放射能調査の総合推進に関する機構等について

 放射能調査の計画については、本誌2月号(41ぺ−ジ)で放射能調査計画要綱ならびに昭和32年度放射能調査計画の概要を説明したとおりであって、おおむねこの計画にもとづき、関係各機関では目下実施に移すべく着々その準備を進めている。
 しかし、先月から始まった英国のクリスマス島の水爆実験、米国のネバダにおける実験等により、ますますこの科学的総合調査の重要性が加わってきた。一方衆議院科学技術振興対策特別委員会においてもその決議として放射能調査を早急に総合的に調査するよう機構等の整備について科学技術庁長官に決議文が送付されてきた。
 したがって、これら四囲の情勢ならびに従来からこの面の組織および調査が比較的等閑視さていた状況にかんがみ、原子力委員会において放射能調査専門委員会を設けることが決定され、また、科学技術庁においても放射能調査連絡会を設け、原子力委員会の決定する方針にもとづく放射能調査の総合推進をはかることになった。
 これら両機関の目的、任務、組織等は次のとおりであって、両者が相提携してわが国の放射能調査が組織的かつ能率的に実施され、わが国の国民生活の安定に役立つとともに世界平和に貢献するものと考える。

放射能調査専門委員会

1.目的および設置

 最近大気、地表、海洋、動植物等の放射能が漸次高まりつつある実情にかんがみ、自然放射能ならびに人工放射能の分布状況の調査を推進し、かつ、所要の総合調整を図るとともに、常時その調査結果を把握することを目的として、原子力委員会に放射能調査に関する専門委員会(以下「専門委員会」という。)をおく。

2.任務

 専門委員会は下記事項に関し調査審議する。

(1)放射能調査実施のための総合計画
(2)本調査に採用すべき放射能の測定方法およびストロンチウム、セシウム等の分析方法
(3)調査結果の審議
(4)放射能調査に関する国際協力の方針
(5)その他放射能調査に関し、原子力委員会が必要と認めた事項

3.組織

  専門委員会は、関係行政機関の職員および学識経験者をもって組織する。

4.運営

(1)専門委員会の運営に関し、必要な事項は専門委員会が定める。
(2)専門委員会の庶務は科学技術庁原子力局において行う。

5.その他

 専門委員会がその任務の遂行にあたっては、日本学術会議および原爆被害対等に関する調査研究連絡協議会と緊密な協力をすること。

放射能調査の総合推進に関する暫定措置要綱(放射能調査連絡会要綱)

1.目的および設置

 わが国土およびその周辺の自然放射能ならびに人工放射能の分布状況の調査を推進し、かつ所要の総合調整を図るとともに常時その調査結果を把握することの必要性にかんがみ、原子力委員会の決定する方針にもとづく放射能調査の総合推進をはかるため、暫定的機構として科学技術庁に放射能調査連絡会

(以下「連絡会」という。)をおく。

2.任務

 連絡会の任務は下記の事項に関し直接実施する。

(1)放射能調査の総合計画を実施に移すための必要な事務
(2)本調査に採用する測定方法、分析方法の実施を確保するための事務
(3)調査結果の取りまとめに関すること
(4)放射能調査に必要な経費に関すること
(5)その他放射能調査に関し必要な事項

3.組織

 連絡会は、関係行政機関の職員をもって組織する。

4.運営

(1)連絡会の運営に関し必要な事項は連絡会が定める。

(2)連絡会の事務は科学技術庁原子力局において行う。

5.その他

 連絡会がその任務の遂行にあたっては、日本学術会議および原爆被害対策に関する調査研究連絡協議会と緊密な協力をすること。