け出なければならない。

 (合併)

第8条 製錬事業者である法人の合併の場合(製錬事業者である法人と製錬事業者でない法人が合併する場合において、製錬事業者である法人が存続するときを除く。)において当該合併について内聞総理大臣及び通商産業大臣の認可を受けたときは、合併後存続する法人又は合併により設立された法人は、製錬事業者の地位を承継する。

2 第4条第1項第一号及び第二号並びに第2項並びに第5条の規定は、前項の認可に準用する。

 (相続)

第9条 製錬事業者について相続があったときは、相続人は、製錬事業者の地位を承継する。

2 前項の規定により製錬事業者の地位を承継した相続人は、相続の日から30日以内に、その事実を証する書面を添えて、その旨を内閣総理大臣及び通商産業大臣に届け出なければならない。

 (指定の取消等)

第10条 内閣総理大臣及び通商産業大臣は、製錬事業者が正当な理由がないのに、総理府令、通商産業省令で定める期間内にその事業を開始せず、又は引き続き1年以上その事業を休止したときは、第3条第1項の指定を取り消すことができる。

2 内閣総理大臣及び通商産業大臣は、製錬事業者が次の各号の一に該当するときは、第3条第1項の指定を取り消し、又は1年以内の期間を定めてその事業の停止を命ずることができる。

一 第5条第二号から第四号までの一に該当するに至ったとき。

二 第6条第1項の規定により許可を受けなければならない事項を許可を受けないでしたとき。

三 第12条第1項若しくは第4項の規定に違反し、又は同条第3項の規定による命令に違反したとき。

四 第62条第1項の条件に違反したとき。

 (記録)

第11条 原子燃料公社及び製錬事業者は、総理府令、通商産業省令で定めるところにより、製錬の事業の実施に関し総理府令、通商産業省令で定める事項を記録し、これをその工場又は事業所に備えて置かなければならない。

 (保安規定)

第12条 原子燃料公社及び製錬事業者は、核燃料物質に係る製錬の事業を行う場合においては、総理府令、通商産業省令で定めるところにより、保安規定を定め、事業開始前に、内閣総理大臣及び通商産業大臣の認可を受けなけなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

2 内閣総理大臣及び通商産業大臣は、保安規定が核燃料物質による災害の防止上十分でないと認めるときは、前項の認可をしてはならない。

3 内閣総理大臣及び通商産業大臣は、核燃料物質による災害の防止のため必要があると認めるときは、原子燃料公杜又は製錬事業者に対し、保安規定の変更を命ずることができる。

4 原子燃料公社及び製錬事業者並びにその従業者は、保安規定を守らなければならない。

第3章 加工の事業に関する規制

 (事業の許可)

第13条 原子燃料公社以外の者で加工の事業を行おうとするものは、政令で定めるところにより、内閣総理大臣の許可を受けなければならない。

2 前項の許可を受けようとする者は、次の事項を記載した申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。

一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名

二 加工設備及びその附属施設(以下「加工施設」という。)を設置する工場又は事業所の名称及び所在地

三 加工施設の位置、構造放び設備並びに加工の方法

四 加工施設の工事計画

 (許可の基準)

第14条 内閣総理大臣は、前条第1項の許可の申請があった場合においては、その申請が次の各号に適合していると認めるときでなければ、同項の許可をしてはならない。

一 その許可をすることによって加工の能力が著しく過大にならないこと。

二 その事業を適確に遂行するに足りる技術的能力及び経理的基礎があること。

三 加工施設の位置、構造及び設備が核燃料物質による災害の防止上支障がないものであること。

2 内閣総理大臣は、前条第1項の許可をする場合においては、前項各号に規定する基準の適用について、あらかじめ原子力委員会の意見をきき、これを尊重してしなければならない。

 (許可の欠格条項)

第15条 次の各号の一に該当する者には、第13条第1項の許可を与えない。

一 第20条第2項の規定により第13条第1項の許可を取り消され、取消の日から2年を経過していない者

二 この法律又はこの法律に基く命令の規定に違反し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終り、又は執行を受けることのなくなった後、2年を経過していない者

三 禁治産者

四 法人であって、その業務を行う役員のうちに前各号の一に該当する者のあるもの

 (変更の許可及び届出)

第16条 第13条第1項の許可を受けた者(以下「加工事業者」という。)は、同条第2項第二号又は第三号に掲げる事項を変更しようとするときは、政令で定めるところにより、内閣総理大臣の許可を受けなければならない。ただし、同項第二号に掲げる事項のうち工場又は事業所の名称のみを変更しようとするときは、この限りでない。

2 加工事業者は、第19条第1項に規定する場合を除き、第13条第2項第一号又は第四号に掲げる事項を変更したときは、変更の日から30日以内に、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。同項第二号に掲げる事項のうち工場又は事業所の名称のみを変更したときも、同様とする。

3 第14条の規定は、第1項の許可に準用する。

 (事業開始等の届出)

第17条 加工事業者は、その事業を開始し、休止し、又は再開したときは、それぞれその日から15日以内に、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。

 (合併)

第18条 加工事業者である法人の合併の場合(加工事業者である法人と加工事業者でない法人が合併する場合において、加工事業者である法人が存続するときを除く。)において当該合併について内閣総理大臣の認可を受けたときは、合併後存続する法人又は合併により設立された法人は、加工事業者の地位を承継する。

2 第14条第1項第二号及び第2項並びに第15条の規定は、前項の認可に準用する。

 (相続)

第19条 加工事業者について相続があったときは、相続人は、加工事業者の地位を承継する。

2 前項の規定により加工事業者の地位を承継した相続人は、相続の日から30日以内に、その事実を証する書面を添えて、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。

 (許可の取消等)

第20条 内閣総理大臣は、加工事業者が正当な理由がないのに、総理府令で定める期間内にその事業を開始せず、又は引き続き1年以上その事業を休止したときは、第13条第1項の許可を取り消すことができる。

2 内閣総理大臣は、加工事業者が次の各号の一に該当するときは、第13条第1項の許可を取り消し、又は1年以内の期間を定めてその事業の停止を命ずることができる。

一 第15条第二号から第四号までの一に該当するに至ったとき。

二 第16条第1項の規定により許可を受けなければならない事項を許可を受けないでしたとき。

三 第22条第1項若しくは第4項の規定に違反し、又は同条第3項の規定による命令に違反したとき。

四 第62条第1項の条件に違反したとき。

 (記録)

