諸外国における原子力関係施設の視察許可
取付に関する手続および注意事項について


 海外諸国における原子力関係施設等の視察については、関係在外公館等から外務省を通じ許可取付手続や注意事項についてしばしば関係各方面に対し通知がなされており、本誌においてはすでに第1巻第3号(47ページ)、第2巻第2号(49ページ)等において紹介したところであるが、このほど担当の外務省国際協力局第3課において次にしるすような米、英、加、仏の各国における原子力関係施設の視察許可取付に関する手続および注意事項という資料を作成したので以下に紹介する。

  諸外国における原子力関係施設の視察許可取付に関する手続および注意事項

 本資料は、米、英、加、仏の各国における原子力関係施設の視察許可取付に関する手続および注意事項につき当該在外公館からの報告を取りまとめ執務参考用ならびに関係者の便宜に供するため作成したものである。

1 米  国

(1)米原子力委員会施設の視察を希望する場合

(1)視察の申込は原則として外務省を経由し少なくとも3週間前に在米大使館に申し出ること。

(2)視察希望者は原則として本人の所属する部所の責任者から外務省国際協力局長あてに下記事項を記載した書類(1件につき和文2通、英文3通)を添付した視察許可取付方に関する依頼状を繰出すること。

(イ) 氏名、生年月日、出生地、住所、職業
(ロ) 訪問希望個所(関係省、場所、施設名、できれば、訪問先関係官氏名を明記のこと)
(ハ) 視察目的(具体的に記載のこと)
(ニ) 訪問日時

(3) 注意事項

(イ) 視察の少なくも前日までに視察個所になるべく電話をもって連絡すること。
(ロ) 本人の専門に直接関係のない場所を単なる土産話の種に漫然と視察することはなるべく止めること。
(ハ) 視察直前に訪問日時を変更しないこと。
(ニ) やむを得ず日時を変更しあるいは取り止める場合はなるべく早目に先方に通知すること。

(4) 許可取付に要する期間

   多くの場合2週間ないし1ヵ月を必要とする。

(5) アルコ国立原子力研究所の視察について

  本年1月18日在米大使館からの報告によれば、最近各国からの同研究所MTR(材料試験原子炉)の視察者が激増し、同研究所においては業務に差支えが生ずるにいたった趣であり、このため同大使館では米原子力委員会からの要請によりMTRを視察することが特に必要と認められる者に限り視察許可の申入れを行うこととなった。したがって、今後同大使館では視察希望者から訪問の理由を十分聴取し、場合によっては視察許可申請を断ることもあり得るので、関係の向はあらかじめ上記事情を了知しおかれたい。

(2)米原子力委員会との契約事業を行っているため許可を要する民間施設の場合

 この場合は次の手順を経れば比較的に早く許可を取得することができる。

(1)視察しようとする本人から、視察希望個所に交渉し、先方から何処の許可をとる必要があるかの返事を取付け、その写を原則として外務省を経由し在米大使館へ提出する。この際、視察場所、視察目的および許可を発行する政府機関名を具体的に明示することが望ましい。

(2)前項の視察先からの返事写に添えて(1)に述べた書類を、原則として外務省を経由し在米大使館へ提出する。

2 カ ナ ダ

(1)カナダの原子力関係施設の視察許可取付は、前記米国の場合における提出書類および注意事項を準用する。

(2)本年1月7日、在カナダ大使館からの報告によれば、チョーク・リヴァー原子力研究所では、最近同所の訪問者が激増しその応待に忙殺されているため、カナダ外務省は同大使館に対し、同所の訪問者数を制限する趣旨ではないが、1人または2人で別個に来訪する訪問者を、でき得るならば、同時に案内することが双方にとり好都合と思われるので同大使館に上記配慮方申入れがあった。
 ついては、研究所視察は各人の旅程、研究目的の相違等により同一行動をとることの困難な場合が多いとは考えられるが、同大使館においては、今後なるべく先方の希望にそうよう実施することとなったので、関係の向はあらかじめ上記事情を了承しおかれたい。

3 英  国

 英国における視察許可取付も前記米国の場合における提出書類および注意事項を準用する。
 なお、上記手続の際は特に本人の旅券番号を通知する必要がある。

4 フランス

(1)フランスの原子力関係施設の視察中諸手続も前記米国の場合における提出書類および注意事項を準用するが、さらに下記の点を留意しなければならない。

(1)視察は原則として科学的、技術的知識を有するもののために許可されている。
(2)週日中は「正式訪仏の大臣級」のもの以外は原則として許可されない。したがって事前の許可を得た公開日(土曜午前中)以外の一般の視察はほとんど不可能である。
(3)視察許可申請は可及的長期の時間的余裕をもって提出する必要がある。
(4)視察者多数の場合は、拒否されることもあり得る。

(2)昨年12月18日、在フランス大使館の報告によれば、フランス原子力庁は当分の間、原則としてサクレ原子力研究所の見学を許可しない趣である。