訪英原子力発電調査団の帰国と調査中間報告

 訪英原子力発電調査団のうち、帰途アメリカを経由した石川団長(原子力委員会委員)以下法貴原子力局次長、日本原子力研究所嵯峨根理事、同原所員の4氏をのぞく一本松副団長(関西電力)、藤波(原子力局管理課長)、弘田(日本原子力研究所)、辻本(東京電力)、大山(東京工業大学)、稲生(三菱日本重工)の各氏は去る11月27日朝羽田着用国した。一行はただちに正力原子委員会委員長に帰国の挨拶を行い、一本松副団長から調査結果の報告が行われた。また、原子力委員会および同参与会にも全員出席して報告を行った。

 一行はまた中間報告として以下に記すような報告書を発表した。なお12月18日と予定されている石川団長以下の帰国をまって調査団としての正式最終報告が提出されるはすである。

英国の原子力発電に関する調査中間報告
(昭和31年12月13日)

訪英原子力調査団

目  次

第1章 調査経過の概要
第2章 原子力開発の現状
第3章 原子燃料について
第4章 原子力発電所計画の技術的内容
第5章 原子力発電所の経済性
第6章 原子力発電設備をわが国に導入するとした場合の契約条件等
第7章 結 論

第1章 調査経過の概要

 われわれ調査団は10月29日より11月16日にわたり第1表に示す日程によってUnited Kingdom Atomic Energy Authority(英国原子力公社、以下AEAと略称する)、Central Electricity Authority(中央電力公社、以下CEAと略称する)および製造会社グループの関係者との会談並びに関係諸施設の視察を行って、英国の原子力開発の状況を調査し、特に天然ウラン黒鉛ガス冷却型発電炉(以下英国型発電炉と略称する)が日本へ導入するに適するか否かについて技術上経済上の検討を行い、またそれを導入するとした場合の諸条件についても調査を行った。

第1表    調  査  日  程  表

第2章 原子力開発の現状

1 英国は原子力の重要性に着目して戦後ただちに国の事業として大規模な開発に着手し、Harwellに基礎研究所を、RisleyにIndustrialGroup Headquaters(工業化本部以下Risley本部と略称する)を設置し、ここでの基礎研究と総合計画のもとにWindscaleプルトニウム生産炉およびその化学処理工場、Springfields燃料製造工場の整備拡充を図り、更にCalderHall発電所の建設へと、強力にその推進を図ってきた。これらはすべてAEAの管理するところとなっており、関係従業員の総数約24,000人、年経費500億円以上に達する。

 当初は国防的見地からプルトニウムの生産に力を注いだが、同国における動力不足の実情から、プルトニウムの生産と同時に電力もあわせて発生することの経済性に着目してHarwell,Windscaleにおける経験にもとづいて大規模の天然ウラン黒鉛ガス冷却型原子炉の建設を決意し、鋭意これが実現に努力を集中してきた。その結果今回Calder Hallにおける第1期工事を完成して、去る10月17日女王臨席のもとに開所式を行い、約4万kWの電力を生産することに成功した。本炉はプルトニウム生産を主目的としているので電力経済的には能率の低いものではあるがその性能が計画値を達成していることは、基礎研究の成果が実証されたものといえよう。なおAEAは現在Calder Hallを4倍の規模(原子炉4基、電気出力約16万kW)に拡充する工事を進めており、更にChapel Crossに同規模同型式(Pu生産が主、電力副のもの)のものの建設を開始している。

 2 現在英国における原子力発電の開発は、前記のAEA指導のもとに、CEAおよびSSEB(South Scottland Electricity Board)の両電力公社並びに四つの製造会社グループの三者の有機的協力態勢によって遂行されつつある。すなわち、AEAは前述のごとき諸施設を擁して、基礎研究、および原型(Prototype)としての原子力発電所の開発、並びに燃料の製造および化学処理を行っており、CEA、SSEBは電力供給の責任上営業用の原子力発電所の開発に当り、今後10年間に約12ヵ所200万kW以上の原子力発電所を建設する長期計画をもっている。なおこの計画は将来400万kWていどまでに拡大される模様である。

