2.原子力委員会の決定等

(2)主な原子力委員会決定

新型転換炉実証炉建設計画の見直しについて

平成7年8月25日
 原子力委員会決定

 原子力委員会は,昨年6月,核燃料リサイクルを基本とする「原子力の研究,開発及び利用に関する長期計画」(以下,「長期計画」という)を策定した。
 その中で新型転換炉実証炉については,電源開発(株)が青森県大間町に建設計画を進めることとしているが,今般,電気事業連合会よりこの実証炉建設計画について,経済性の理由から見直しの要望がなされた。
 この要望を受け,原子力委員会は,電気事業連合会,電源開発(株),動力炉・核燃料開発事業団,関係地方自治体等の意見を聴取しつつ慎重に審議を進めたところ,以下のとおりの結論を得た。

1.新型転換炉実証炉建設計画について
(1)経済性について
 漁業補償問題の解決等地元状況の進捗により実証炉の建設工程が確定し得る状況になったのを受け,本年3月に建設費の積算見積もり等の見直しが行われたが,その結果,建設費が当初見積もりの3,960億円から5,800億円に,また,発電原価は,軽水炉の約3倍に大幅に増加することが判明した。
 新型転換炉実証炉は,現行設計の構造上の特徴もあって建設費に占める労務費の割合が大きく,上記増加は主に労務費の上昇等に起因するものとなっている。実証炉はそもそも実用化に至る前段階のものであり,それ自体コスト高となることはやむを得ない側面を有したものであるが,建設計画が,10年間にわたり1年ずつ延伸され,抜本的かつ効果的な合理化設計を十分実施し得なかったため,結果として,革新技術の導入,燃料価格の大幅低下等により経済性が向上している他の電源と比して大幅に経済性が悪化したものと分析される。
 なお,仮に革新技術の導入等により設計を抜本的に合理化することができれば実証炉の経済性が向上する可能性はあるものの,その場合であっても技術確証等に長期の時間を要することから,現行の実証炉建設計画への適用は困難であると判断される,
(2)核燃料リサイクルを巡る情勢について
 一方,新型転換炉はプルトニウム等を柔軟かつ効率的に利用でき,また,混合酸化物(MOX)燃料利用に係る世界的な実績を有するものの,軽水炉によるMOX燃料利用計画の進捗等によって,MOX燃料を利用する炉としての役割等は他によって代替され得る環境が生じてきつつあり,その状況が当分の間継続する見通しである。
(3)地元(青森県,大間町等)との関係について
 また,これまで協力を得てきた地元大間町等との信頼関係に配慮することが必要であり,国の政策上意義のある計画を当該地点においてできるだけ早急に立ち上げることが求められている。
 上記(1)から(3)の現状に鑑みるに,大間地点における新型転換炉実証炉の建設計画については,これを中止することが妥当であると判断されるが,同時に,実証炉建設計画に代わる計画について検討する必要がある。また,併せて新型転換炉に関連した研究開発の今後の取り組みについても検討を行うことが必要である。

2,新型転換炉実証炉建設計画の代替計画
(1)代替計画を検討する際の観点
 代替計画を検討するに当たっては,以下の3つの観点に留意した。
@核燃料リサイクル計画上,新型転換炉実証炉の役割を代替でき,将来の発展性を有すること
A早急に立ち上がる技術的見通しがあり,かつ経済性を有すること
Bプルトニウムの需給バランスが確保されること
(2)全炉心MOX燃料装荷可能な改良型沸騰水型軽水炉(フルMOX-ABWR)の検討
 電気事業連合会から提案のあった全炉心MOX燃料装荷を目指すABWRについて,上記観点から検討すると,
@中期的な核燃料リサイクルの中核的担い手である軽水炉によるMOX燃料利用計画の柔軟性を拡げるという政策的な位置づけを持つ。
A現在建設中のABWRの基本仕様の変更を伴うことなく実施可能との技術的見通しがあり,経済性についても実用炉として十分な見通しを有する。
 また,フルMOX-ABWRの建設・運転等に当たっては,新型転換炉の研究開発で得られた成果を活用できる。
B全炉心にMOX燃料を装荷することにより新型転換炉実証炉の2倍強の量のプルトニウム利用が可能であり,プルトニウム需給バランスも確保される。
 と評価されることから,代替計画として適切であると判断される。
(3)フルMOX-ABWRの進め方
 このフルMOX-ABWRの建設については,電源開発(株)が地元の理解を得つつ実施主体として責任を持って取り組んでいくべきものであるが,国及び電気事業者の適切な支援の下,当該計画が円滑かつ確実に実施されることを期待する。

