2.原子力委員会の決定等

(3)主な原子力委員会委員長談話

高速増殖原型炉「もんじゅ」の臨界について

平成6年4月5日
原子力委員会委員長談話

 動力炉・核燃料開発事業団が福井県敦賀市において建設を進めてきた高速増殖原型炉「もんじゅ」は本日(10時01分),初臨界に達した。
 高速増殖炉は,ウラン資源の利用効率を飛躍的に高めることができ,エネルギー資源に乏しい我が国において,将来の原子力発電の主流となるべきものとして,その開発は極めて重要である。
 「もんじゅ」は,ナショナル・プロジェクトとして,昭和60年に本格着工し,自主技術による開発を進めてきたが,この「もんじゅ」の臨界は,核燃料リサイクルの中核をなす高速増殖炉の開発が新たな段階に入ったことを示すものである。今後は,炉物理試験等の試験を慎重に進めた後,平成7年12月に本格運転を開始し,高速増殖炉技術の確立を図っていく予定である。
 「もんじゅ」の開発に当たっては,幾多の技術的な困難もあったが,これを克服し,臨界に達したことに対し,これまでその開発に当たってきた動力炉・核燃料開発事業団をはじめとする関係者の多大な御努力に深く敬意を表するとともに,福井県,茨城県及びそれぞれの関係自治体各位,電力界,産業界,学界等の関係の各位の御理解,御協力に対し深く感謝の意を表するものである。
 今回の臨界を新たなステップとし,なお一層気を引き締め,安全の確保に最大限留意しつつ,高速増殖炉開発を着実に展開してまいる所存であるので,国民の皆様方の格段の御理解,御支援を賜るようお願いする。

 

 

核兵器の不拡散に関する条約の延長について

平成7年5月12日
原子力委員会委員長談話

 核兵器の不拡散に関する条約について,ニュー・ヨークにおいて開催されている本条約の延長・再検討を行う会議において,5月11日,無期限延長を行うことが総意により合意された。
 本委員会としては,平成5年8月23日付の委員長談話及び平成6年6月に決定した原子力の研究,開発及び利用に関する長期計画で明らかにしたとおり,本条約が,原子力平和利用と核不拡散を両立させる枢要な国際的枠組みであり,原子力平和利用の円滑な推進のためには核不拡散体制の維持・強化が不可欠であることに鑑み,本条約の無期限延長を支持することが妥当と認識していたところ,総意による本合意を歓迎する。特に,今回の会議では無期限延長と合わせ,再検討プロセスの強化及び核不拡散と核軍縮に関する原則と目標が採択されており,以下の重要な点に留意する必要がある。
 第一に,本条約がこれまで締約国の原子力平和利用を円滑に推進する上で果たしてきた重要な役割に鑑み,今後とも本条約が締約国に対し,原子力平和利用による利益の享受を最大限保証するものであることがあらためて確認されるとともに,放射性廃棄物管理を含めた安全の確保等,原子力平和利用に当たっての基本的考え方が示されていること。
 第二に,核拡散防止に本条約が極めて重要な役割を果たしてきているとの認識の下,国際的な保障措置の適用の拡大とその一層効果的な実施を求めていること。
 第三に,究極的核兵器廃絶に向けて,核兵器国の更なる核軍縮努力の具体的な方向が示されていること。
 我が国としては,今後とも,原子力基本法の精神に則り,我が国の原子力開発利用を厳に平和目的に限って推進していくとともに,上記の点に留意しつつ,本条約を遵守し世界の核不拡散体制の維持・強化に貢献していくこと及び本条約の普遍性をより高めていくことが重要であると考える。


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