核原料物質開発促進臨時措置法
(昭和31年5月4日公布法律第93号)

  第1章 総  則

(目的)

第1条 この法律は、原子力基本法(昭和30年法律第186号)第1条に規定する目的の達成に資するため、核原料物質の開発を促進することを目的とする。

(定義)

第2条 この法律で「核原料物質」とは、原子力基本法第3条第三号に規定する核原料物質をいう。

(探鉱計画)

第3条 内閣総理大臣は、通商産業大臣又は原子燃料公社(以下「公社」という。)が行う核原料物質の探鉱の合理的な実施を図るため、毎年、原子力委員会の議決を経て、核原料物質探鉱計画を定めなければならない。

2 内閣総理大臣は、前項の規定により核原料物質探鉱計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

(処分、手続その他の行為の効力)

第4条 この法律の規定によってした処分、手続その他の行為は、土地の所有者、鉱業権者、租鉱権者又は関係人の承継人に対しても、その効力を有する。

  第2章 土地及び事業場の使用

(土地等の立入)

第5条 通商産業大臣又は公社は、核原料物質の探鉱に関する測量又は実地調査のため必要があるときは、その職員に他人の土地又は鉱業権者若しくは租鉱権者の坑道、採鉱場、選鉱場、土石の捨場その他これらに類する施設(以下「事業場」という。)に立ち入らせることができる。

2 公社は、前項の規定によりその職員に他人の土地又は鉱業権者若しくは租鉱権者の事業場に立ち入らせようとするときは、科学技術庁長官の承認を受けなければならない。

3 科学技術庁長官は、前項の承認をしようとするときは、通商産業大臣に協議しなければならない。

4 第1項の規定により他人の土地又は鉱業権者若しくは租鉱権者の事業場に立ち入る職員は、あらかじめ土地の占有者又は鉱業権者若しくは租鉱権者に通知しなければならない。

 ただし、宅地若しくはかき、さく等で囲まれた土地又は鉱業権者若しくは租鉱業権者の事業場に立ち入る場合を除き、あらかじめ通知することが困難であるときは、この限りでない。

5 日出前及び日没後においては、土地の占有者又は鉱業権者若しくは租鉱権者の承諾があった場合を除き、宅地若しくはかき、さく等で囲まれた土地又は鉱業権者若しくは租鉱権者の事業場に立ち入ってはならない。

6 第1項の規定により他人の土地又は鉱業権者若しくは租鉱権者の事業場に立ち入る職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。

7 国又は公社は、第1項の規定による立入によって損失を生じたときは、損失を受けた者に対し、これを補償しなければならない。

第6条 土地の占有者又は鉱業権者若しくは租鉱権者は、正当な理由がなければ、前条第1項の規定による立入を拒み、又は妨げてはならない。

(植物の伐採)

第7条 第5条第1項の規定により他人の土地に立ち入る職員は、核原料物質の探鉱に関する測量又は実地調査のためやむを得ない必要があって障害となる植物を伐採しようとする場合において、その障害となる植物が山林、原野その他これらに類する土地にあって、その伐採についてあらかじめ所有者の承諾を得ることが困難であり、かつ、植物の現状を著しく損傷しないときは、その承諾を得ないで伐採することができる。この場合においては、遅滞なく、その旨を所有者に通知しなければならない。

2 国又は公社は、前項の規定による植物の伐採によって損失を生じたときは、損失を受けた者に対し、これを補償しなければならない。

(鉱物等の採取)

第8条 第5条第1項の規定により他人の土地又は鉱業権者若しくは租鉱権者の事業場に立ち入る職員は、核原料物質の探鉱に関する実地調査のためやむを得ない必要があるときは、あらかじめ所有者若しくは占有者又は鉱業権者若しくは租鉱権者に通知して、必要な最少限度の量に限り,鉱物又は土石を採取することができる。

2 国又は公社は、前項の規定による鉱物又は土石の採取によって損失を生じたときは、損失を受けた者に対し、これを補償しなければならない。

(事業場の一時使用)

第9条 通商産業大臣又は公社は、核原料物質の探鉱を行うためやむを得ない必要があるときは、あらかじめ鉱業権者又は租鉱権者に通知して、鉱業権者又は租鉱権者の利用を著しく妨げない限度において、その用法に従い、鉱業権者又は租鉱権者の事業場を一時使用することができる。