3.新型転換炉関連の研究開発について
(1)新型転換炉関連の研究開発の今後の取り組み
 動力炉・核燃料開発事業団が福井県敦賀市で運転を行っている原型炉「ふげん」は,長期にわたり安定的かつ良好な運転を行い,優れたMOX燃料装荷実績を有するとともに,再処理によって得られた核燃料を再利用し我が国において初めて核燃料リサイクルの輪を完結させるなど,我が国の核燃料リサイクル政策を一部先行的に具現化,実証し国内外の理解を深めるのに大きく貢献した。また,これまで新型転換炉の開発を通じて国内原子力産業に蓄積,育成された技術は,軽水炉の安全性,信頼性の向上,高速増殖炉の開発等に役立ってきたが,今後も,高速増殖炉,軽水炉においてMOX燃料利用を推進していくうえで貢献が期待されるところである。
 今後の新型転換炉関連の研究開発の取り組みについては,実証炉建設計画が現段階において上記1に述べた状況にある以上,具体的な実用化計画を念頭に置いた開発を継続することは適切でないと判断される。但し,将来の核燃料の需給動向の変化に備え,プルトニウム,回収ウラン等を柔軟かつ効率的に利用できるとの新型転換炉の特長を活かしていくための調査・研究については,核燃料リサイクルの進展に資する研究開発の一環として進めていくことが適当である。
(2)「ふげん」等関連施設の活用
 原型炉「ふげん」については,安定的かつ継続的なMOX燃料利用により国内外の理解と信頼を深めるために重要な役割を果たしてきた。今後は,地元との信頼関係を確保しながら,「ふげん」の特長を活かし,プルトニウム利用技術開発施設,国際的共同研究施設等として利用していくことが適当であり,その際発生する電力も有効利用していく。
 また,その他の新型転換炉関連施設についても,核燃料リサイクル計画の具体化のための研究開発に活用していくことが重要である。特に,MOX燃料加工施設については,MOX燃料の加工技術等の民間への円滑な移転を目的とする官民共同の技術開発の場として利用することも含め,今後の活用方策について関係者間で検討を進める。
 これら関連施設の活用方策を含め関連の研究開発の具体的進め方については,関係機関間で早急に協議を行い,その結果につき原子力委員会に報告を求め,検討を行うこととする。

 以上のとおり新型転換炉実証炉の建設計画の見直しについての結論を得たところであるが,今後核燃料リサイクルを基本とした原子力開発利用を推進していくに当たり,以下の点に特に留意することが必要である。

1.核燃料リサイクルの基本の堅持
 長期計画に示しているように,我が国の将来のエネルギーセキュリティを考えるとき,核燃料リサイクルを着実に展開していくことが重要である。
 特に,今回の新型転換炉実証炉建設計画の見直しに伴って,核燃料リサイクルを具体化していく上で当面の重要課題となる軽水炉によるMOX燃料利用,さらに将来の核燃料リサイクル体系の中核となる高速増殖炉の開発及びそれらを支える再処理等の計画に対しては,長期計画の方針に従って,官民総力をあげて着実に取り組んでいくことが不可欠である。

2.大型技術開発の実用化までの進め方
 今回の新型転換炉実証炉建設計画の見直しの経験を踏まえ,今後大型技術開発の実用化を進めるに当たっては,
○経済性向上のための研究開発を含め関連の開発活動を研究開発主体と建設・運転主体とが一体となって実施する体制を整備すること,
○進捗状況に応じて計画を評価し所要の措置を適時的確に講じていくための体制を構築すること
 等が重要であると考えられる。
 従って,これらについて,今後関係機関の努力を求めるとともに,原子力委員会としても適切に対応していくこととする。

〈参考資料〉

参考資料1:新型転換炉実証炉の経済性評価
参考資料2:フルMOX-ABWR経済性
参考資料3:フルMOX-ABWRの技術的見通し
参考資料4:新型転換炉実証炉計画見直しに対応した我が国のプルトニウム需給見通し
参考資料5:新型転換炉開発の成果及びその活用
参考資料6:新型転換炉の政策的位置づけの変遷
参考資料7:新型転換炉開発及び建設計画見直しの経緯

