2.原子力委員会の決定等

(2)原子力政策円卓会議関連資料

(主な原子力委員会決定,モデレーターからの提言等)
 
原子力政策円卓会議の設置について

平成8年3月15日
原子力委員会決定
1  目  的
 我が国の原子力の研究,開発及び利用に関する国民各界各層の多様な意見を今後の原子力政策に反映させ,原子力の研究,開発及び利用についての国民的合意形成に資するため,原子力政策円卓会議(以下「円卓会議」という。)を設置する。
2 審議事項
 我が国の原子力の研究,開発及び利用に係る政策の基本に関する事項
3 運営等
(1)円卓会議の出席者については,国民各界各層から幅広く参加を求める。
(2)円卓会議は,出席者による対話形式により実施するものとする。
(3)円卓会議の議事運営を円滑に行うため,モデレーターとして有識者若干名を委嘱する。
(4)円卓会議の議事及び議事録は,これを公開する。
(5)円卓会議は,東京以外の地においても開催するものとする。
(6)その他円卓会議の構成,運営等に関し必要な事項は,原子力委員会が別途定める。



原子力政策円卓会議の設置に当たって

平成8年3月15日
原子力委員会委員長談話

 原子力の研究,開発及び利用に当たっては,「国民とともにある原子力」を基本としなければならない。原子力委員会としては,これまでも「ご意見を聞く会」の開催等により,様々な意見を「原子力の研究,開発及び利用に関する長期計画」に反映させるなど,原子力政策に関する国民的合意を得る努力をしてきたところである。
 しかしながら,昨年12月発生した高速増殖原型炉「もんじゅ」の事故を契機として,国民の間に原子力政策に対する不安感,不信感が高まり,原子力施設の立地地域を中心に国民的合意の形成に向けたより一層の努力を求める強い声が寄せられていることを真摯に受けとめる必要がある。
 こうした状況を踏まえ,当委員会は,今般「原子力政策円卓会議」を設置し,国民各界各層の方々とより一層積極的な対話を行うこととしたものであり,関係行政庁が行うフォーラム,シンポジウム等の活動とも連携を図りながら,その成果を今後の原子力政策に的確に反映していくこととしたい。
 なお,「原子力政策円卓会議」においては,単に我が国のエネルギー確保という観点のみならず,世界的な視点,歴史的な視点を踏まえ,現代の世代が豊かな社会を次の世代にどのように引き継いで行くかというような問題も含め,幅広い対話が行われることを期待する。



原子力政策に関する国民的合意の形成を目指して

平成8年3月15日
科学技術庁
通商産業省



1.基本的考え方
○国民的合意の形成を図るための努力が必要
○国としての積極的対応が不可欠(国策としての位置づけの一層の明確化等)
2.具体的対応の方向
○「原子力政策円卓会議」の設置     〈原子力委員会〉
原子力政策に国民や地域の意見を幅広く反映させ,国民的合意の形成に資するための場。
・各界各層から幅広い参加者を招へい。
・原子力委員は,常時出席。
・出席者間の対話方式を採用。
・地域における開催も検討。
・全面的に公開。
○シンポジウム等の開催     〈科学技術庁・通商産業省〉
-エネルギー,原子力発電,核燃料リサイクル,「もんじゅ」事故等に関する意見交換を行うためのシンポジウム等の開催。
・立地県や都市部を中心に開催。
・対話に配慮した形式。
・全面的に公開。
○地域フォーラムの開催     〈科学技術庁・通商産業省〉
地域に対するきめ細かな説明と意見交換を行うための場。
・立地地域を中心に開催。
・国からの説明及びこれに対する質疑応答。
・全面的に公開。
○外部関係団体との意見交換     〈科学技術庁・通商産業省〉
学界,経済界,市民団体等の外部の関係団体に対する説明,意見交換等を実施。
○原子力モニター制度の拡充     〈科学技術庁〉
一般国民から広く意見を汲み上げるため,モニターを選定。
・地方自治体からの推薦及び公募により選定。
・意見募集,アンケート調査等を実施。
3.政策への反映
○上記2.の過程において,現在の原子力政策についてわかり易く説明するとともに,今後の政策に反映させていくべき事項を摘出する。
○具体的な課題の進め方について更に検討が必要な場合には,原子力委員会,科学技術庁,通商産業省,総合エネルギー調査会等において検討し,明らかにしていく。



