第2章 国内外の原子力開発利用の状況
6.核燃料リサイクルの展開

(6)核燃料物質の輸送

 現在,我が国で使用されている核燃料は,そのほとんどが外国から船舶で輸送され,港からトレーラによって再転換工場等へ陸上輸送されています。また,国内の原子力発電所からでる使用済燃料は,国内外の再処理工場に専用運搬船により海上輸送されています。

 海外から我が国へ輸送される核燃料物質は,発電用低濃縮ウラン燃料の場合は,低濃縮ウランの原料となる天然六フッ化ウラン,海外で濃縮された六フッ化ウランまたはさらに転換された二酸化ウラン粉末の形態で輸送されている。
 これらの核燃料物質は,加工事業所間においては,二酸化ウラン粉末または六フッ化ウラン,また,加工事業者と原子力発電所等の間においては,新燃料集合体の形で輸送されている。
 天然六フッ化ウランの青森県六ヶ所村日本原燃(株)ウラン濃縮工場への輸送については,従来から陸上輸送による方法に加え,年1回程度むつ小川原港まで直接海上輸送により行われることとされ,1回目の海上輸送は9月に安全に行われた。
 使用済燃料については,東海再処理工場及び英仏の再処理工場へ,各原子力発電所から,専用運搬船により輸送されている。
 低レベル放射性廃棄物については,専用運搬船により全国の原子力発電所から六ヶ所村の低レベル廃棄物埋設施設への輸送が行われている。
 また,英国及びフランスでの再処理により回収されたプルトニウムについては,基本的には海外でMOX燃料に加工し,我が国に海上輸送により返還し,軽水炉により利用することとしている。また,研究開発用に国内のプルトニウムが不足した場合には酸化プルトニウムの形態で返還輸送を行うこととしており,このような輸送では,高速増殖炉「もんじゅ」の取替燃料製造に使用する約1.1トンのプルトニウム(核分裂性)のフランスから日本への海上輸送が,輸送船「あかつき丸」により1992年秋から1993年初めにかけて安全かつ確実に実施されている。

 また,同じく英国及びフランスでの再処理により発生する高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)の我が国への返還については,フランスからの初回輸送が1995年2月から4月にかけて英国の輸送船「パシフィック・ピンテール号」によって行われ,輸送容器に納められたガラス固化体28本が返還された。


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