〈参考資料1〉 新型転換炉実証炉の経済性評価

(1)電源開発(株)による経済性(建設費,発電原価)評価

 電源開発(株)が平成7年3月に行った見積もりによれば,ATR実証炉建設費は,従来からの見込みである3,960億円(昭和59年度価格)から,5,800億円となった。この結果,発電原価については,当初初年度で26円/kwh(直接工事費のそれぞれ30%ずつの補助金,負担金を考慮した場合15円/kwh)であったが,今回の見直しの結果,38円/kwhに上昇した。

(2)建設費増加要因

 建設費の増加要因については,主にエスカレーション(注)の寄与が大きく,増加分の過半(927億円)を占めている。なお,ATR実証炉の機械装置関係費等における労務費の割合が55%と高いこと等により,エスカレーションによる増分のうち,労務費の上昇によるものは約880億円となっている。

(3)他電源の発電原価動向

 軽水炉については,様々な合理化努力,習熟化効果等により,建設費,発電原価とも過去10年間ほとんど上昇していない。また,実証炉の開発にあたっての経済性の目安とされていた石炭火力発電については,燃料価格の大幅減等により,むしろコストが下がっており,ATR実証炉の相対的な経済性が低下している。

(4)抜本的な設計見直しによるATRの将来の経済性向上の見通し

 炉心・燃料の改良,コンセプトの抜本的設計見直しにより大幅な物量削減が実現すれば,ATRの経済性を現状の軽水炉より若干高い程度に抑えられる可能性がある。しかしながら,そのための技術開発に10年以上の期間を必要とするため早期の立ち上げを要する今回の大間地点での立地には適用できない。

〈参考資料2〉 フルMOX-ABWBの経済性

 ABWRは,既に柏崎刈羽原子力発電所6,7号機として建設中である。
 この発電原価をベースに,仮に6,7号機でフルMOXを行った場合,柏崎刈羽原子力発電所6,7号機の平均発電原価の約12円/kwh(初年度発電原価,平成8年度運開ベース)に加え,フルMOX化に伴う固定費(設備費),燃料費の増加等で若干割高となるが,十分な経済性を有しているものと言える。

1.柏崎・刈羽6,7号機平均の建設費及び発電原価
(1)建設費  約 4,000億円
(2)発電原価 約  12円/kwh
2.フルMOX化に伴う固定費(設備費)の増加
 全炉心にMOX燃料装荷する場合,ほう酸水注入システム,逃がし安全弁の設計変更,燃料検査装置の導入等の対応が考えられるが,プラントの基本仕様の変更を伴うものではなく,増加コストは建設費の1割を超えるようなものではないと推定される。
3.燃料費の増加
 MOX燃料は,成形加工費等により,従来のウラン燃料に比べれば増加するものの,発電原価に占める燃料費の割合は小さく,若干の割高要因にとどまると考えられる。

〈参考資料3〉 フルMOX-ABWBの技術的見通し

 ABWR(改良型沸騰水型軽水炉)において全炉心にMOX燃料を装荷した場合の技術的見通しについて,電気事業者において予備的評価がなされたところ,概略は以下に示すとおりであるが,内容については概ね妥当であると判断され,現在柏崎刈羽原子力発電所において建設中のABWRの基本仕様の変更を伴うことなく実施可能との技術的見通しがあると考えられる。

1.評価条件
 対象プラント    :ABWR
 MOX燃料集合体設計:高燃焼度8×8ウラン燃料(ステップII)と同一設計
 燃料棒の構成    :MOX燃料棒(一部Gd入リウラン燃料棒)
 Puf富化度     :約2.9wt%(燃料棒軸方向一様富化度)
 取出平均燃焼度   :約33GWd/t
 運転期間      :13カ月
2.「発電用軽水型原子炉施設に関する安全設計審査指針」等に基づく評価

(2)フルMOX化に係る主要な設備評価結果
 ほう酸水注入系に係るほう酸水タンク容量の増加等の対応が必要であるが,基本的には,ABWRの基本仕様を変更することなくフルMOX化は可能。

〈参考資料4〉

 新型転換炉実証炉計画見直しに対応した我が国のプルトニウム需給見通しについて
 我が国のプルトニウム需給見通しは,関連する計画の進捗状況によって変わり得るものであるが,現時点での計画の見通しに沿って,国内再処理によって回収されるプルトニウム及び海外再処理によって回収されるプルトニウムの需給見通しを試算すれば以下の通りとなる。
 累積の需給量は,1990年代末あるいは2010年にこの量のプルトニウムを在庫として保有することを意味するものではない。さらに全てのプルトニウムは,IAEAの保障措置の下にあり,転用等平和利用以外に使用されていないことが常に確認される。なお,実際の核燃料リサイクル計画を円滑に進めるにあたっては,適切なランニングストックが必要となる。軽水炉の使用済燃料から回収される核分裂性プルトニウムの割合は60〜70%と見込まれるが,以下の需給見通しは核分裂性プルトニウムの重量を示したものである。
1.国内において回収されるプルトニウム需給見通し
(1)1994年〜1990年代末
(年ベースの需給)
@需要
 「常陽」,「もんじゅ」,「ふげん」等
 約0.6トン/年
A供給
 東海再処理工場
 約0.4トン/年