原子力政策円卓会議のモデレーターについて

平成8年4月16日
原子力委員会決定

 平成8年4月16日付け原子力委員会決定「原子力政策円卓会議運営規程」に基づき,原子力政策円卓会議のモデレーターを別紙のとおり定める。

原子力政策円卓会議モデレーター

岩男壽美子慶應義塾大学新聞研究所教授
茅 陽 一東京大学名誉教授
五代利矢子評論家
佐和隆 光京都大学経済研究所長
鳥井弘 之日本経済新聞社論説委員
西野文 雄埼玉大学大学院政策科学研究科長

(敬称略50音順)



平成8年6月24日

 原子力委員会 殿
原子力政策円卓会議

 原子力政策円卓会議における議論の原子力政策への反映について
 原子力政策円卓会議は,本会議における議論の成果を順次原子力政策に反映させていくこととしていますが,これまでの議論を踏まえ,下記の事項について,今後,原子力委員会として必要な措置を取られるよう要請します。
 

(事項)
 「原子力に関する情報公開及び政策決定過程への国民参加の促進について」
(理由)
 国民との間の確かな信頼関係を築くためには,情報公開の一層の促進が重要であり,様々な情報を解りやすく,幅広く国民に伝えるとともに,原子力政策の決定過程に国民の声を一層反映させる必要がある。



原子力に関する情報公開及び政策決定過程への国民参加の促進について

平成8年9月25日
原子力委員会決定

 原子力委員会は,平成8年6月24日第5回原子力政策円卓会議において,同会議より,原子力に関する情報公開及び政策決定過程の国民参加の促進について必要な措置を取るよう要請を受けたところであるが,当委員会としては,本件について下記のとおり対応することとする。




 「国民とともにある原子力」を目指すためには,原子力活動全般にわたる透明性を確保しつつ,原子力政策を進めていかなければならない。また,このような活動を地道に進めることによってのみ,国民の信頼感,安心感を得ることができる。
 こうした認識の下,原子力開発利用に当たっては,これまでも情報公開に努めてきたところであるが,昨年12月に発生した高速増殖原型炉「もんじゅ」のナトリウム漏洩事故が,地元の方々はもとより,国民全体に原子力に対する大きな不安感,不信感を与える結果となったことを反省し,その教訓を今後の原子力開発利用に的確に反映していかねばならない。
 当委員会としては,原子力に関する情報公開及び政策決定過程への国民参加を促進するための施策を講じることが,とりもなおさず今後の原子力開発利用に対する国民の理解と信頼の回復を図り,国民的な合意形成に資するものであるとの認識の下,以下の施策を順次講じるとともに,引き続き改善を図っていくことが重要と考える。また,国民に対する積極的な情報の提供や広報のあり方に関しては,できる限りわかりやすい情報の提供に努めるとの観点から,一層の改善を図ることが重要と考える。
 当委員会としては,関係行政機関に対しても,本決定の趣旨を踏まえた具体的措置に関する検討を行うことを求める。

1.政策決定過程への国民参加
 原子力政策の決定過程において,広く国民の意見を十分取り入れることが重要との考えから,当委員会は,政策決定において重要な役割を担っている専門部会等の報告書の策定に際し,国民に意見を求める。
 具体的には,原則として以下の手順を踏むこととする。
①報告書案を一定期間公開し,これに対する具体的な意見を募集する。
②応募のあった意見を検討した上,反映すべき意見は採用する。
③不採用意見については,理由を付して報告書と併せて公開する。

2.原子力に関する情報公開の充実
 原子力開発利用に当たっては,情報を公開することが原則であることを改めて認識し,情報公開を一層推進する。
(1)原子力委員会の専門部会等の公開
 当委員会の専門部会等の会議を原則として全て公開とする。ただし,核不拡散,核物質防護,外交交渉に関する事項を扱う等個別の事情により非公開とするか否かについては,各専門部会等が判断する。
(2)情報公開請求への対応体制の整備
 原子力情報に関する公開請求に対して,迅速かつ適切に対応するため,関係行政機関と連携を図りつつ,体制整備を行う。
 また,インターネットを活用して,議事録,会議資料等を速やかに提供する。
 なお,核不拡散,核物質防護,財産権の保護,外交交渉に関する事項等慎重に取り扱わざるをえない情報については,その理由を示すこととする。また,政府部内における情報公開法の検討状況については,今後とも注視し,適切な対応を図っていく。



