第2章 新長期計画策定の背景としての内外の原子力開発利用の現状
11.我が国の原子力産業

(1)原子力機器供給産業

 我が国の原子力機器供給産業は,現在,主に5つのグループを形成しており,それぞれ幹事会社を中心として,軽水炉に関し海外の大手企業(ゼネラル・エレクトリック社,ウェスチングハウス社等)と技術提携を行い,これに基づく技術導入により日本国内の原子力発電所建設を進め,軽水炉技術の蓄積に努めてきた。
 また,これらの産業グループは,国の研究開発プロジェクトへの参加を通して,新型転換炉,高速増殖炉などの新型炉,ウラン濃縮等の核燃料サイクル,さらには核融合等幅広い産業活動も行っている。
 我が国の原子力機器供給産業は,軽水炉分野について導入技術の消化吸収を達成し,日本型軽水炉の確立を目指して自主技術による軽水炉改良標準化計画を進め,技術的基盤を確固たるものにしている。さらに,信頼性及び経済性の向上に重点を置いた改良型軽水炉の開発等についても積極的に取り組んでいる。
 時代が低成長期に入り,また,国民の意識の中から原子力に対する不信感,不安感が依然として払拭されていないことも一因となり,電源立地が思うにまかせぬ状況が続いていることから,電気事業者の発注ペースは大幅に落ち,産業界にとっては苦しい状況が続いているが,近年,既設プラントの蒸気発生器をはじめとする機器取り換え需要が増大しており,新規発電所の建設業務と並んで発電所の保守・補修関連業務が産業の大きな市場となってきている。

 また,我が国の優れた技術力と良好な実績を反映して海外から原子力機器供給についての期待が高まっており,現在インドネシアで進められている原子力発電所建設計画において,日本の重電メーカを含む企業連合等が建設の提案とプレゼンテーションを行うなどの活動を展開している。また,今後,国際展開を図り,我が国の優れた技術力を積極的に示すことによって我が国の原子力開発に対する海外の理解も深まることが期待される。


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