第2章 新長期計画策定の背景としての内外の原子力開発利用の現状
10.原子力開発利用の推進基盤

(3)研究開発推進体制と研究基盤の高度化

 研究開発推進体制については,現在,主な政府関係研究開発機関として,日本原子力研究所,動力炉・核燃料開発事業団,理化学研究所の3つの特殊法人,放射線医学総合研究所,金属材料技術研究所,船舶技術研究所等の国立試験研究機関,(財)原子力発電技術機構,(財)電力中央研究所,(財)核物質管理センター及び(財)原子力環境整備センター等の公益法人があり,これらを始めとした各研究開発機関がそれぞれの適切な役割分担の下に能力や特長を十分に活用しつつ,基礎から応用段階まで計画的,総合的に研究開発を推進している。また,原子力の先端的研究開発分野を中心に,政府関係研究開発機関,民間,大学等の研究者の交流,共同研究の実施,研究用原子炉等の先端的かつ高度な研究を行うための設備・機器の共同利用等を通じた研究開発機関間の緊密な連携を図ることによって,その研究基盤を強化している。
 例えば,日本原子力研究所と理化学研究所が建設中の大型放射光施設(SPring-8)については,「特定放射光施設の共用の促進に関する法律」が1994年6月に公布,10月に施行され,利用課題の募集・選定,利用者に対する情報提供等の業務を実施する法人として,(財)高輝度光科学研究センター(JASRI)を指定し,SPring-8の共用の促進を図ることとしている。また,国内外の原子力分野の科学情報は著しく増加していることから,日本原子力研究所を中心とする国際原子力情報システム(INIS)等を通じた国内外の文献情報の流通促進,各種データベースの整備により研究機関間の情報流通体制の整備を図っている。


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