原子力委員会への提言

1996年10月3日


 原子力政策円卓会議モデレーター
 岩男 壽美子
 茅   陽一
 五代 利矢子
 佐和  隆光
 鳥井  弘之
 西野  文雄

 原子力政策円卓会議(以後「円卓会議」という)は,1996年4月以来,11回にわたり会議を開催した。
 我々モデレーターは,それぞれの会合を公平円滑に進めるのみでなく,会議での議論内容を検討し,多くの参加者の多岐にわたる意向を出来るだけ反映した提言を原子力委員会に対して行うことがその重要な役割であると考えている。
 すでに,6月24日こは,この観点にたって,情報公開と政策決定過程への国民参加の促進について,原子力委員会に第一回の提言を行った。今回,11回までの円卓会議での議論の論点を基盤として,以下に示すような第二回の提言を行うこととした。
 我々モデレーターは,原子力委員会がこの提言に真摯に対応し,原子力政策長期計画の上に反映していくことを切に希望する。
 なお,円卓会議の参加者は毎回異なることもあって,今回の提言はモデレーター内での議論のみに基づいて作成されており,円卓会議参加者に提言の内容についてあらためて意見を求めることは行っていない。したがって,提言の内容は全面的にモデレーターの責任において作られたものであることを断わっておきたい。

1.エネルギー供給の中での原子力の位置付けの明確化
 発展途上国のエネルギー需要の急増する中で,将来のエネルギーを何によって賄うかが世界的課題であることは論をまたない。わが国では,現在,一次エネルギー供給の10%以上を原子力で占めているが,今後原子力がエネルギー供給の中でどのような役割を果たす必要があるのか,また果たしうるのかは原子力の意義を論ずる上での重要なポイントである。
 このことを考慮すれば,今後の需要の伸びと省エネルギー進展の可能性と実現性,非化石燃料供給の拡大可能性などについての議論が徹底的に行われ,その前提のもとに原子力のありかたを考える必要がある。今後,エネルギー供給の中での原子力の位量付けについて,国が国民との議論の場を数多く作り,この点に関する国民の認識を出来うる限り明確化させることを切にのぞむ。

2.核燃料サイクルに関する提言
1)全般
燃料の製造,再処理から最終廃棄物の処分に至る核燃料サイクルについてはこれまでの会議の中で資源/環境両面から数多くの意見が出されている。国は核燃料サイクルの展開の中で,これらの意見を真剣に取り上げ考慮していくことを強くのぞむ。
2)使用済燃料の管理
原子力発電所の過去30年にわたる運転の結果かなりの使用済燃料が生じたこと,また今後ともそれらが増え続けることを考えれば,使用済燃料の合理的かつ安全な管理への一層の努力が大きく求められている。特に,今後の使用済燃料のサイト内貯蔵の長期化の可能性を考えると,国は立地地域との相談のもとに使用済燃料の管理の現実的かつ合理的な解決策を早急に策定していくことが必要である。そのための努力を強く要請する。
3)プルトニウムの軽水炉利用
多数のプロセスが連携して輪を形成する核燃料サイクルを円滑に運用していくためには,その各プロセスを時間的に整合性のある形で展開していくことが必要であり,一つのプロセスの展開の停滞は,その前後のプロセスの展開に大きな支障を与えることになる。現状で核燃料サイクルの展開の先端となっているのはプルトニウムであり,国がその軽水炉利用(プルサーマル)について,その目的・内容を立地地域住民はもとより国民全体に可能なかぎり公開し,合意形成に向け努力を傾注することをのぞむ。
4)高速増殖炉問題
高速増殖炉は,今後の原子力の鍵となる要素であり,国が,もんじゅの扱いを含めた将来の高速増殖炉開発のありかたについて,幅広い立場から議論を行う場を設定することを要請する。
5)高レベル放射性廃棄物の取扱い
バックエンド対策の確立は原子力の総合的安全性の向上という意味できわめて重要であり,地層処分実施の手順の確立等,高レベル放射性廃棄物に関わる処分の具体策を出来るだけ速やかに策定し,またその内容を国民にわかりやすく提示することが必要である。そのために国が主体となって最大の努力を払うことをのぞむ。