第21条 原子燃料公社及び加工事業者は、総理府令で定めるところにより、加工の事業の実施に関し総理府令で定める事項を記録し、これをその工場又は事業所に備えて置かなければならない。

 (保安規定)

第22条 原子燃料公社及び加工事業者は、総理府令で定めるところにより、保安規定を定め、事業開始前に、内閣総理大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

2 内閣総理大臣は、保安規定が核燃料物質による災害の防止上十分でないと認めるときは、前項の認可をしてはならない。

3 内閣総理理大臣は、核燃料物質による災害の防止のため必要があると認めるときは、原子燃料公社又は加工事業者に対し、保安規定の変更を命ずることができる。

4 原子燃料公社及び加工事業者並びにその従業者は、保安規定を守らなければならない。

第4章 原子炉の設置、運転等に関する規制

 (設置の許可)

第23条 日本原子力研究所以外の者で原子炉を設置しようとするものは、政令で定めるところにより、内閣総理大臣の許可を受けなければならない。

2 前項の許可を受けようとする者は、次の事項を記載した申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。

一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名

二 使用の目的

三 原子炉の型式、熱出力及び基数

四 原子炉を設置する工場又は事業所(原子炉を船舶に設置する場合にあっては、その船舶を建造する造船事業者の工場又は事業所)の名称及び所在地

五 原子炉及びその附属施設(以下「原子炉施設」という。)の位置、構造及び設備

六 原子炉施設の工事計画

七 原子炉に燃料として使用する核燃料物質の種類及びその年間予定使用量

八 使用済燃料の処分の方法

 (許可の基準)

第24条 内閣総理大臣は、前条第1項の許可の申請があった場合においては、その申請が次の各号に適合していると認めるときでなければ、同項の許可をしてはならない。

一 原子炉が平和の目的以外に利用されるおそれがないこと。

二 その許可をすることによって原子力の開発及び利用の計画的な遂行に支障を及ぼすおそれがないこと。

三 その者(原子炉を船舶に設置する場合にあっては、その船舶を建造する造船事業者を含む。)に原子炉を設置するために必要な技術的能力及び経理的基礎があり、かつ、原子炉の運転を適確に遂行するに足りる技術的能力があること。

四 原子炉施設の位置、構造及び設備が核燃料物質(使用済燃料を含む。以下この章において同じ。) 核燃料物質によつで汚染された物又は原子炉による災害の防止上支障がないものであること。

2 内閣総理大臣は、前条第1項の許可をする場合においては、前項各号に規定する基準の適用について、あらかじめ原子力委員会の意見をきき、これを尊重してしなければならない。

 (許可の欠格条項)

第25条 次の各号の一に該当する者には、第23条第1項の許可を与えない。

一 第33条第2項の規定により第23条第1項の許可を取り消され、取消の日から2年を経過していない者

二 この法律又はこの法律に基く命令の規定に違反し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終り、又は執行を受けることのなくなった後、2年を経過していない者

三 禁治産者

四 法人であって、その業務を行う役員のうちに前各号の一に該当する者のあるもの(変更の許可及び屈出等)

第26条 第23条第1項の許可を受けた者(以下「原子炉設置者」という。)は、同条第2項第二号から第五号まで又は第八号に掲げる事項を変更しようとするときは、政令で定めるところにより、内閣総理大臣の許可を受けなければならない。ただし、同項第四号に掲げる事項のうち工場又は事業所の名称のみを変更しようとするときは、この限りでない。

2 原子炉設置者は、第32条第1項に規定する場合を除き、第23条第2項第一号、第六号又は第七号に掲げる事項を変更したときは、変更の日から30日以内に、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。同項第四号に掲げる事項のうち工場又は事業所の名称のみを変更したときも、同様とする。

3 原子炉を船舶に設置する場合において、その船舶について船舶法(明治32年法律第46号)第5条第1項の登録がなされたときは、原子炉設置者は、登録の日から30日以内に、その船舶の名称を内閣総理大臣に届け出なければならない。その名称を変更したときも、同様とする。

4 第24条の規定は、第1項の許可に準用する。

 (設計及び工事の方法の認可)

第27条 日本原子力研究所及び原子炉設置者は、総理府令で定めるところにより、原子炉施設の工事に着手する前に、原子炉施設に関する設計及び工事の方法について内閣総理大臣の認可を受けなければならない。原子炉施設を変更する場合における当該原子炉施設についても、同様とする。

2 日本原子力研究所及び原子炉設置者は、前項の認可を受けた原子炉施設に関する設計及び工事の方法を変更しようとするときは、総理府令で定めるところにより、内閣総理大臣の認可を受けなければならない。ただし、その変更が総理府令で定める軽微なものであるときは、この限りでない。

 (施設検査)

第28条 日本原子力研究所及び原子炉設置者は、総理府令で定めるところにより、原子炉施設の工事について内閣総理大臣の検査を受けなければならない。原子炉施設を変更する場合における当該原子炉施設についても、同様とする。

2 前項の検査においては、原子炉施設の工事が前条の認可を受けた設計及び方法に従って行われているときは、合格とする。

 (性能検査

第29条 日本原子力研究所及び原子炉設置者は、総理府令で定めるところにより、原子炉施設の性能について内閣総理大臣の検査を受け、これに合格した後でなければ、原子炉施設を使用してはならない。原子炉施設を変更する場合における当該原子炉施設についても、同様とする。

2 前項の検査においては、原子炉施設が次の各号に適合しているときは、合格とする。

一 その工事が前条第1項の検査に合格していること。

二 その性能が総理府令で定める技術上の基準に適合するものであること。

 (運転計画)

第30条 日本原子力研究所及び原子炉設置者は、総理府令(発電の用に供する原子炉については総理府令、通商産業省令、船舶に設置する原子炉については総理府令、運輸省令)で定めるところにより、原子炉の運転計画を作成し、内閣総理大臣(発電の用に供する原子炉については内閣総理大臣及び通商産業大臣、船舶に設置する原子炉については内閣総理大臣及び運輸大臣)に届け出なければならない。これを変更したときも、同様とする。

