第2章 国内外の原子力開発利用の状況
2.原子力安全確保

(2)原子力の安全研究

 原子力の安全性を今後とも高い水準に維持していくため,原子力開発利用の拡大と多様化に対応して,行政庁の行う安全審査などに資するため,安全研究が積極的に推進されています。

 安全研究は原子力施設,環境放射能及び放射性廃棄物の分野ごとに原子力安全委員会の策定する安全研究年次計画((表2-2-4))に沿って,日本原子力研究所,動力炉・核燃料開発事業団,放射線医学総合研究所,各省庁の所管する国立試験研究機関などにおいて,以下のような研究が実施されている。
①原子力施設等安全研究
 日本原子力研究所においては,軽水炉燃料の高度化,高経年化,シビアアクシデントに関する研究,核燃料サイクル関連施設の臨界安全性評価手法等に関する研究,放射性物質輸送の安全性に関する研究,確率論的安全評価等に関する研究などが進められている。
 また,動力炉・核燃料開発事業団においては,高速増殖炉の安全設計,評価方針の策定に関する研究などの高速増殖炉,核燃料施設に関する安全性の研究が進められている。さらに,建設省建築研究所などの国立試験研究機関においても,耐震等安全性に関する研究などの各種研究が実施されている。
②環境放射能安全研究
 放射線医学総合研究所を中心に,日本原子力研究所,動力炉・核燃料開発事業団,国立試験研究機関などにおいて,低レベル放射線の人体に及ぼす影響の研究,環境中に放出される放射性物質の挙動に関する研究などが進められている。とくに,放射線医学総合研究所においては,内部被ばく実験棟においてプルトニウムの内部被ばくによる障害の研究が進められている。

③放射性廃棄物安全研究
 動力炉・核燃料開発事業団,日本原子力研究所,国立試験研究機関などにおいて,放射性廃棄物の処分方法を浅地中処分,地層処分並びに規制除外・規制免除及び再利用の3つに分類し,雑固体の放射能濃度等の測定手法に関する調査研究,安全に関する基本的考え方と安全評価の考え方等に関する研究などが進められている。


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