第2章 国内外の原子力開発利用の状況
6.核燃料リサイクルの展開

(1)使用済燃料の再処理

 我が国の使用済燃料の再処理は,現在,動力炉・核燃料開発事業団の東海再処理工場,英仏への再処理委託により実施していますが,国内での商業用再処理に向けて,日本原燃(株)が青森県六ヶ所村に再処理工場を建設しています。また,高速増殖炉使用済燃料の再処理の研究施設を動力炉・核燃料開発事業団が建設している他,日本原子力研究所が臨界安全性に関する研究を実施しています。

 我が国は,使用済燃料の再処理について,現在,動力炉・核燃料開発事業団東海再処理工場にて行うほか,英国核燃料会社(BNFL)及び仏国核燃料会社(C0GEMA)への再処理委託契約により実施している。
 我が国初の再処理工場である動力炉・核燃料開発事業団東海再処理工場での使用済燃料の累計再処理量は,試験運転期間を含め1977年9月から1996年6月までに,約893トンUとなっている。
 また,日本原燃(株)は,現在,青森県六ヶ所村に年間再処理能力800トンUの再処理工場の建設を進めているが,1996年1月,基本的に同じ設計である仏国の再処理プラントUP-3の運転実績などを踏まえた設計変更及び竣工時期を2000年1月から2003年1月に変更することを発表し,工事計画の変更を届け出た。また,総工事費は7600億円から1兆8800億円に増加することとなった。この設計変更等については,1996年4月に科学技術庁に再処理事業変更許可申請が行われ,現在,審査が行われている。なお,1997年6月の竣工予定で,同工場の使用済燃料受入貯蔵施設の建設が進められている。
 一方,我が国の電気事業者は,BNFL及びCOGEMAと再処理委託契約を結んでいる。1996年3月末現在,軽水炉使用済燃料については,BNFL及びC0GEMAに合計約5,600トンUの再処理委託契約を結んでいるほか,ガス炉使用済燃料については,BNFLに約1,500トンUの再処理の委託を契約している。これらの契約に基づき,1996年3月末現在,軽水炉使用済燃料約5,400トンU及びガス炉使用済燃料1,200トンUが英国及び仏国に輸送されている。

 使用済燃料は,再処理されるまで適切に貯蔵・管理することとしており,各原子力発電所の貯蔵プールには,1996年3月末現在,合計5,150トンUの使用済燃料が安全に保管されている。
 我が国における再処理技術に関する研究開発は,動力炉・核燃料開発事業団,日本原子力研究所などにおいて行われている。
 動力炉・核燃料開発事業団は,高速増殖炉の使用済燃料の再処理のプロセス・エンジニアリングの確立を図るための施設である工学規模のリサイクル機器試験施設(RETF*)の建設に1995年1月に着手し,2000年過ぎの運転開始を目標に建設を進めている。
 日本原子力研究所においては,燃料サイクル安全工学研究施設(NUCEF*)を完成させ,臨界安全性に関する研究,高度化再処理プロセスに関する研究,TRU廃棄物の安全管理技術に関する研究などについて,ホット試験*を開始している。


*RETF: Recycling Equipment Test Faciliy
*NUCEF:Nuclear Fuel Cycle Safety Engineering Research Facility
*ホット試験:実際に放射性物質を用いて行う試験。


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