第2章 新長期計画策定の背景としての内外の原子力開発利用の現状
6.核燃料リサイクルの技術開発

(5)核燃料リサイクルをめぐる国際動向

 原子力平和利用を進める上で核燃料リサイクルを行うこととしている国は,フランス,英国,ドイツ,スイス,ベルギー及び日本等である。他方,核燃料リサイクルを行っていない国としては,米国,カナダ,スウェーデン等がある。核燃料リサイクルの選択は,それぞれの国ごとの事情によってなされるものであるが,核不拡散の動向やエネルギー資源の状況によるところが大きく,また,経済性の比較,環境への負荷度の評価も大きな要素であると考えられる。特にエネルギー資源の状況に関してはウラン資源の需給動向が大きな要素であり,今日の国際的なウラン需給の緩んだ状況は,各国の核燃料リサイクルヘの取組に影響を与えている。
 このような状況の中で,米国は1993年9月,不拡散政策及び輸出管理政策を発表し,「米国はプルトニウムの民生利用を奨励しない。したがって,自ら,発電用としても,また,核爆発目的のためにもプルトニウムの分離を行わない。しかしながら,米国は西欧と日本の民生用原子力計画におけるプルトニウム利用に関し,従来からのコミットメントを維持する。」との政策を示した。


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