 (合併)

第31条 原子炉設置者である法人の合併の場合(原子炉設置者である法人と原子炉設置者でない法人が合併する場合において、原子炉設置者である法人が存続するときを除く。)において当該合併について内閣総理大臣の認可を受けたときは、合併後存続する法人又は合併により設立された法人は、原子炉設置者の地位を承継する。

2 第24条第1項第一号から第三号まで及び第2項並びに第25条の規定は、前項の認可に準用する。

 (相続)

第32条 原子炉設置者について相続があったときは、相続人は、原子炉設置者の地位を承継する。

2 前項の規定により原子炉設置者の地位を承継した相続人は、相続の日から30日以内に、その事実を証する書面を添えて、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。

 (許可の取消等)

第33条 内閣総理大臣は、原子炉設置者が正当な理由がないのに、総理府令で定める期間内に原子炉の運転を開始せず、又は引き続き1年以上その運転を休止したときは、第23条第1項の許可を取り消すことができる。

2 内閣総理大臣は、原子炉設置者が次の各号の一に該当するときは、第23条第1項の許可を取り消し、又は1年以内の期間を定めて原子炉の運転の停止を命ずることができる。

一 第25条第二号から第四号までの一に該当するに至ったとき。

二 第26条第1項の規定により許可を受けなければならない事項を許可を受けないでしたとき。

三 第36条の規定による命令に違反したとき。

四 第37条第1項若しくは第4項の規定に違反し、又は同条第3項の規定による命令に違反したとき。

五 第43条の規定による命令に違反したとき。

六 第62条第1項の条件に違反したとき。

 (記録)

第34条 日本原子力研究所及び原子炉設置者は、総理府令で定めるところにより、原子炉の運転その他原子炉施設の使用に関し総理府令で定める事項を記録し、これをその工場又は事業所(原子炉を船舶に設置する場合にあっては、その船舶又は原子炉設置者の事務所)に備えて置かなければならない。

 (保安のために講ずべき措置)

第35条 日本原子力研究所及び原子炉設置者は、次の事項について、総理府令で定めるところにより、保安のために必要な措置を講じなければならない。

一 原子炉施設の保全

二 原子炉の運転

三 核燃料物質又は核燃料物質によって汚染された物の運搬、貯蔵又は廃棄

 (施設の使用の停止等)

第36条 内閣総理大臣は、原子炉施設の保全若しくは原子炉の運転又は核燃料物質若しくは核燃料物質によって汚染された物の運搬、貯蔵若しくは廃棄に関する措置が前条の規定に基く総理府令の規定に違反していると認めるときは、日本原子力研究所又は原子炉設置者に対し、原子炉施設の使用の停止、改造、修理又は移転、原子炉の運転の方法の指定その他保安のために必要な措置を命ずることができる。

 (保安規定)

第37条 日本原子力研究所及び原子炉設置者は、総理府令で定めるところにより、保安規定を定め、原子炉の運転開始前に、内閣総理大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

2 内閣総理大臣は、保安規定が核燃料物質、核燃料物質によって汚染されを物又は原子炉による災害の防止上十分でないと認めるときは、前項の認可をしてはならない。

3 内閣総理大臣は、核燃料物質、核燃料物質によって汚染された物又は原子炉による災害の防止のため必要があると認めるときは、日本原子力研究所又は原子炉設置者に対し、保安規定の変更を命ずることができる。

4 日本原子力研究所及び原子炉設置者並びにその従業者は、保安規定を守らなければならない。

 (原子炉の解体)

第38条 日本原子力研究所及び原子炉設置者(第66条第1項に規定する者のうち原子炉設置者に係る者を含む。以下次項において同じ。)は、原子炉を解体しようとするときは、総理府令で定めるとにろにより、あらかじめ内閣総理大臣に届け出なければならない。

2 内閣総理大臣は、前項の規定による届出があった場合において、必要があると認めると

きは、日本原子力研究所又は原子炉設置者に対し、原子炉の解体の方法の指定、核燃料物質による汚染の除去その他核燃料物質、核燃料物質によって汚染された物又は原子炉による災害を防止するために必要な措置を命ずることができる。

 (原子炉の譲受等)

第39条 日本原子力研究所又は原子炉設置者からその設置した原子炉又は原子炉を含む一体としての施設(原子炉を設置した船舶を含む。)以下第4項において同じ。)を譲り受けようとする者は、政令で定めるところにより、内閣総理大臣の許可を受けなければならない。ただし、日本原子力研究所が原子炉設置者からその設置した原子炉又は原子炉を含む一体としての施設を譲り受ける場合は、この限りでない。

2 日本の国籍を有する者及び日本の法令により設立された法人その他の団体以外の者(原子炉設置者を除く。)からその所有する船舶で原子炉を設置したものを譲り受けようとする者は、政令で定めるところにより、内閣総理大臣の許可を受けなければならない。

3 第24条及び第25条の規定は、前2項の許可に準用する。

4 第1項の許可を受けて原子炉設置者からその設置した原子炉又は原子炉を含む一体としての施設を譲り受けた者は、当該原子炉に係る原子炉設置者の地位を承継する。

5 第1項の許可を受けて日本原子力研究所からその設置した原子炉又は原子炉を含む一体としての施設を譲り受けた者及び第2項の許可を受けて原子炉を設置した船舶を譲り受けた者は、原子炉設置者とみなす。この場合において、第26条第1項中「同条第2項第二号から第五号まで又は第八号に掲げる事項」とあり、又は同条第2項中「第23条第2項第一号、第六号又は第七号に掲げる事項」とあるのは「政令で定める事項」と、第33条及び第65条第2項中「第23条第1項」とあるのは、第1項の許可を受けた者にあっては「第39条第1項」と、第2項の許可を受けた者にあっては「第39条第2項」と読み替えるものとする。

 (原子炉主任技術者)

第40条 日本原子力研究所及び原子炉設置者は、原子炉の運転に関して保安の監督を行わせるため、総理府令で定めるところにより、次条第1項の原子炉主任技術者免状を有する者のうちから、原子炉主任技術者を選任しなければならない。

2 日本原子力研究所及び原子炉設置者は、前項の規定により原子炉主任技術者を選任したときは、選任した日から30日以内に、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。これを解任したときも、同様とする。