@1994年〜1990年代末の国内累積需要
 「常陽」,「もんじゅ」,「ふげん」等
 約4トン
A1994年〜1990年代末の国内累積供給
 東海再処理工場及び既返還分
 約4トン

(2)2000年〜2010年
(年ベースの需給)2000年代後半
@需要
 「もんじゅ」等      約0.6トン/年
 高速増殖実証炉    約0.7トン/年
 フルMOX-ABWR    約1.1トン/年
 軽水炉MOX燃料利用 約2.6トン/年
    合  計      約5トン/年
A供給
 六ケ所再処理工場 約4.8トン/年
 東海再処理工場  約0.2トン/年
             約5トン/年
 
 

@2000年〜2010年の国内累積需要
 「常陽」, 「もんじゅ」*
 「ふげん」,高速増殖実証炉…約10〜15トン
 フル M0X-ABWR
 軽水炉MOX燃料利用…約25〜30トン
 合 計           約35〜45トン
A2000年〜2010年の国内累積供給
 六ケ所再処理工場及び
 東海再処理工場
 約35〜45トン
 
 


*[約10トン〜15トン]の意味:「常陽」,「もんじゅ」等の研究開発用には,約15トンのプルトニウムが必要である。六ケ所再処理工場からの供給量が減少する場合には。
一時的に需要が国内供給を上回ることがあり,その場合には,少なくとも約10トンが同工場から供給され,残りを海外から返還されるプルトニウムで補うことにより,約15トンを満たすことになる。

2.海外再処理により回収されるプルトニウム
@2010年頃までの累積回収量
 約30トン
 
A需要
 基本的には,海外でMOX燃料に加工した後,我が国に返還輸送され,フルMOX-ABWR及び軽水炉で利用する。
 ただし,六ケ所再処理工場が本格的に運転を開始する以前において,「常陽」,「もんじゅ」等の研究開発用の国内プルトニウムに不足が生じる場合には,それを補うために利用される。

〈参考資料5〉 新型転換炉開発の成果及びその活用

○自主技術開発による国内原子力基盤技術の確立
 新型転換炉の開発を通じて国内原子力産業に蓄積,育成された基盤技術は軽水炉の安全性及び信頼性の向上並びに高速増殖炉の開発に直接的,間接的に役立てられるとともに,今後高速増殖炉,軽水炉においてMOX燃料利用を推進していくうえで貢献が期待できる。

(別添):新型転換炉技術の軽水炉等への活用

○核燃料リサイクルの先駆的具現化・実証
 原子炉「ふげん」は,約16年間にわたり安定的かつ良好な運転を行い,単一炉としては世界最大のMOX燃料装荷実績を有するとともに,再処理によって得られた核燃料を再利用し我が国において初めて核燃料リサイクルの輪を完結させるなど,我が国の核燃料リサイクル政策を一部先行的に具現化し,実証し国内外の理解を深めるのに大きく貢献した。

・軽水炉使用済燃料から回収したプルトニウムの装荷(昭和56年9月)→ 我が国において初めて核燃料サイクルの輪を完結
・人形峠事業所にて濃縮したウランの装荷(昭和57年2月)
・回収ウランを使用したMOX燃料の装荷(昭和59年5月)
・「ふげん」使用済MOX燃料の回収プルトニウムを用いたMOX燃料の装荷(昭和63年6月)→ 新型転換炉サイクルの輪を完結
・「ふげん」に約600体のMOX燃料を装荷(平成7年7月末現在)→ 単一炉では世界最大の実績

〈参考資料6〉 新型転換炉の政策的位置づけの変遷

○従来のATRの持っているミッションに関する現在の環境
・ MOX燃料利用→軽水炉によるMOX燃料利用既設の軽水炉での少数体試験を経て,今後段階的に拡大
・回収ウラン利用→再濃縮し,軽水炉で利用回収ウラン再濃縮実施と軽水炉への装荷
・天然ウラン利用→濃縮ウラン需給の緩和,ウラン濃縮国内事業化濃縮料金の低下[139$/kgSWU(1980年代前半)→125$/kgSWU(現在)]六ケ所濃縮工場が操業開始

