原子力政策調査議員団の帰国

 去る9月8日アメリカに原子力政策調査のため出発した有田衆議院議員を団長とする原子力政策調査議員団は、任務を終えて10月4日帰国した。帰朝に際して同議員団は次のページに示すような声明を発表した。

 また予期以上のアメリカ官民の歓迎に対して謝意を示すとともに、非常に多忙の日程にもかかわらず多大の収穫を得たことを感謝し、特にストローズ委員長が秘密条項を含まぬ動力協定の締結は可能であると述べたことは一大収穫であると語った。

(なお、原子力政策調査議員団に対する米原子力委員長ストローズ氏の言明については次号に掲載の予定である。)

声   明

 われら原子力政策調査議員団は、去る九月八日出発以来、約三週間にわたり、米国各地の原子力施設を視察し、併せて米国官民関係者と懇談した。

 特に注目すべき要項は、米国原子力委員長ストロ−ズ氏との会談において将来日米間に予想される動力協定の締結に際しては、日本の原子力基本法に示される原子力を平和目的のみに利用すること、並びに自主、民主、公開の精神を充分了解し、日本に対し、秘密条項の如き要求を行うことなく、日本の原子力開発に全面的に協力するとの言明を得たことである。

 以下わが議員団の得た所を略述する。

 米国の原子力開発に投じつつある尨大な資金とこれに関する官民の熾烈な熱意と努力とに鑑み、わが国の原子力平和利用の推進に当り、次の諸点について万全の努力を払うべきである。

1.わが国の原子力開発を推進するため、この際原子力関係予算を劃期的に増加し、積極政策を遂行すべきである。
2.原子燃料の自給体制を確立するため、その探査、精錬に一層力を注ぎ、速かに燃料の化学処理に関する研究を促進すべきである。
3.原子炉については、材料試験炉を早急に設置することが必要であるが、動力炉についてはなお慎重に検討し、輸入計画と併行して将来の国産化を目指し、研究の促進を図ることが必要である。
4.原子力の開発には、多大の資金を要する。従ってこれを推進するためには、従来の各分野のセクショナリズムを排し、その基礎研究について官民一体の共同研究体制を確立すると共に関連産業においても協力の体制を確立すべきである。
5.原子力関係技術者の充足を図るため、特に教育を重視し、あらゆる方途を講じ原子力関係の人材を速かに養成すべきである。要するに原子力工業は劃期的総合工業なるが故に原子燃料を始め広く関連工業の研究発達に意を注ぎ一日も早く其の開発推進の体制を確立すべきである。所感の一端を述べて帰朝に際しての声明とする。

  原子力政策調査議員団

    団長   有 田  喜 一
  斎 藤  憲 三
  前 田  正 男
  松 前  重 義
  白 川  一 雄
  海 野  三 朗