2 公社は、前項の規定による一時使用をしようとするときは、科学技術庁長官の承認を受けなければならない。

3 第5条第3項の規定は、前項の承認に準用する。

4 第1項の規定による一時使用の期間は、6月をこえることができない。

5 国又は公社は、第1項の規定による一時使用によって損失を生じたときは、損失を受けた者に対し、これを補償しなければならない。

(土地の使用)

第10条 通商産業大臣又は公社は、核原料物質の探鉱を行うため他人の土地を次に掲げる目的のため利用することが必要かつ適当であって、他の土地をもって代えることが著しく困難であるときは、これを使用することができる。

 一 坑口又は坑井の開設
 二 露天掘
 三 機械設備の設置
 四 坑木、火薬類その他の重要資材、鉱物又は土石の置場又は捨場の設置

2 前項の規定による使用の期間は、1年をこえることができない。

(使用の協議)

第11条 通商産業大臣又は公社は、前条第1項の規定により他人の土地を使用しようとするときは、その土地の所有者(所有者以外に権原に基いてその土地を使用する者があるときは、その者及び所有者)と土地の使用について協議しなければならない。

2 公社は、前項の規定による協議をしようとするときは、科学技術庁長官の承認を受けなければならない。

3 第5条第3項の規定は、前項の承認に準用する。

4 通商産業大臣又は公社は、第1項の規定による協議をしようとするときは、協議をしようとする日の10日前までに、その旨を公示するとともに土地の所有者及び土地に関し所有権以外の権利を有する者(以下「権利者」という。)並びに土地調整委員会に通知しなければならない。

5 通商産業大臣又は公社は、前項の規定による通知乱した日から3月を経過したときは、第1の規定による協議をすることができない。

(使用の裁決の申請)

第12条 通商産業大臣又は公社は、前条第1項の規定による協議をすることができず、又は協議がととのわないときは、その土地の使用について土地調整委員会の裁決を申請することができる。ただし、前条第4項の規定による通知をした日から3月を経過したときは、この限りでない。

(意見書の提出)

第13条 土地調整委員会は、前条の裁決の申請があったときは、その旨を公示するとともに土地の所有者及び権利者に通知し、20日を下らない期間を指定して意見書を提出する機会を与えなければならない。

2 土地調整委員会は、前項の期間を経過した後でなければ、裁決をしてはならない。

(使用の裁決)

第14条 土地を使用することができる旨の裁決においては、次に掲げる事項を定めなければならない。

 一 使用することができる土地の区域
 二 使用の方法
 三 使用の開始の時期及び使用の期間
 四 補償金の額並びにその支払の時期及び方法

(裁決の公示及び通知)

第15条 土地調整委員会は、第12条の裁決をしたときは、遅滞なく、その旨を公示するとともに通商産業大臣又は公社並びに土地の所有者及び権利者に通知しなければならない。

(使用の裁決の効果)

第16条 第14条の裁決があったときは、その裁決において定められた使用の開始の時期に、国又は公社は、その土地を使用する権利を取得し、その土地に関するその他の権利は、その土地を使用する権利の内容と抵触する限度においてその行使を制限される。

(使用の協議の効果)

第17条 第11条第1項の規定による協議がととのった場合において、当事者がその協議において定めた第14条各号に掲げる事項を土地調整委員会に届け出たときはその届け出たところに従い、土地を使用することができる旨の裁決があったものとみなす。ただし、第11条第4項の規定による通知の日から3月以内に届け出た場合に限る。

(収用の裁決)

第18条 通商産業大臣又は公社が第10条第1項の規定により他人の土地を使用する場合において、その使用によって土地の形質が変更されるときは、土地の所有者は、その土地の収用について土地調整委員会の裁決を求めることができる。

2 前項の場合において、土地の一部が収用されることによって残地を従来用いていた目的に供することが著しく困難となるときは、土地の所有者は、その全部の収用について土地調整委員会の裁決を求めることができる。

3 土地調整委員会は、第11条第1項の規定による協議又は第14条の裁決において定められた使用の期間が経過したときは、前2項の裁決をすることができない。

4 第13条及び第15条の規定は、第1項又は第2項の場合に準用する。この場合において、第13条第1項中「土地の所有者」とあるのは、「通商産業大臣又は公社」と読み替えるものとする。

第19条 土地を収用すべき旨の裁決においては、次に掲げる事項を定めなければならない。

 一 収用すべき土地の区域
 二 収用の時期
 三 補償金の額並びにその支払の時期及び方法

(収用の裁決の効果)

