第2章 新長期計画策定の背景としての内外の原子力開発利用の現状
11.我が国の原子力産業

(2)核燃料サイクル事業

①核燃料再転換・成型加工事業
 核燃料再転換・成型加工事業の分野は,ほぼ国産化が達成され,高品質な製品を製造している。現在,我が国で核燃料再転換・成型加工を行っている会社は,三菱原子燃料(株),日本ニュクリア・フユエル(株),原子燃料工業(株)及び日本核燃料コンバージョン(株)の4社である。
 今後は,六ケ所再処理工場の操業を踏まえた軽水炉によるMOX燃料利用計画が焦点となる。

②ウラン濃縮・再処理等の核燃料サイクル事業
 ウラン濃縮については,現在,青森県六ケ所村の日本原燃(株)での商業用プラントにおいて,1994年9月に一期分の最後にあたる150トンSWU/年が操業を開始したことにより600トンSWU/年の第一期分が完成した。1993年7月に既に第二期増設分450トンSWU/年について国の事業変更許可が与えられているが,同プラントについては2000年過ぎごろに1,500トンSWU/年規模となる計画である。
 また,重電メーカ3社によって設立されたウラン濃縮機器(株)は,仙台事業所のほかに,六ケ所村でも機器の組立てを行うとして当地に工場を建設していたが,1994年3月に完成し操業を開始した。
 再処理については,日本原燃(株)により商業用再処理施設(処理能力800トンU/年)の建設が六ケ所村において進められている。本施設は,1992年に内閣総理大臣の再処理事業指定がなされ,1993年4月に着工した。本施設は,2000年過ぎの操業開始を目指している。
 返還廃棄物の貯蔵については,まずガラス固化体1,440本分の管理能力を持つ廃棄物管理施設が,六ケ所村の再処理施設に付随して建設されており,完成は1995年2月の予定である。
 低レベル放射性廃棄物については,1992年12月,日本原燃(株)により低レベル放射性廃棄物埋設センター (埋設能力4万立方メートル)が六ケ所村において操業を開始している。本センターは,今後逐次増設され,最終的には埋設能力を60万立方メートルとする計画である。


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