3.原子力の安全確保と防災体制の確立
 原子力の安全性確保に万全をつくし,国民の不安を払拭する必要はいうまでもないが,万が一の事故時に備えて,国は原子力防災に関して具体的に関係各機関の役割と連携の方法を明確にした強固な防災体制を確立するべきであり,そのための努力を行うことを強く要請する。

4.立地地域との交流・連携の強化
 エネルギー政策は国の政策の一つの大きな柱であり,エネルギー供給の10%以上を占める原子力の展開にあたって,国の役割はその鍵となる。ここでは各立地地域の自治体・住民と一体となった取組が前提であり,そのために国は立地地域への対応の理念を確立すると共に,国と立地地域自治体及び住民との情報の流通公開・意思の疎通の一層の進展に向けて,具体的な方策を打ち出すことが重要である。
 また,原子力の恩恵を受ける電力消費地域が,立地地域との交流・対話などを通じて立地地域の事情を積極的に理解する姿勢を確立することを切にのぞむ。

5.新円卓会議の提案
 円卓会議は,原子力にかかわる諸問題に関する意見を国民の広い範囲にわたって求め,掘り下げた議論を行い,原子力行政に提言を行う場として有効である,というのがこれまでの殆どの参加者の一致した意見である。
 しかし,これまで行われた円卓会議は構成・運営などのさまざまな面で問題があり,このままの形で継続することは可能でもないしまた有効でもない。
 我々は,このような認識をふまえて,以下のような内容の新円卓会議を行うことを提案する。
1)構成
モデレーター,委員及び若干名の臨時委員で会議を構成する。
2)メンバーの選定
モデレーター,委員及び臨時委員は,国民の幅広い層から,原子力についての識見と関心を持つ人を選ぶ。
3)会議の運営
モデレーターは毎回の議案の選定,議事の進行の責任を持つ。
会議は,一定の頻度で開催することを原則とするが,状況に応じて随時開催することも考慮する。
4)提言
モデレーターは,一定の時期に,新円卓会議の議論を総括して原子力委員会に提言を行う。原子力委員会は,その提言を原子力行政の中で十分検討し,その対応について新円卓会議に回答する。



原子力政策円卓会議モデレーターからの提言を受けて

平成8年10月3日
原子力委員会委員長談話

 当委員会は,国民各界各層からの多くの方々の議論の成果を的確に政策に反映することが,原子力政策に関する国民の信頼を確保することにつながるとの考えから,平成8年3月「原子力政策円卓会議」を設置した。
 本原子力政策円卓会議は,原子力委員会として初めての試みであったが,4月の第1回目開催以来,これまでに11回の会議が行われ,この間,一般国民の方々や多彩な分野で活躍されている方々などのべ127名の方々の参加を得て,多角的な観点から議論を行うことができた。
 会議の取りまとめの労をおとりいただいたモデレーターの方々,議論に参加していただいた招へい者の方々,また,会場に足を運んでいただき真剣に議論を傍聴して頂いたのべ2千3百余名の方々のご協力に心より感謝の意を表したい。
 本日,モデレーターからこれまでの会議における議論を踏まえた提言をいただいたところであり,当委員会は本提言の趣旨を十分に受け止め,今後の原子力政策に的確に反映させることとし,早急に委員会としての取るべき措置を取りまとめる。



今後の原子力政策の展開にあたって

(原子力政策円卓会議の議論及びモデレーターからの提言を受けて)

