第2章 新長期計画策定の背景としての内外の原子力開発利用の現状
7.バックエンド対策

(2)原子力施設廃止措置対策

①原子力施設の廃止措置
 我が国における発電炉の廃止措置は1990年代後半以降に具体的に検討されるものと予想される。
 新しい長期計画においては,原子力施設の廃止措置は,原子力施設設置者の責任の下に行うこととし,その基本的考え方として,安全確保及び地域社会との協調を挙げ,さらに商業用発電炉の廃止措置については,原子炉の運転終了後できるだけ早い時期に解体撤去することを原則とし,解体撤去後の敷地の利用については地域との協調を図りつつ原子力発電所用地として有効利用することとしている。
 原子炉の廃止措置作業については,既存技術またはその改良により対応可能であるが,作業者の安全性の一層の向上を図る等の観点から技術の向上を図ることとしている。

 原子炉の廃止措置に係る技術開発は,1986年度から1995年度の予定で日本原子力研究所の動力試験炉(JPDR)の解体実地試験が実施されている。また,日本原子力研究所及び(財)原子力施設デコミッショニング研究協会において,解体技術の高度化が進められている。また,(財)原子力発電技術機構では解体技術の確証試験を実施している。
 また,再処理施設,燃料加工施設等の原子炉以外の原子力施設の廃止措置に際しては,放射化についてはほとんど考慮する必要がない一方,TRU核種及び核分裂生成物による汚染に対応するため,原子炉の廃止措置とは異なった観点からの技術開発が必要である。そのため,1990年度から日本原子力研究所の再処理試験施設(JRTF)をモデルとして再処理施設の解体技術開発が進められている。また,動力炉・核燃料開発事業団においても施設の更新,解体等のための技術開発が行われている。
 国際協力については,我が国は,OECD/NEAの「原子力施設のデコミッショニングプロジェクトに関する科学技術情報交換協力計画」に参加しており,日本原子力研究所を中心として廃止措置に関する情報交換を行っている。

②廃止措置により発生する廃棄物
 原子力施設の廃止措置により発生する廃棄物については,原子力施設設置者に,その処理処分を適切かつ確実に行う責任がある。当該廃棄物は,放射能レベルが幅広く分布していること,比較的短期間に大量に発生すること等の特徴を考慮した処理処分の合理化が重要である。また,廃棄物の減量,資源の有効利用の観点から,廃棄物を再利用することも重要である。日本原子力研究所及び(財)原子力施設デコミッショニング研究協会では,金属廃棄物の再利用に関する技術開発が行われている。


目次へ          第2章 第7節(3)へ