 (原子炉主任技術者免状)

第41条 科学技術庁長官は、次の各号の一に該当する者に対し、原子炉主任技術者免状を交付する。

一 科学技術庁長官の行う原子炉主任技術者試験に合格した者

二 科学技術庁長官が、政令で定めるところにより、原子炉に関し前号に掲げる者と同等以上の学識及び経験を有すると認める者

2 科学技術庁長官は、次の各号の一に該当する者に対しては、原子炉主任技術者免状の交付を行わないことができる。

一 次項の規定により原子炉主任技術者免状の返納を命ぜられ、その日から1年を経過していない者

二 この法律又はこの法律に基く命令の規定に違反し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終り、又は執行を受けることのなくなった後、2年を経過していない者

3 科学技術庁長官は、原子炉主任技術者免状の交付を受けた者がこの法律二又はこの法律に基く命令の規定に違反したときは、その原子炉主任技術者免状の返納を命ずることができる。

4 第1項第一号の原子炉主任技術者試験の課目、受験手続その他原子炉主任技術者試験の実施細目並びに原子炉主任技術者免状の交付及び返納に関する手続は、総理府令で定める。

 (原子炉主任技術者の義務等)

第42条 原子炉主任技術者は、誠実にその職務を遂行しなければならない。

2 原子炉の運転に従事する者は、原子炉主任技術者がその保安のためにする指示に従わなければならない。

 (原子炉主任技術者の解任命令)

第43条 内閣総理大臣は、原子炉主任技術者がこの法律又はこの法律に基く命令の規定に違反したときは、日本原子力研究所又は原子炉設置者に対し、原子炉主任技術者の解任を命ずることができる。

第5章 再処理の事業に関する規制

 (事業の制限)

第44条 原子燃料公社以外の者は、再処理の事業を行ってはならない。ただし、日本原子力研究所が日本原子力研究所法(昭和31年法律第92号)第22条第2項の認可を受けて再処理の事業を行う場合は、この限りでない。

 (設計及び工事の方法の認可)

第45条 原子燃料公社は、総理府令で定めるところにより、再処理設備及びその附属施設(以下「再処理施設」という。)の工事に着手する前に、再処理施設に関する設計及び工事の方法について内閣総理大臣の認可を受けなければならない。再処理施設を変更する場合における当該処理施設についても、同様とする。

2 原子燃料公社は、前項の認可を受けた再処理施設に関する設計及び工事の方法を変更しようとするときは、総理府令で定めるところにより、内閣総理大臣の認可を受けなければならない。ただし、その変更が総理府令で定める軽微なものであるときは、この限りでない。

 (施設検査)

第46条 原子燃料公社は、総理府令で定めるところにより、再処理施設の工事について内閣総理大臣の検査を受け、これに合格した後でなければ、再処理施設を使用してはならない。再処理施設を変更する場合における当該再処理施設についても、同様とする。

2 前項の検査においては、再処理施設の工事が前条の認可を受けた設計及び方法に従って行われているときは、合格とする。

 (記録)

第47条 原子燃料公社は、総理府令で定めるところにより、再処理の事業の実施に関し総理府令で定める事項を記録し、これをその工場又は事業所に備えて置かなければならない。

 (保安のために講ずべき措置)

第48条 原子燃料公社は、次の事項について、総理府令で定めるところにより、保安のために必要な措置を講じなければならない。

一 再処理施設の保全

二 再処理設備の操作

三 使用済燃料、使用済燃料から分離された

物又はこれらによって汚染された物の運搬、貯蔵又は廃棄

 (施設の使用の停止等)

第49条 内閣総理大臣は、再処理施設の保全若しくは再処理設備の操作又は使用済燃料、使用済燃料から分離された物若しくはこれらによって汚染された物の運搬、貯蔵若しくは廃棄に関する措置が前条の規定に基く総理府令の規定に違反していると認めるときは、原子燃料公社に対し、再処理施設の使用の停止、改造、修理又は移転、再処理設備の操作の方法の指定その他保安のために必要な措置を命ずることができる。

 (保安規定)

第50条 原子燃料公社は、総理府令で定めるところにより、保安規定を定め、事業開始前に、内閣総理大臣の認可を受けなければならない。 これを変更しようとするときも、同様とする。

2 内閣総理大臣は、保安規定が使用済燃料、使用済燃料から分離された物又はこれらによって汚染された物による災害の防止上十分でないと認めるときは、前項の認可をしてはならない。

3 内閣総理大臣は、使用済燃料、使用済燃料から分離された物又はこれらによって汚染されたに物による災害の防止のため必要があると認めるときは、原子燃料公社に対し、保安規定の変更を命ずることができる。

4 原子燃料公社及びその従業者は、保安規定を守らなければならない。

 (準用規定)

第51条 第45条から前条までの規定は、日本原子力研究所が日本原子力研究所法第22条第2項の認可を受けて再処理の事業を行う場合に準用する。

第6章 核燃料物質の使用等に関する規制

 (使用の許可)

第52条 核燃料物質を使用しようとする者は、政令で定めるところにより、内閣総理大臣の許可を受けなければならない。 ただし、次の各号の一に該当する場合は、この限りでない。

一 原子燃料公社及び製錬事業者が核燃料物質を製錬の事業の用に供する場合

二 原子燃料公社及び加工事業者が核燃料物質を加工の事業の用に供する場合

三 日本原子力研究所及び原子炉設置者が核燃料物質を原子炉に燃料として使用する場合

四 原子燃料公社及び日本原子力研究所が核燃料物質を再処理の事業の用に供する場合

(日本原子力研究所にあっては、日本原子力研究所法第22条第2項の認可を受けて再処理の事業を行う場合に限る。)

2 前項の許可を受けようとする者は、次の事項を記載した申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。

一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名

二 使用の目的及び方法

三 核燃料物質の種類

四 使用の場所 

五 予定使用期間及び年間(予定使用期間が1年に満たにない場合にあっては、その予定使用期間)予定使用量

六 核燃料物質の使用施設(以下単に「使用施設」という。)の位置、構造及び設備

七 核燃料物質の貯蔵施設(以下単に「貯蔵施設」という。)の位置、構造及び設備

八 核燃料物質又は核燃料物質によって汚染された物の廃棄施設(以下単に「廃棄施設」という。)の位置、構造及び設備

 (許可の基準)