〈参考資料7〉 新型転換炉開発及び建設計画見直しの経緯

 昭和41年5月    新型転換炉の開発を決定(原子力委員会動力炉開発懇談会)
 昭和54年3月    原型炉「ふげん」運転開始
 昭和57年8月    原子力委員会「新型転換炉の実証炉計画の推進について」を決定(ATR実証炉の実施主体等について決定)
 昭和60年5月    第4回ATR実証炉建設推進委員会(建設工事費3,960億円,発電原価26円/kwh)
 平成6年5月    ATR実証炉に係る漁業補償協定妥結
 平成6年6月    「原子力の研究,開発及び利用に関する長期計画」改定
 平成6年5月〜7年2月 電源開発(株)は,漁業補償問題解決に伴い建設工程の見通しが立ったことを受け,建設工事費等の見直しを実施
 平成7年1月    漁業補償に係る配分決定
 平成7年3月    電源開発(株)は建設工事費等の見直し結果(建設工事費5,800億円,発電原価38円/kwh)をとりまとめ
 平成7年7月11日  電気事業連合会が,経済性に見通しが得られないとの理由からATR実証炉計画を見直すよう,申し入れを実施
 平成7年7月〜8月 上記申し入れについて,原子力委員会において検討

高レベル放射性廃棄物処分への取組について

平成7年9月12日
原子力委員会決定

 今日,エネルギーの生産と消費に起因する環境負荷の増大は,地球的規模での大きな問題となっており,21世紀を展望した今後のエネルギー政策においては,”持続可能な発展“と”地球との共生”という理念に根ざした,地球規模での環境保全と,エネルギー資源の節約とその合理的・効率的利用の促進という視点がますます重要となる。
 既に,我が国においては,原子力が,石油代替エネルギーの中核として欠くべからざる地位を占めているが,日常生活において必然的に生活廃棄物が発生するのと同様,原子力開発利用による便益の享受に伴い,放射性廃棄物が発生することは避けられない。なかんずく,高レベル放射性廃棄物は,その放射能が超長期の時間をかけて低減していくものであることから,処分の実施にあたっては,世代を越えて広く人間社会と自然環境への影響を考慮し,将来世代へ負担を残すことのないよう,安全かつ確実にこれを実施することが肝要である。
 現在,世界各国において,高レベル放射性廃棄物の地層処分に向けた取組がなされているが,国際的な専門家の検討においても,放射性廃棄物の地層処分は,同世代内・異世代間の公平といった観点および人間の健康や自然環境の保護といった環境面からの基本的な要請に適うものであり,その推進を図ることは適当である,との見解が示されているところである。
 今後,平成6年6月原子力委員会が決定した「原子力の研究,開発及び利用に関する長期計画」に沿って,我が国において高レベル放射性廃棄物の地層処分に向けた取組を進めるに当たっては,国民一人一人が自らの問題として廃棄物処分をとらえ,開かれた議論に基づく国民的合意を形成しつつ進めていくことが重要である。その際,国民自らが,我が国においていかにしてエネルギー需要を満たしていけば,将来にわたり国民生活を安全に,幸福に,高い文明に維持し,地球と共生しつつ世界の持続可能な発展が図れるのかについて,考え判断することが肝要であり,そのためには,国民が客観的で正確な情報の提供を受け,開かれた議論が十分行われるよう留意する必要がある。
 以上の認識に立ち,当委員会は以下のとおり決定する。
1.当委員会に,「高レベル放射性廃棄物処分懇談会」を設け,国民各界,各層より英知を集め,来るべき21世紀を迎える時に際し,高レベル放射性廃棄物処分の円滑な実施への具体的取組に向けた国民の理解と納得が得られるよう,社会的・経済的側面を含め,幅広い検討を進める。
2.高レベル放射性廃棄物の地層処分に関する研究開発計画の策定等,処理処分に係る技術的事項等については,「高レベル放射性廃棄物処分懇談会」との連携の下,当委員会に設ける「原子力バックエンド対策専門部会」において調査審議を行う。
3.「高レベル放射性廃棄物処分懇談会」及び「原子力バックエンド対策専門部会」 の設置については,別途,当委員会の決定によるものとする。


目次へ      2.(3)主な原子力委員会委員長談話へ