 その第一着手として、CEAはBradwelIとBerkeleyに、SSEBはHunterstonにそれぞれ20〜30万kWの発電所を建設すべく準備を進めており、これら3発電所は総工事費邦価約1,000億円におよぶ工事である。これらの発電所はCalder Hall炉を原型としこれを発電を主目的に仕様を変えたもので、すでに四つのmakergroupsから入札済であり(CEAは10月1日SSEBには11月1日)今年末には決定発注し、いずれも4年後の1960年には完成させる予定である。

 また製造会社については各専門の会社がグループを作り(現在のところおもなものは4グループ)それぞれ数百人のスタッフと実験施設を擁して、技術的にはAEAと緊密な連繋を保ちつつ、しかも経済的にはおのおの独自の責任においてこの新分野に貢献すべく清潔な活動を行っている。

 3 かくのごとく英国が未知数の多い原子力開発の初期段階において、勇敢に踏切りをつけて、かてつ多額の経費をおしまず多くの科学技術者を動員して10年間にわたり脇目をふらずに努力してきたことがCalder Hallの成功となり、また原子力発電工業化において世界をリードした原因であると考えられるが、英国は更に将来計画としてプルトニウムを使用する高速増殖炉の実現に特別の熱意を有しており、着々とこの開発を進めている。このためRisley本部においてはこの設計のみに100人のスタッフを動員しておりDounreayのPrototype高速増殖炉の現地工事はすでにその大半の工程を終っている。 民間製造会社もこの新分野には特別な関心をもち、その経過を注目している。英国としてはこの面で原子力開発史に再び大きなMilestoneを打ち樹てることを期しているが、われわれとしてもこの結果に深い関心を持つものである。

第3章 原子燃料について

1原子力発電の特殊な性格は燃料問題にあり、燃料の製造加工並びに使用済燃料の化学処理に関しては多くの技術的問題があるのみならず、多額の設備投資を要するが、英国はCalderHall発電所建設経費の数倍に及ぶ経費を投じてSpringfieldsにウラン抽出、精製、加工工場を、Windscaleに燃料再処理工場を設けてこれを実施している。

2 天然ウラン黒鉛ガス冷却型原子炉の燃料要素については、Harwell研究所における10年来の基礎研究の上にWindscaleの原子炉による7年にわたる経験をもっており、またSpring−fields工場における試作実験(Calder Hall燃料要素については200種類もの型のものについて試作実験を行った後現在の型に到達したといわれる)の結果十分の自信をもっており、その燃焼率は3,000MWD/Tを保証しうるといっている。

3 原子燃料の生産加工は将来ともAEA施設(現在ではSpringfieldsのみ)で行う方針であり、CEA等の発電炉の燃料要素については、その設計は各製造会社が各自独特の炉に合うように設計するがAEA当局で検討が加えられ、かつその製造加工はすべてAEAの責任において行って供給することになっている。

4 使用済燃料の再処理については既にWind Scale工場において有機溶剤抽出法による技術が確立されており、その能力は現在ではWind Scale炉2基、Calder Hall炉4基およびChapel Cross炉4基分までは十分処理する能力があるといわれる。

5 放射性廃棄物の処理については高放射性廃棄物は地下タンクに貯蔵し、低放射性のものは鉄管を通じて2miles沖の海中に放出されている。

 海中に放出される廃棄物の放射性はわれわれが想像するよりはるかに高放射性のものであるが実験の結果は支障がないといっている。この点注目に値する。

6 英国型発電炉を日本へ導入する場合、その燃料については両国政府間で原子力協定を結びそれにもとづいて当面わが国が希望するかぎり必要量の燃料要素の供給をうけることができ、また使用済燃料については英国に返送して再処理されることが約束される。しかし近き将来相当数の発電炉が設置される時機においては日本において燃料の製造加工および使用済燃料の再処理を行うことが必要でありかつ経済的になると考えられるから鋭意技術の確立を急ぐべきである。これについてはAEAも資料提供その他技術的援助をおしまないといっている。