第20条 前条の裁決があったときは、その裁決において定められた収用の時期に、国又は公社は、その土地の所有権を取得し、その土地に関するその他の権利は、消滅する。

(損失の補償)

第21条 国又は公社は、土地の使用又は収用によってその土地の所有者又は権利者が受ける損失を補償しなければならない。

2 土地の一部の使用又は収用によって残地の価格が減じ、その他残地について損失が生ずるときは、その損失を補償しなければならない。

3 土地の一部の使用又は収用によって残地に通路、みぞ、かきその他の工作物の新築、改築、増築若しくは修繕又は盛土若しくは切土をする必要が生ずるときは、これに要する費用を補償しなければならない。

4 前2項に規定する補償のほか、土地の使用又は収用によってその土地の所有者又は権利者が通常受ける損失は、補償しなければならない。

5 土地の所有者又は権利者が第11条第4項の規定による通知を受けた後に土地の形質を変更し、工作物の新築、改築、増築若しくは大修繕をし、又は物件を附加増置したときは、これについての損失は、補償することを要しない。ただし、あらかじめ通商産業大臣又は公社の承認を受けてこれらの行為をしたときは、この限りでない。

(使用の廃止等による損失の補償)

第22条 通商産業大臣若しくは公社が第11条第4項の規定による通知をした後にその土地を第10条第1項各号に掲げる目的のため使用することを廃止した場合、第12条の規定による申請を拒否する旨の裁決があった場合又は第25条の規定により協議若しくは裁決が失効した場合において、これによってその土地の所有者又は権利者が損失を受けたときは、国又は公社は、これを補償しなければならない。

2 土地の所有者又は権利者は、前項の規定による損失の補償について通商産業大臣又は公社と協議をすることができす、又は協議がととのわないときは、土地調整委員会の裁決を申請することができる。

3 第13条、第14条第四号及び第15条の規定は、前項の場合に準用する。この場合において、第13条第1項中「公示するとともに土地の所有者及び権利者」とあるのは「通商産業大臣又は公社」と、第15条中「公示するとともに通商産業大臣又は公社並びに土地の所有者及び権利者」とあるのは「通商産業大臣又は公社及び申請人」と読め替えるものとする。

4 前項において準用する第15条の規定による通知があったときは、裁決の定めるところに従い、当事者の間に協議がととのったものとみなす。

(訟訴)

第23条 第14条、第19条又は前条第2項の裁決において定められた補償金の額について不服がある者は、第15条(第18条第4項又は前条第3項において準用する場合を含む。)の規定による通知を受けた日から60日以内に、訴をもってその額の増減を請求することができる。この場合においては、国若しくは公社又は土地の所有者若しくは権利者を被告としなければならない。

(供託)

第24条 国又は公社は、次に掲げる場合においては、補償金を供託することができる。

 一 補償金を受けるべき者がその受領を拒んだとき、又はこれを受領することができないとき。
 二 過失がなく補償金を受けるべき者を確知することができないとき。
 三 差押又は仮差押により補償金の支払を禁じられたとき。

(協議又は裁決の失効)

第25条 国又は公社が第11条第1項の規定による協議(第17条の規定による届出があったものに限る。)又は第14条若しくは第19条の裁決において定められた補償金の支払の時期までにその支払又は供託をしないときは、協議又は裁決は、その時以後その効力を失う。

(原状回復の義務)

第26条 国又は公社は、土地の使用が終ったとき、又は前条の規定により協議若しくは裁決が失効したときは、土地を原状に回復し、又は原状に回復しないことによって生ずる損失を補償して、これを返還しなければならない。

(土地収用法の準用)

第27条 土地収用法(昭和26年法律第219号)第103条(危険負担)、第104条(担保物権と補償金等)、第106条第1項、第3項及び第4項(買受権)並びに第107条(買受権の消滅)の規定は、この法律の規定による使用又は収用に係る土地に準用する。この場合において、土地収用法第106条第1項ただし書中「第76条第1項」とあるのは、「核原料物質開発促進臨時措置法第18条第2項」と読み替えるものとする。

  第3章 租鉱権の設定

(開発に関する指示)

第28条 通商産業大臣は、ウラン鉱及びトリウム鉱(以下「ウラン鉱等」という。)を目的とする採掘権者がその採掘鉱区(租鉱権が設定されている部分を除く。以下同じ。)においてウラン鉱等に係る事業に着手せず、又は引き続き6月以上これを休止している場合において、その採掘鉱区におけるウラン鉱等の存在が明らかであって、その鉱量、品位等にかんがみウラン鉱等を経済的に開発することができ、かつ、その開発を急速に行う必要があると認めるときは、その採掘権者に対し、6月以内にその採掘鉱区においてウラン鉱等に係る事業に着手し、又はこれを再開すべきことを指示することができる。