第53条 内閣総理大臣は、前条第1項の許可の申請があった場合においては、その申請が次の各号に適合していると認めるときでなければ、同項の許可をしてはならない。

一 核燃料物質が平和の目的以外に利用されるおそれがないこと。

二 その許可をすることによって原子力の研究、開発又は利用が促進されることが明らかのであること。

三 使用施設、貯蔵施設又は廃棄施設の位置、構造及び設備か核燃料物質又は核燃料物質によって汚染された物による災害の防止上支障がないものであること。

 (許可の欠格条項)

第54条 次の各号の一に該当する者には、第52条第1項の許可を与えない。

一 第56条の規定により第52条第1項の許可を取り消され、取消の日から2年を経過していない者

二 この法律又はこの法律に基く命令のの規定に違反し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終り、又は執行を受けることのなくなった後、2年を経過していない者

三 禁冶産者

四 法人であって、その業務を行う役員のうちに前各号の一に該当する者のあるもの

 (変更の許可及び届出)

第55条 第52条第1項の許可を受けた者(以下「使用者」という。)は、同条第2項第二号から第四号まで又は第六号から第八号までに掲げる事項を変更しようとするときは、政令で定めるところにより、内閣総理大臣の許可を受けなければならない。

2 使用者は、第52条第2項第一号又は第五号に掲げる事項を変更したときは、変更の日から30日以内に、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。

3 第53条の規定は、第1項の許可に準用する。

 (許可の取消等)

第56条 内閣総理大臣は、使用者が次の各号の一に該当するときは、第52条第1項の許可を取り消し、又は1年以内の期間を定めて核燃料物質の使用の停止を命ずることができる。

一 第54条第二号から第四号までの一に該当するに至ったとき。

二 前条第1項の規定により許可を受けなければならない事項を許可を受けないでしたとき。

三 次条から第60条までの技術上の基準に違反したとき。

四 第62条第1項の条件に違反したとき。

 (使用の基準)

第57条 使用者は、核燃料物質を使用する場合においては、総理府令で定める技術上の基準に従ってしなければならない。

 (廃棄の基準)

第58条 使用者は、核燃料物質又は核燃料物質によって汚染された物を廃棄する場合においては、総理府令で定める技術上の基準に従ってしなければならない。

 (運搬の基準)

第59条 使用者及び原子燃料公社、日本原子力研究所、製錬事業者、加工事業者、原子炉設置者又は使用者から運搬を委託された者は、核燃料物質を運搬する場合(船舶又は航空機により運搬する場合を除く。)においては、総理府令(鉄道、軌道、索道、無軌条電車、自動車及び軽車両による運搬については、運輸省令)で定める技術上の基準に従ってしなければならない。

 (保管の基準)

第60条 使用者及び原子燃料公社、日本原子力研究所、製錬事業者、加工事業者、原子炉設置者又は使用者から保管を委託された者は、核燃料物質を保管する場合においては、総理府令で定める技術上の基準に従ってしなければならない。

 (譲渡及び譲受の制限)

第61条 核燃料物質は、次の各号の―に該当する場合のほか、譲り渡し、又は譲り受けてはならない。ただし、条約その他の国際約束に基き国が核燃料物質を譲り受け、若しくはその核燃料物質を譲り渡し、又は国からその核燃料物質を譲り受ける場合は、この限りでない。

一 原子燃料公社が日本原子力研究所、製錬事業者、加工事業者、原子炉設置者若しくは使用者に核燃料物質を譲り渡し、又はこれらの者から核燃料物質を譲り受ける場合

二 日本原子力研究所が原子燃料公社、製錬事業者、加工事業者、原子炉設置者若しくは使用者に核燃料物質を譲り渡し、又はこれらの者から核燃料物質を譲り受ける場合

三 製錬事業者が原子燃料公社、日本原子力研究所、加工事業者、原子炉設置者、使用者若しくは他の製錬事業者に核燃料物質を譲り渡し、又はこれらの者から核燃料物質を譲り受ける場合

四 加工事業者が原子燃料公社、日本原子力研究所、製錬事業者、原子炉設置者、使用者若しくは他の加工事業者に核燃料物質を譲り渡し、又はこれらの者から核燃料物質を譲り受ける場合

五 原子炉設置者が原子燃料公社、日本原子力研究所、製錬事業者、加工事業者、使用者若しくは他の原子炉設置者に核燃料物質を譲り渡し、又はこれらの者から核燃料物質を譲り受ける場合

六 使用者が原子燃料公社、日本原子力研究所、製錬事業者、加工事業者、原子炉設置者若しくは他の使用者に核燃料物質を譲り渡し、又はこれらの者から第52条第1項の許可(第55条第1項の許可を合む。)を受けた種類の核燃料物質を譲り受ける場合

七 原子燃料公社、日本原子力研究所、製錬事業者、加工事業者、原子炉設置者又は使用者が核燃料物質を輸出し、又は輸入する場合

八 第66条第1項の規定に基く命令で定めるところにより、核燃料物質を譲り渡し、又はその核燃料物質を譲り受ける場合

第7章 雑則

 (指定又は許可の条件)

第62条 この法律に規定する指定又は許可には、条件を附することができる。

2 前項の条件は、指定又は許可に係る事項の確実な実施を図るをめ必要な最小限度のものに限り、かつ、指定又は許可を受ける者に不当な義務を課することとならないものでなければならない。

 (事故届)

第63条 原子燃料公社及び日本原子力研究所並びに製錬事業者、加工事業者、原子炉設置者及び使用者(第66条第1項に規定する者を含む。以下次条第1項において同じ。)並びにこれらの者から運搬又は保管を委託された者は、その所持する核燃料物質(使用済燃料を
含む。以下次条第1項及び第3項並びに第66条第1項及び第4項において同じ。)について盗取、所在不明その他の事故が生じたときは、遅滞なく、その旨を警察官又は海上保安官に届け出なければならない。

 (危険時の措置)

第64条 原子燃料公社及び日本原子力研究所並びに製錬事業者、加工事業者、原子炉設置者及び使用者並びにこれらの者から運搬又は保管を委託された者は、その所持する核燃料物質又は原子炉に関し、地震、火災その他の災害が起ったことにより、核燃料物質又は原子炉による災害が発生するおそれがあり、又は発生した場合においては、直ちに、命令で定めるところにより、応急の措置を講じなければならない。