7 天然ウランその他原子燃料が将来の需要に対して必要なだけ確保しうるか否かについての長期的見とおしについてはAEAは十分の確信をもっているように見られた。

第4章 原子力発電所計画の技術的内容

1 CEA等が建設する原子力発電所はわれわれが最も関心をもっているものであるが、これについてAEA、CEAから大局的な説明を受けるとともに四つの製造会社グループを歴訪して、その意図するところ並びに設計、計画の概要を見聞し、その内容を知ることができた。

 この発電所がCalder Hall発電所に比してことなる主要な点は次のごとくである。

(1)圧力容器の厚みを2"から3"ていどに増加させ、その形も場合により球形を採用して、内容積を大きくし、中性子束分布を均一化し、またCO2ガス圧力を100psigていどから130psigていどに増して出力を3〜4倍に増大させた。
(2)冷却用CO2ガス圧力の上昇により所内動力を約20%から約15%に低減を図りかつまたガス温度を340℃から380℃ていどに上げ蒸気条件を向上させて発電所の効率を上昇させた。

 net plant efr.がCalder Hallでは20%ていどのものが25%ていどとなる。

(3)燃料の燃焼率を3,000MWD/Tとしている。

(4) 燃料の取換え操作を運転中に出力を変動させることなく行い得るようにした。

(5) 発電所の制御を普通の火力発電所と同じく負荷例の要求に応じ中央制御室一ヵ所で行うようにした。

2 なおこの原子炉を日本に導入する場合について特に考慮を要する点について述べれば

(1)対地震対策

 英国では地震の経験がないのでこれに対する特別な考慮は払われていない、設計書によればgraphiteは1,500m3にも及ぶ体積をもっており、外周を10ヵ所ていど環状に締めつけているが、上下はdove tailのkey wayによって積み重ねられているだけである。また、graphiteおよびpressure vesselの保持方法は熱膨脹を考慮して可動的になっている。graphiteの締めつけやpressure vesselの保持の補強等に工夫を行えば解決しうると考えられるが、更に検討を加える必要のある問題である。

(2)原子炉の寿命と耐用年数経過後の処置

 AEAでは原子炉の寿命を一応15年として計算の基準としているが、これは控え目に過ぎるとの見解もある。graphiteの寿命が一番問題であるが、放射線損傷については研究、実験の結果既に大体の見とおしを得ており、また放射線下におけるCO2との反応については目下長期的試験を行っているがその経過から見て少なくとも15年は保証しうるとの見解をとっている。

 一度稼働した原子炉はpressure vesselの構成材料たる鉄の誘導放射能(Co60)のためpressure vesselの内に立ち入ることは困難であると考えられており、修理あるいはgrap−hiteの耐用年数が経過した後の取換えまたは廃棄処分の方法は今後の検討問題であろう。

(3)安全問題

 原子力発電所の安全問題は特に慎重な考慮を払う必要があるのでこの点について意見の交換を行ったが、英国ではこの点については明るい見とおしをもっており、特に天然ウラン黒鉛CO2ガス冷却型の炉については、CO2ガスの循環が事故のため停止しまた制御機構の動作が不良になった最悪の場合でも燃料要素基地が破損する状態にいたらない特性をもっていることが検討の結果明らかとなっており、またCO2ガスとウランとはほとんど化学的に作用しない等のことから最も安全な型の炉であるとしている。従ってCalder Hall等で特にexclusion areaはとっていない。

 しかしAEA、CEAでは初期においては世間がまだ原子力発電所の安全性について認識が少ないことを考慮して敷地選定に慎重を期しておる。CEAの発電所建設予定地であるBradwellの現地視察も行ったが、この場所はロンドンから50milesで人家の少ない河口に面した牧場である。

 敷地面積は第1期工事分約5万坪で普通の火力発電所と同ていどである。AEA、CEA等の見解は将来は電気の需要密度をも考慮してもっと都会の近くに選定されるようになるとしている。

(4)電力負荷の変動に応ずるたあの出力調整について各製造会社の計画内容をただした結果全負荷の約10%ていどまでは多少の能率の低下はあるとしても簡単に出力を減じ得、この状態から全出力にまで上昇させるに要する時間は通常の火力発電所と同ていどと考えられるので電力系統運用上問題はないと思われる。

