原子力委員会

原爆実験影響調査

(前号のつづき)

 前号記載以後調査船派遣に関する技術顧問団は数回の会合を重ねた結果、調査船についてはこれを水産庁所属の俊鶻丸と決定し、次いで調査船による調査事項を別記のように、調査船乗船者名簿を第1表のように決定した。また本調査に必要な経費については第2表のように関係各省から予備費の使用を要求中であるが、本稿締切までにはまだ最終査定をみていない。

 また俊鶻丸の出航は5月26日と決定し、6月末日まで45日間調査を行うこととなり、今回の調査全般に関し総理府以下関係各省の共同請議の形で5月18日別記のとおり閣議決定をみた次第である。

第1表 調査船乗船者名簿


第2表 各省の予備費からの使用を要求中の額


調査船による調査事項

1 魚類および生物関係の調査(食品衛生関係)
  (1)マグロ延縄による漁獲物の調査(生物調査、放射能調査)
  (2)稚魚その他プランクトン類の調査(生物調査、放射能調査)
2 大気、雨水、海水等の調査(環境衛生関係)
  (1)大気、雨水、海水、降下塵埃の放射能調査
  (2)船体各部における放射能のバックグランドの計測
    (シンチレーション・カウンター、ガイガー・ミューラー計測装置、ポケット線量計等による計測)
3 人体等に対する影響の調査(医学関係)
4 気象、海洋観測(気象、海洋関係)
  (1)気象観測、海洋観測
5 汚染物件の元素分析

核爆発実験影響調査に関する件

(1)目  的
 今回南方海域においてアメリカ合衆国が行う核爆発実験に関し調査船を当該海域に派遣する等の方法によりその実験の気象、海象、魚類その他に及ぼす影響を総合的に調査研究するものとする。
(2)要  領
1 関係各省は相協力し核爆発実験による諸影響に関する調査研究を総合的に行うものとする。
2 調査船は水産庁所属俊鶻丸とし、調査に必要なる専門家を乗船させるものとする。
3 調査船に関し必要な技術的援助を求めるため技術顧問団を設置するものとする。
4 調査船等によって採取した物件については引き続き関係各省において研究調査を行う ものとする。
5 調査船等による調査研究及び国内における調査研究の結果に基き総合的に検討を行う ものとする。
6 本件に要する経費については関係各省において所要の措置を講ずるもめとする。
(3)その他
 本調査によって、国内における障害防除の措置が必要と認められた場合は、事態けこ即応した処置を直ちに講ずるものとする。