2 前項の事態を発見した者は、直ちに、その旨を警察官又は海上保安官に通報しなければならない。

3 主務大臣は、第1項の場合において、核燃料物質又は原子炉による災害を防止するため緊急の必要があると認めるときは、同項に規定する者に対し、製錬施設、加工施設、原子炉施設、再処理施設又は使用施設の使用の停止、核燃料物質の所在場所の変更その他核燃料物質又は原子炉による災害を防止するために必要な措置を講ずることを命ずることができる。

 (事業の廃止等の届出)

第65条 製錬事業者若しくは加工事業者がその事業を廃止し、原子炉設置者が当該許可に係る原子炉のすべての運転を廃止し、又は使用者が当該許可に係る核燃料物質のすべての使用を廃止したときは、その製錬事業者、加工事業者、原子炉設置者又は使用者は、命令で定めるところにより、その旨を主務大臣に届け出なければならない。

2 前項の規定による届出をしたときは、第3条第1項の指定又は第13条第1項、第23条第1項若しくは第52条第1項の許可は、その効力を失う。

3 製錬事業者が解散し、若しくは死亡した場合において、第8条第1項若しくは第9条第1項の規定による承継がなかったとき、加工事業者が解散し、若しくは死亡した場合において、第18条第1項若しくは第19条第1項の規定による承継がなかったとき、又は原子炉設置者が解散し、若しくは死亡した場合において、第31条第1項若しくは第32条第1項の規定による承継がなかったときは、それぞれその清算人若しくは破産管財人、又は相続人に代って相続財産を管理する者は、命令で定めるところにより、その旨を主務大臣に届け出なければならない。

4 使用者が解散し、又は死亡したときは、その清算人、破産管財人若しくは合併後存続し、若しくは合併により設立された法人の代表者又は相続人若しくは相続人に代って相続財産を管理する者は、命令で定めるところにより、その旨を主務大臣に届け出なければならない。

 (指定又は許可の取消、事業の廃止等に伴う措置)

第66条 第10条の規定により指定を取り消された製錬事業者、第20条、第33条若しくは第56条の規定により許可を取り消された加工事業者、原子炉設置者若しく使用者又は前条第1項、第3項若しくは第4項の規定により届出をしなければならない者は、命令で定めるところにより、核燃料物質を譲り渡し、核燃料物質による汚染を除去し、又は核燃料物質若しくは核燃料物質によって汚染された物を廃棄する等の措置を講じなればならない。

2 第58条の規定は、前項に規定する者が核燃料物質又は核燃料物質によって汚染された物を廃棄する場合に、第59条及び第60条の規定は、同項に規定する者及びこれらの者から運搬又は保管を委託された者が核燃料物質を運搬し、又は保管する場合に準用する。

3 第1項に規定する者は、指定若しくは許可を取り消された日、製錬若しくは加工の事業を廃止した日、)原子炉のすべての運転若しくは核燃料物質のすべての使用を廃止した日又は製錬事業者、加工事業者、原子炉設置者若しくは使用者が解散し、若しくは死亡した日からそれぞれ30日以内に、同項の規定により講じた措置を主務大臣に報告しなければならない。

4 主務大臣は、第1項に規定する者の講じた措置が適切でないと認めるときは、同項に規定する者に対し、核燃料物質又は原子炉による災害を防止するために必要な措置を講ずることを命ずることができる。

 (報告徴収)

第67条 主務大臣は、この法律の施行に必要な限度において、政令で定めるところにより、原子燃料公社、日本原子力研究所、製錬事業者、加工事業者、原子炉設置者又は使用者に対し、その業務に関し報告をさせることができる。

 (立入検査)

第68条 主務大臣は、この法律の施行に必要な限度において、その職員に、原子燃料公社、日本原子力研究所、製錬事業者、加工事業者、原子炉設置者又は使用者の事務所又は工場若しくは事業所(原子炉を船舶に設置する場合にあっては、その船舶)に立ち入り、その者の帳簿、書類その他必要な物件を検査させ、又は関係者に質問させることができる。

2 前項の規定により職員が立ち入るときは、その身分を示す証明書を携帯し、かつ、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。

3 第1項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

 (聴聞)

第69条 主務大臣が第10条、第20条、第33条又は第56条の規定による処分をする場合及び科学技術庁長官が第41条第3項の規定による処分をする場合においては、当該処分に係る者に対して、相当の期間を置いて予告をした上、公開による聴聞を行わなければならない。

2 前項の予告においては、期日、場所及び事案の内容を示さなければならない。

3 聴聞に際しては、当該処分に係る者及び利害関係人に対して、当該事案について証拠を提示し、意見を述べる機会を与えなければならない。               

 (訴願)

第70条 この法律の規定(第41条を除く。)による主務大臣の処分に対して不服のある者は、処分の日から30日以内に、主務大臣に訴願することができる。

2 第41条第1項から第3項までの規定による科学技術庁長官の処分に対して不服のある者は、処分の日から30日以内に、内閣総理大臣に訴願することができる。

(通商産業大臣又は運輸大臣の同意等)

第71条 主務大臣は、第23条第1項、第26条第1項、第31条第1項、第33条又は第39条第1項若しくは第2項の規定による処分をする場合においては、あらかじめ、発電の用に供する原子炉に係るものについては通商産業大臣、船舶に設置する原子炉(原子炉を設置する船舶を含む。)に係るものについては運輸大臣の同意を得なければならない。

2 通商産業大臣又は運輸大臣は、前項の同意を求められた事項に関し特に調査する必要があると認める場合においては、当該原子炉設置者(第23条第1項又は第39条第1項若しくは第2項の許可の申請者を含む。)から必要な報告を徴し、又はその職員に、当該原子炉設置者の事務所若しくは工場若しくは事業所(原子炉を船舶に設置する場合にあっては、その船舶)に立ち入り、その者の帳簿、書類その他必要な物件を検査させ、関係者に質問させることができる。