第5章 原子力発電所の経済性

1上述の英国型原子力発電設備を日本に導入して建設するとした場合の経済性を判断する資料としてAEAは第2表に示すごとく正味出力280MWの発電所を例にとってその発電コストの試算を提示した。

第2表 AEA資料による   原子力発電所を日本へ建設した場合の発電コストの推算


 これによると

(1)建設費については建設単価をkW当り120ポンドと概定し、それにRoyaltyおよび輸送費を含めた総建設費は約3,700万ポンドとみている。
(2)燃料については初期挿入量500トン、燃料の値段は加工費も含め2万ポンド/Tとし燃焼率は3,000MWD/Tとみている。
(3)減価償却の計算は発電所の寿命を20年とし、計算方法は複利積立法によっている。
(4)金利は6.5%としている。
(5)発電所の正味熱効率は25%

 以上のような諸条件のもとに負荷率80%の場合の計算をするとkWh当り発電コストはプルトニウムのクレジットを考えなくても約3.5円になるとしている。

 これを日本の火力発電所と同一基準で比較するため、負荷率を70%とし減価償却方式を合わせ、金利を6.5%として計算すれば、新鋭の火力の現在の発電コストに比し1割ていど高い単価になる。

2 建設費については将来技術の進歩と経験によって更に低下することが予想せられ、AEAでは、近き将来少なくとも2割ていど低下すると見ているが、原子力発電所の内容が建設面から見て、普通の火力発電所に比較して特に複雑な点はないように判断されるので、その程度は十分低下するものと思われる。

3 発電所の規模は建設費および性能に関係があるが炉の単位容量については現在のところ各メーカーとも10〜15万kW(電気出力)を適当とするといっており、また通常1発電所2炉を標準にして考えている。発電所を一炉とする場合あるいは炉の容量を半分にすればおおむね2割ていど割高になると推定されている。

4 燃料の値段については現在において、加工費をも含め2万ポンド/Tであるが将来原料価格の推移、製錬、加工技術の改良進歩等によってあるていど低下する可能性があるとみられるが具体的には契約の際適当なformulaを設定して、合理的に長期的燃料値段をとりきめることができると考えられる。

5 使用済燃料については、日本において相当数の発電炉が稼働する時機まではその化学処理は採算的にも合わないであろうから当分の間英国に返送して化学処理することをAEAは提案しており、その場合の使用済燃料の買取値段は3,000MWD/Tの燃焼度のものを5,000ポンド/Tとしている。返送のための諸経費をも考慮しなければならないが、このcreditを計算に入れれば発電コストは約30銭ていど下ることになるがこれが発電コストに影響する割合は比較的少ない。

6 運転人員は普通の火力発電所並であると考えられており、修繕費その他運転経費はむしろ火力発電所の場合より少額になりうるともみられている。

7 以上を総合してみるになお詳細については検討を続ける必要のある点も存在するが、この型の原子力発電所の実用性は相当明確となってきており、普通の新鋭火力発電所に比し現在のところ若干高いように思われるが、将来の火力発電所の燃料費の趨勢等を考慮に入れれば既にいわゆる経済ベースに来たものと考えられよう。

第6章 原子力発電設備をわが国に導入するとした場合の契約条件

 日本が英国から原子力発電設備を導入するとした場合における諸条件について数度にわたり関係者と話し合ったが英国側はおおむね次のとおり考えている。

1 まず両国政府間において原子力平和利用に関する協定を結ぶ。

2 この協定にもとづいて英国から必要量の燃料を供給し、また使用済燃料については当分の間英国においてその処理を引き受ける。

3 原子力発電所設備の契約は現地工事をも含めて受託メーカーグループが一括受注するが、燃料にてついては、日本側とAEAとの間の別契約による。この場合AEAは燃料要素の性能についてGuaranteeする用意がある。

