第2章 国内外の原子力開発利用の状況
6.核燃料リサイクルの展開

(3)新型転換炉の開発

 新型転換炉(ATR*)は,プルトニウム,回収ウランを柔軟かつ効率的に利用できるという特長を持つ原子炉として我が国が自主開発を進めてきた。
 原型炉「ふげん」は,1979年3月の運転開始以来,1996年3月末までに累積で638体のMOX燃料を装荷するなど,順調に運転されている。これまでの運転を通じ,プラントシステム,機器及びMOX燃料などの性能と信頼性の実証及び運転経験の蓄積を行ってきている。
 実証炉については,電源開発(株)が青森県大間町に建設計画を進めていたが,電気事業連合会から実証炉建設計画について見直しの要望がなされ,1995年8月,原子力委員会決定においてATR実証炉建設計画は中止が妥当と判断された。原型炉「ふげん」については,今後,その特長を生かしてプルトニウム利用技術開発施設,国際的共同研究施設などとして有効に活用していくことが検討されている。


* ATR:Advanced Thermal Reactor


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