2 通商産業大臣は、採掘権着から申請があった場合において、正当な理由があると認めるときは、前項に規定する期間を延長することができる。

3 通商産業大臣は、第1項の規定による指示又は前項の規定による期間の延長をしたときは遅滞なく、その旨を公示しなければならない。

(租鉱権の設定の協議)

第29条 公社は、採掘権者が前条第1項の規定による指示に従わなかった場合に現にその事業を行っていないときは、通商産業大臣の許可を受けて、採掘権者に対し、その採掘鉱区にウラン鉱等を目的とする租鉱権(以下単に「租鉱権」という。)の設定について協議することができる。

2 公社は、前条第1項に規定する期間(同条第2項の規定による延長があったときは、延長後の期間)の満了後3月を経過したときは、前項の許可を受けることができない。

3 通商産業大臣は、第1項の許可をしたときは、遅滞なく、その旨を公示するとともに採掘権者及びその採掘権に関し登録上利害関係を有する第三者(租鉱権者を除く。以下「利害関係者」という。)に通知しなければならない。

4 公社は、第1項の許可を受けた日から3月を経過したときは、同項の規定による協議をすることができない。

(決定の申請)

第30条 公社は、前条第1項の規定による協議をすることができず、又は協議がととのわないときは、租鉱権の設定について通商産業大臣の決定を申請することができる。ただし、同項の許可を受けた日から3月を経過したときは、この限りでない。

(意見書の提出)

第31条 通商産業大臣は、前条の決定の申請があったときは、その旨を公示するとともに採掘権者及び利害関係者に通知し、20日を下らない期間を指定して意見書を提出する機会を与えなければならない。

2 通商産業大臣は、前項の期間を経過した後でなければ、決定をしてはならない。

(処分の禁止)

第32条 採掘権者は、前条第1項の規定による通知を受けた後は、第30条の規定による申請を拒否する旨の決定があるまで、公社が租鉱権者となることを廃止するまで、第43条の規定により第35条の決定が失効するまで、又は同条の決定に基き租鉱権の設定の登録があるまでは、その採掘権を変更することができない。

(諮問)

第33条 通商産業大臣は、第30条の決定をしようとするときは、地下資源開発審議会に諮問しなければならない。

(決定の基準)

第34条 通商産業大臣は、採掘権者が現にウラン鉱等に係る事業を行っているとき、又は租鉱権の設定がウラン鉱等以外の鉱物に係る事業の継続に薯るしい支障を及ぼすと認めるときは、租鉱権を設定すべき旨の決定をしてはならない。

(租鉱梅の設定の決定)

第35条 租鉱権を設定すべき旨の決定においては、次に掲げる事項を定めなければならない。

 一 採掘権の登録者号
 二 租鉱権を設定すべき区域
 三 租鉱権の存続期間
 四 租鉱料及び補償金の額並びにこれらの支払の時期及び方法

(決定の公示及び通知)

第36条 通商産業大臣は、第30条の決定をしたときは、遅滞なく、その旨を公示するとともに公社並びに採掘権者及び利害関係者に通知しなければならない。

(決定の効果)

第37条 第35条の決定があったときは、決定の定めるところに従い、当事者の間に協議がととのったものとみなす。

2 前項の規定により協議がととのったものとみなされたときは、公社は、鉱業法(昭和25年法律第289号)第77条第1項(租鉱権の設定の申請)の規定にかかわらず、単独で租鉱権の設定の申請をすることができる。

(租鉱権に関する特例)

第38条 第29条第1項の規定による協議又は第35条の決定に基いて設定される租鉱権に関する鉱業法第76条第1項(租鉱権の存続期間)の規定の適用については、同項中「5年以内」とあるのは、「10年以内」とし、その設定の申請については、同法第77条第3項(租鉱権の設定の基準)の規定は、適用しない。

(損失の補償)

第39条 公社は、租鉱権の設定によって採掘権者又は利害関係者が受ける損失(租鉱料として支払われる分を除く。)を補償しなければならない。

2 採掘鉱区の一部に租鉱権が設定されることによって租鉱権が設定されない区域(以下「残鉱区」という。)の価格が減じ、その他残鉱区について損失が生ずるときは、その損失を補償しなければならない。