3 第68条第2項及び第3項の規定は、前項の規定による立入検査に準用する。

4 主務大臣は、第36条、第37条第1項若しくは第3項、第38条第2項、第43条、第64条第3項若しくは第66条第4項の規定による処分をし、又は第26条第2項若しくは第3項、第32条第2項、第38条第1項、第40条第2項若しくは第65条第1項若しくは第3項の規定による届出若しくは第66条第3項の報告を受理した場合において、その処分又は届出若しくは報告が、発電の用に供する原子炉に係るものであるときは通商産業大臣、船舶に設置する原子炉に係るものであるときは運輸大臣に対し、遅滞なく、その処分の内容を通報し、又はその届出若しくは報告の写を送付しなければならない。

 (国家公安委員会等に対する連絡)

第72条 主務大臣は、第3条第1項の指定をし、第6条第1項、第13条第1項、第16条第1項、第23条第1項、第26条第1項、第39条第1項若しくは第2項、第52条第1項若しくは第55条第1項の許可をし、第10条の規定により指定を取り消し、第20条、第33条若しくは第56条の規定により許可を取り消し、又は第65条第1項、第3項若しくは第4項の規定による届出を受理したときは、政令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を国家公安委員会又は海上保安庁長官に連絡しなければならない。

 (適用除外)

第73条 第27条から第29条までの規定は、電気に関する臨時措置に関する法律(昭和27年法律第341号)の規定によりその例によるものとされた旧公益事業令(昭和25年政令第343号)附則第3項の規定によりなお効力を有する旧電気事業法(昭和6年法律第61号)及び同法に基く命令の規定による検査又は船舶安全法(昭和8年法律第11号)及び同法に基く命令の規定による検査を受けるべき原子炉施設については、適用しない。

 (主務大臣)

第74条 この章における主務大臣は、製錬事業者に係る事項については内閣総理大臣及び通商産業大臣、その他の事項については内閣総理大臣とする。

 (手数料の納付)

第75条 次の各号の―に掲げる者は、政令で定めるところにより、手数料を納めなければならない。

一 第3条第1項の指定を受けようとする者

二 第6条第1項、第13条第1項、第16条第1項、第23条第1項、第26条第1項、第39条第1項若しくは第2項、第52条第1項又は第55条第1項の許可を受けようとする者

三 第27条又は第45条(第51条において準用する場合を含む。)の認可を受けようとする者

四 第28条第1項、第29条第1項又は第46条第1項(第51条において準用する場合を含む。)の検査を受けようとする者

五 第41条第1項第一号の原子炉主任技術者試験を受けようとする者

六 原子炉主任技術者免状の再交付を受けようとする者

 (国に対する適用)

第76条 この法律の規定は、第70条及び前条並びに次章の規定を除き、国に適用があるものとする。 この場合において、「指定」、「許可」又は「認可」とあるのは、「承認」とする。

第8章 罰則

第77条 次の各号の一に該当する者は、3年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

一 第3条第1項の指定を受けないで製錬の事業を行った者

二 第10条第2項又は第20条第2項の規定による事業の停止の命令に違反した者

三 第13条第1項の許可を受けないで加工の事業を行った者

四 第23条第1項の許可を受けないで原子炉を設置した者

五 第33条第2項の規定による原子炉の運転の停止の命令に違反した者

六 第39条第1項の許可を受けないで原子炉若しくは原子炉を含む一体としての施設(原子炉を設置した船舶を含む。)を譲り受け、又は同条第2項の許可を受けないで原子炉を設置した船舶を譲り受けた者

七 第44条の規定に違反した者

八 第52条第1項の許可を受けないで核燃料物質を使用した者

九 第56条の規律による核燃料物質の使用の停止の命令に違反した者

第78条 次の各号の一に該当する者は、1年以下の懲役若しくは10万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

一 第6条第1項の規定により許可を受けなければならない事項について、同項の許可を受けないで第3条第2項第二号又は第三号に掲げる事項を変更した者

二 第16条第1項の規定により許可を受けなければならない事項について、同項の許可を受けないで第13条第2項第二号又は第三号に掲げる事項を変更した者

三 第26条第1項の規定により許可を受けなければならない事項について、同項の許可を受けないで第23条第2項第二号から第五号まで又は第八号に掲げる事項を変更した者

四 第29条第1項の規定に違反して原子炉施設を使用した者

五 第40条第1項の規定に違反した者

六 第46条第1項(第51条において準用する場合を含む。)の規定に違反して再処理施設を使用した者

七 第55条第1項の許可を受けないで第52条第2項第二号から第四号まで又は第六号から第八号までに掲げる事項を変更した者

八 第61条の規定に達反した者

九 第64条第1項の規定に違反し、又は同条第3項の規定による命令に違反した者

第79条 次の各号の一に該当する者は、5万円以下の罰金に処する。

第12条第1項、第22条第1項、第37条第1項又は第50条第1項(第51条において準用する場合を含む。)の規定に違反した者

二 第12条第3項、第22条第3項、第37条第3項又は第50条第3項(第51条において準用する場合を含む。)の規定による命令に違反した者

三 第36条又は第49条(第51条において準用する場合を含む。)の規定による命令に違反した者

四 第38条第1項の規律による届出をしない、で原子炉を解体し、又は同条第2項の規定による命令に違反した者

五 第57条、第58条(第66条第2項において準用する場合を含む。)、第59条(第66条第2項において準用する場合を含む。)又は第60条(第66条第2項において準用する場合を含む。)の規定に違反した者

六 第62条第1項の条件に違反した者

七 第66条第1項の規定に違反し、又は同条第4項の規定による命令に違反した者

第80条 次の各号の一に該当する者は、1万円以下の罰金に処する。

一 第11条、第21条、第34条又は第47条(第51条において準用する場合を含む。)の規定に違反して、記録せず、若しくは虚偽の記録をし、又は記録を備えて置かなかった者

二 第63条若しくは第65条第1項、第3項若しくは第4項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者

三 第67条の報告をせず、又は虚偽の報告をした者

四 第68条第1項の規定による立入若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をした者

第81条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して前4条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。