4 必要な一切の材料の調達およびその加工については受託メーカーがAEAの協力のもとに責任をもって行う。

 日本において調達しうる材料はできるだけ利用するがグラファイトの加工は英国内にて行った後輸送する。

5 受託メーカーが日本メーカーをSub−contractorとして使用することは原則として考えられるが、原子力発電所としての総括的出力ないし運転性能をGuaranteeするためには、下請範囲は慎重に考えねばならないとの態度を示している。この点具体的に話を進める場合には日本メーカーの能力等を事前に調査させ認識を深めさせる必要が感ぜられる。

6 圧力容器の熔接、基礎および遮蔽コンクリート工事、グラファイト組立工事等現場工事は英国側から必要な指導監督技術者を派遣し、できだけ多くの日本人を使用する。

7 納期は発注後運転試験を経て引渡し完了までに約4年を要し、そのほかに輸送に要する期間を見込む必要がある。

8 支払方法は通常の取引の場合と同じくProgressive Paymentにより、また物価の変動に対してはescalation clauseを適用する。英国には現在、輸出入銀行に相当するものは存在しないが、市中銀行からの借入については受注メーカーが仲に入って努力するであろうという見解もある。

9 Royaltyについては、AEAが現在まで投じて来た開発研究費の一部をcoverするために、メーカーグループから支払わせるRoyaltyと、メーカーグループ自身の開発研究費の見合う技術料とを含んだものと解せられるが、これについては英国側でも目下検討中の問題のようであり、一応総建設費の10%を提示しているが今後の具体的交渉に際して話合の余地があるものと考えられる。

第7章 結 論

以上今回の調査概要を述べきたったのであるが、これを要するに現在英国は原子力公社の指導により電力公社および四つのグループの製造業者が一致団結して、英全国民の輿望を担い、整然と組織的に原子力発電に邁進している。

 特に原子力公社は総員24,000人を擁し、そのうち、研究部門を担当するHarwell研究所はSirJohn Cockcroftのもとに世界一といわれる規模で所員5,000人を有し、10年の研究を積み重ねている。またRisleyの工業化本部は、SirChristopher Hinton指導のもとに燃料製造、原子炉の建設、Puの製造、電力の発生等の分野に開拓を進め輝かしい成果を挙げ来っている。

 すなわち、Harwell,Windscale等の基礎研究と経験の成果に信頼し、Calder Hallの大事業を開始した英国は、その第1期工事完成に引き続き同所に拡張工事を続けるとともにChapelCrossにも同様の原子炉4基を建設し始める一方電力公社を中心としてこの型を電力主目的に仕様変更した大規模発電所を3ヵ所同時に建設開始せんとしており、いずれも1960年に完成が予定されている。

 われわれの最も関心を有する電力公社発注予定の発電所については電力公社、原子力公社との会談や製造会社歴訪の間にその大要を把握することができた。また電力公社は発注が決定すればその内容を知らせてくれることになっているので、この結果を見ればすべては更に一段と明瞭となるはずである。

 われわれの特に感銘を覚えたのは電力公社も製造会社もこの発電所の建設については各人の責任において十分完成しうる自信の程を明瞭に披瀝したことで誠に力強い感じを受けた。

 次に原子力に関して不幸な経験を持っているわが国にとって安全の問題は重大関心事であるが、これについもこの型の原子炉は本質的に安全な性質を持ったものであることを知った。

 またこの型の発電所を日本に導入設置する場合の経済上の問題については、諸種の点を総合して、現在においてはその発電原価は新鋭火力発電所に比して若干高いようであるが将来原子力の発展を予想し、またわが国の石炭の事情を考えるときこの型の原子力発電は日本においてもいわゆる経済ベースに釆たと考えることができよう。

 なお日本特有の問題として地震がある。これについては、あらゆる機会を利用して英国各界の意見を徴したのであるが、未経験のため十分の解答は得られなかった。しかしこれは今後の研究により圧力容器の支持法、器内のグラファイトの保持方法等について設計上の修正を加えることにより解決しうるものと考えられる。

 この問題や経済上の諸点について今後更に検討を加えて満足な結果が得られれば、この型の原子力発電所は日本に導入するに適するものの一つであると考える。