3 前項の規定する補償のほか、租鉱権の設定によって採掘権者叉ば利害関係者が通常受ける損失(租鉱料として支払われる分を除く。)は、補償しなければならない。

(廃止等による損失の補償)

第40条 通商産業大臣が第29条第3項の規定による通知をした後に公社が租鉱権者となることを廃止した場合、第30条の規定による申請を拒否する旨の決定があった場合又は第43条の規定により決定が失効した場合において、これによって採掘権者又は利害関係者が損失を受けたときは、公社は、これを補償しなければならない。

2 採掘権者又は利害関係者は、前項の規定による損失の補償について公社と協議をすることができず、又は協議がととのわないときは、通商産業大臣の決定を申請することができる。

3 第31条、第33条、第35条第四号及び第36条の規定は、前項の場合に準用する。この場合において、第31条第1項中「公示するとともに採掘権者及び利害関係者」とあるのは「公社」と、第36条中「公示するとともに公社並びに採掘権者及び利害関係者」とあるのは「公社及び申請人」と読み替えるものとする。

4 前項において準用する第36条の規定による通知があったときは、決定の定めるところに従い、当事者の間に協議がととのったものとみなす。

(訴訟)

第41条 第35条又は前条第2項の決定において定められた租鉱料又は補償金の額について不服がある者は、第36条(前条第3項において準用する場合を含む。)の規定による通知を受けた日から60日以内に、訴をもってその額の増減を請求することができる。この場合においては、公社又は採掘権者若しくは利害関係者を被告としなければならない。

(供託)

第42条 第24条の規定は、公社が支払う租鉱料又は補償金に準用する。

(決定の失効)

第43条 公社が第35条の決定において定められた租鉱料(租鉱料を定期に、又は分割して支払うべきときは、その最初に支払うべき分)又は補償金の支払の時期までにその支払又は供託をしないときは、決定は、その時以後その効力を失う。

(土地収用法の準用)

第44条 土地収用法第103条(危険負担)及び第104条(担保物権と補償金等)の規定は、この法律の規定による租鉱権の設定に係る採掘権に準用する。

  第4章 雑  則

(奨励金)

第45条 通商産業大臣は、核原料物質の探鉱を促進するため必要があるときは、予算の範囲内において、鉱業権者に対し、その探鉱の実施に必要な費用の一部を奨励金として交付することができる。

(賞金)

第46条 内閣総理大臣は、核原料物質の探鉱を促進するため必要があるときは、予算の範囲内において、その探鉱に寄与した者に対し、賞金を交付することができる。

(報告及び検査)

第47条 通商産業大臣は、核原料物質の開発を促進する、ため必要があるときは、ウラン鉱等を目的とする鉱業権者若しくは公社からその業務に関する報一告を徴し、又はその職員にその事業所若しくは事務所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿書類その他の物件を検査させることができる。

2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。

3 第1項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のため認められたものと解してはならない。

  第5章 罰  則

第48条 次の各号の一に該当する者は、3万円以下の罰金に処する。

 一 第6条の規定に違反して第5条第1項の規定による立入を拒み、又は妨げた者
 二 前条第1項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
 三 前条第1項の規定による検査を拒み、妨「げ、又は忌避した者

2 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して同項の刑を科する。

  附 則

1 この法律は、公布の日から施行する。

2 この法律は、施行の日から10年以内に廃止するものとする。

3 前項の規定によるこの法律の廃止の際現にこの法律に基いて設定されている租鉱権の存続期間に関しては、この法律の廃止にかかわらず、この法律は、なおそめ効力を有する。

4 前項に定めるもののほか、第2項の規定によるこの法律の廃止に伴い必要となる経過的措置は、法律で定める。

5 地方税法(昭和25年法律第226号)の一部を次のように改正する。第489条第1項第九号の二の次に次の1号を加える。

 九の三 ウラン鉱及びトリウム鉱

6 土地調整委員会設置法(昭和25年法律第292号)の一部を次のように改正する。

 第3条に次の1号を加える。

 四 核原料物質の探鉱のための土地の使用又は収用に関する裁決に関すること。

 第4条中第十七号を第十八号とし、第十七号として次の1号を加える。

 十七 核原料物質開発促進臨時措置法(昭和31年法律第93号)第12条、第18条第1項若しくは第2項又は第22条第2項の規定による土地の使用又は収用に関する裁決をすること。

  理 由

 原子力基本法第1条に規定する目的の達成に資するため、核原料物質の開発を促進する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。