第82条 次の各号の一に該当する者は、1万円以下の過料に処する。

一 第7条若しくは第17条の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者

二 第30条の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者

三 第40条第2項の規定による届出を怠った者

四 正当な理由なく、第41条第3項の規定による命令に違反して原子炉主任技術者免状を返納しなかった者

五 第66条第3項の報告をせず、又は虚偽の報告をした者

第83条 第6条第2項、第9条第2項、第16条第2項、第19条第2項、第26条第2項若しくは第3項、第32条第2項又は第55条第2項の規定による届出を怠った者は、5千円以下の過料に処する。

附則

 (施行期日)

第1条 この法律は、公布の日から起算して6月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第41条第1項及び第4項並びに第75条第五号及び第六号の規定は、公布の日から施行する。

 (経過措置)

第2条 この法律の施行の際現に製錬の事業を行っている者は、この法律の施行の日から起算して60日間は、第3条第1項の指定を受けないでも、引き続きその事業を行い、及びその事業の用に供するため核燃料物質を使用することができる。その者が、その期間内にその事業について同項の指定の申請をした場合において、指定をする旨又は指定をしない旨の通知を受ける日までの期間についても、同様とする。

2 前項の規定により引き続き製錬の事業を行うことができる者のうち、同項前段に規定する期間内に第3条第1項の指定の申請をしない者又はその期間内に同項の指定の申請をした者で指定をしない旨の通知を受けたものは、その事業を廃止したときは、廃止の日から15日以内に、その旨を内閣総理大臣及び通商産業大臣に届け出なければならない。

3 第1項の規定により引き続き製錬の事業を行うことができる者のうち、同項前段に規定する期間内に第3条第1項の指定の申請をした者で指定をする旨の通知を受けたものに第12条第1項の規定を適用する場合には、同項中「事業開始前に」とあるのは、「指定を受けた日から30日以内に」とする。

第3条 この法律の施行の際現に日本原子力研究所が設置している原子炉施設については、第27条から第29条までの規定は、適用しない。

2 この法律の施行の際現に日本原子力研究所が設置している原子炉施設について、日本原子力研究所に第37条第1項の規定を適用する場合には、同項中「原子炉の運転開始前に」とあるのは、「この法律の施行の日から30日以内に」とする。

第4条 この法律の施行の際現に核燃料物質を使用している者は、附則第2条第1項に規定する場合及び日本原子力研究所がこの法律の施行の際現に設置している原子炉に核燃料物質を燃料として使用する場合を除き、この法律の施行の日から起算して30日間は、第52条第1項の許可を受けないでも、引き続き核燃料物質を使用することができる。その者が、その期間内に核燃料物質の使用について同項の許可の申請をした場合において、許可をする旨又は許可をしない旨の通知を受ける日までの期間についても、同様とする。

2 前項の規定により引き続き核燃料物質を使用することができる者のうち、同項前段に規定する期間内に第52条第1項の許可の申請をしない者又はその期間内に同項の許可の申請をした者で許可をしない旨の通知を受けたものは、核燃料物質の使用を廃止したときは、廃止の日から15日以内に、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。

第5条 附則第2条第2項又は前条第2項の規定により届出をしなければならない者は、総理府令、通商産業省令又は総理府令で定めるところにより、核燃料物質を譲り渡し、核燃料物質による汚染を除去し、又は核燃料物質若しくは核燃料物質によって汚染された物を廃棄する等の措置を講じなければならない。この場合において、内閣総理大臣及び通商産業大臣(前条第2項に係る場合にあっては、内閣総理大臣)は、これらの者の講じた措置が適切でないと認めるときは、これらの者に対し、核燃料物質又は核燃料物質によって汚染された物による災害を防止するために必要な措置を講ずることを命ずることができる。

第6条 この法律の施行の際現に核燃料物質を所有している者(日本原子力研究所並びに附則第2条第1項の規定により引き続き製錬の事業を行うことができる者で第3条第1項の指定を受けたもの及び附則第4条第1項の規定により引き続き核燃料物質を使用することができる者で第52条第1項の許可を受けたものを除く。)が、総理府令で定めるところにより、その際所有する核燃料物質を原子燃料公社、日本原子力研究所、製錬事業者、加工事業者、原子炉設置者若しくは使用者に譲り渡し、又はこれらの者がその核燃料物質を譲り受ける場合には、第61条の規定は、適用しない。

第7条 前5条に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

第8条 附則第2条第2項又は附則第4条第2項の規定による届出を怠った者は、1万円以下の罰金に処する。

2 附則第5条前段の規定に違反し、又は同条後段の規定による命令に違反した者は、5万円以下の罰金に処する。

 (科学技術庁設置法の一部改正)

第9条 科学技術庁設置法(昭和31年法律第49号)の一部を次のように改正する。第4条中第二十号を第二十一号とし、第十九号の次に次の一号を加える。

二十 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和32年法律第166号)に基く内閣総理大臣の権限に属する事項について内閣総理大臣を補佐すること。

 (核原料物質開発促進臨時措置法の一部改正)

第10条 核原料物質開発促進臨時措置法(昭和31年法律第93号)の一部を次のように改正する。

第2条を次のように改める。

 (定義)

第2条 この法律で核原料物質とは、ウラン鉱及びトリウム鉱をいう。

 (原子燃料公社法の一部改正)

第11条 原子燃料公社法(昭和31年法律第94号)の一部を次のように改正する。

第19条第1項中第六号を第七号とし、第五号を第六号とし、第四号を第五号とし、第三号の次に次の一号を加える。

四 核燃料物質の再処理を行うこと。

第19条に第2項中「前項第六号」を「前項第七号」に改める。


付帯決議 (32.5.14衆議院科学技術振興対策特別委員会)

 原子力開発の重大性に鑑み、政府は本法の施行にあたり、左記励行方努力すべきである。


一 原子力発電の実施にあたっては、特に原子力委員会の設定する開発計画に準拠し、原子力をして公共の福祉と国民生活の向上に寄与せしめること。

二 原子炉の運転に伴う使用済燃料又はその処理の結果生ずる核燃料物質等については、軍事的利用に供せられる場合、これを外国に譲渡し又は輸出しないこと。なお、原子炉の運転に伴う使用済燃料の処理に関しては、なるべく速かにその設備を完成すること。

三 原子力に関する内外の知見を摂取し得る機会を積極的に造成し、併せて技術者の大幅養成を図ること。

右決議する。


 本法律と同時に公布された「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律」(昭和32年6月10日公布法律第167号)は、次号に掲載する予定である。