平成8年10月11日
原子力委員会決定

 当委員会は,我が国における原子力開発着手以来,今日まで40年にわたり,安全の確保と平和利用を大前提として,関係行政機関,研究開発機関,事業者等との連携の下,原子力開発利用を進めてきた。
 現在,我が国の原子力発電は全発電電力量の30%を越えるとともに,これを支える核燃料サイクル事業の面でも着実な進展を見せている。しかしながら,昨年12月の高速増殖原型炉「もんじゅ」のナトリウム漏洩事故の発生及びその後の情報提供における不適切な対応は,地元の方々はもとより,広く国民全体に原子力に対する不安感,不信感を与える結果となった。また,高速増殖炉は将来の核燃料リサイクル体系の中核と位置付けられていることから,今後の原子力政策に大きな影響を与える結果となった。
 当委員会はこの状況を真摯に受け止め,本年3月,原子力に関する国民各界各層の多様な意見を今後の原子力政策に反映させるため,「原子力政策円卓会議」(以下「円卓会議」という。)を設置した。以来,第11回会合まで延べ127名の参加を得て活発な議論を行ってきたところ,先般,これまでの会議における議論を踏まえた提言をモデレーターから受けた。
 当委員会は,これまでの円卓会議における議論及びモデレーターからの提言を真摯に受け止め,これらを今後の原子力政策に反映していくことが,我が国の原子力政策に関する国民の信頼を回復し,原子力開発利用を円滑に進めていく上で極めて重要であると認識する。そこで,今後,下記の考え方により原子力政策を展開していくこととし,さらに,これに基づく具体的措置についても策定次第,順次明らかにしていく。
 その際,円卓会議からの提言を受けて,先般,当委員会が決定した「原子力に関する情報公開及び政策決定過程への国民参加の促進について」に沿った措置を講じていく。
 なお,今回の考え方及びその具体的措置を実施していく中で,平成6年に当委員会が策定した「原子力の研究,開発及び利用に関する長期計画」(以下「長期計画」という。)の上に,同計画の見直しをも視野に入れ,適切に反映していく。



 


1.長期計画にある「国民とともにある原子力」という理念を現実のものとしていくためには,エネルギー需給の中での原子力の位置付けについて,十分な議論を行い,合意形成を図っていくというプロセスが重要である。このため,当委員会として,新たな装いでの新円卓会議の開催等,様々な議論の場を設定し,エネルギーと原子力に関して多角的な議論を進めるとともに,通商産業大臣の諮問機関である総合エネルギー調査会における検討や関係行政機関における更なる努力を促進する。

2.原子力発電所で発生する使用済燃料を再処理し,得られたものを利用していく核燃料サイクルの展開は,我が国の資源的な制約や環境保護の観点から重要であると考えており,今後モデレーターの提言を踏まえ,次のような考え方で諸施策を進める。

 (1)使用済燃料の管理について,長期的な対応をも視野に入れて,現実的かつ合理的な解決策を策定する必要があり,総合エネルギー調査会で進められている検討も勘案しつつ,関係行政機関及び関係地方自治体の意見を踏まえ,考え方を早急に明らかにする。
 (2)プルトニウムの軽水炉利用について,総合エネルギー調査会で進められている検討も勘案しつつ,その目的・内容を早急に明らかにし,関係行政機関とも連携を取りつつ,国民的な合意形成に向け努力する。
 (3)高速増殖炉について,「もんじゅ」のナトリウム事故の原因究明や安全性総点検の着実な実施を図るとともに,「もんじゅ」の扱いを含めた将来の高速増殖炉開発の在り方について幅広い議論を行うため,当委員会に「高速増殖炉懇談会(仮称)」を設置する。
 (4)高レベル放射性廃棄物の取扱いを含めたバックエンド対策について,現在開催されている「原子力バックエンド対策専門部会」,「高レベル放射性廃棄物処分懇談会」の場の議論を通じ,高レベル放射性廃棄物の処分実施主体の設立等に関する処分対策の具体策を出来る限り速やかに策定し,これを国民の前に分かりやすい形で明らかにする。

3.原子力施設の安全確保に向け,より一層の努力を行うとともに,万が一の事故に備えた原子力防災に関し,国の関係行政機関の役割と連携を明確にした強固な防災対策の確立に向け,関係行政機関における取組を強化・促進する。

4.原子力施設の立地に関し,国の立地地域への対応の理念の確立や,政府一体となった地域振興等への取組を促進する。また,国と関係地方自治体との間での情報の流通,意思の疎通の一層の進展を図る。
 さらに,電力消費地域と立地地域の原子力に対する意識差の解消を目指し,当委員会として,地方での新円卓会議の開催等,地方を含めて広く国民との対話の場を様々な形で設定するとともに,関係行政機関におけるシンポジウム,セミナー等の開催による交流・連携を促進する。

5.原子力に対して一層の透明性,アカウンタビリティ(分かりやすく説明をする責任)が求められている現状を考えれば,国民各界各層の参加を得て多角的に議論を行う円卓会議の開催は時宜を得たものであり,今後ともその努力を継続していく必要がある。このため,モデレーターからの提言を踏まえ,円卓会議の構成・運営等に関して所要の変更を行い,装いを新たにして新円卓会議を開催する。





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