アイソトープの入手の仕方及び放射性同位元素の使用の確認の手続について

1.アイソトープの入手の仕方について
 アイソトープを使いたいがどうしたら手に入るか分らない人が多いので、アイソトープ入手の要点をまずのべると、アイソトープを手に入れたい人は1種類の放射性同位元素ごとに放射性同位元素使用確認申請書(以下申請書という)を正本1部、副本2部、計3通(申請書は日本放射性同位元素協会に申し込めば送付してくれる。)を別紙の所定の期間中に、たとえば昭和31年10月1日より向う3ヵ月間に手に入れたい場合には昭和31年7月1日から7月末日までの間に、総理府原子力局アイソトープ課に提出し、放射性同位元素の使用の確認をうけてその後の輸入手続を行うわけであるが、実際には日本放射性同位元素協会等に総理府原子力局アイソトープ課への申請書の提出及びその後の手続等を委託するのが便利であると思われる。

 なお政府は、アイソトープの使用にあたり放射線障害の防止に必要な措置を講じてあれば、つとめて放射性同位元素の使用の確認を行い、アイソトープの利用を積極的に促進する方針である。

2.放射性同位元素の使用の確認の手続について
 現在わが国において使用されている放射性同位元素はほとんど米、英、加等から輸入されているが、放射性同位元素の輸入にあたっては、国内的には従来相手国の法令等によって放射性同位元素の申請者ごとに総理府科学技術行政協議会事務局長の使用の承認を必要としてきたが、今回米、英についてはこの承認の手続がいらなくなった。しかし放射性同位元素の使用に伴なう放射線障害の防止についてはゆるがせにできないので、放射性同位元素(放射性同位元素を装備した器具及び装置を含む。)の外貨資金の割当にさいし、総理府原子力局長の使用の確認を要することとしたが、これはあくまでも暫定的な措置であって、原子力基本法第20条による放射線障害の防止に関する法律の制定をまち、恒久的な規制を行うことになろう。

 従来アイソトープの輸入にあたっては相手国の法令等による厳重な手続が要求されていたが、原子力の平和利用の気運が高まりかつアイソトープ輸出の競争が激しくなるにつれ、輸入の手続は緩和され通常の商品に近づきつつあるといえよう。

 なお「放射性同位元素の使用の確認の手続について」、及び「無公表品目中機械類の外貨資金割当申請要領の一部改正について」を次にかかげる。

放射性同位元素の使用の確認の手続について

昭和31年3月10日
総理府原子力局

1.昭和31年3月3日通商産業省輸入発表第44号にもとずいて放射性同位元素(放射性同位元素を装備した器具及び装置を含む)の最終使用者に対する総理府原子力局長の使用の確認を受けようとする者は第14表第15表の様式に従って使用確認申請書正本1部副本2部計3部を総理府原子力局アイソトープ課に提出するものとする。

2.総理府原子力局長は上記の使用の確認が多数になる場合には使用確認書に代ってこれらを総括する総括使用確認書を発行することができるものとする。
 総括使用確認書には各使用確認申請者の申請者の氏名、住所、放射性同位元素名、数量を記載するものとする。

3.昭和31年度の使用確認申請書の提出の時期は第16表のとおりとする。
 ただし、特に緊急を要するものと認められる場合は、上の提出期間外でも受付けるものとする。

4.従来放射性同位元素の使用を総理府科学技術行政協議会事務局長、または総理府原子力局に申請し、既に承認を受けたものについては(1)項の使用の確認を受けたものとする。

輸入発表第44号
昭和31年3月3日

無公表品目中機械類(外貸資金特別割当制度によるものを除く)の外貨資金割当申請要領の一部改正について

(通産省)

 昭和30年9月29日付輸入発表第212号(無公表品目中機械類〔外貨資金特別割当制度によるものを除く〕の外貨資金割当申請要領)の一部を下記のとおり改正する。


3.「提出書類および提出先」の(6)の次に、次の1項を加える。

(7)放射性同位元素(放射性同位元素を装備した器具および装置を含む。以下同じ)を輸入するため外貨資金の割当を受けようとする者は、総理府原子力局長が放射性同位元素の最終使用者に対して発行する使用確認書または総括使用確認書正本1部写2部計3部