第2章 新長期計画策定の背景としての内外の原子力開発利用の現状
6.核燃料リサイクルの技術開発

(4)核燃料物質等の輸送

 海外から我が国へ輸送される核燃料物質は,発電用低濃縮ウラン燃料の場合は,低濃縮ウランの原料となる天然六フッ化ウラン,海外で濃縮された六フッ化ウラン又は更に転換加工された二酸化ウラン粉末の形態で輸送されている。
 これらの核燃料物質は,加工事業所間においては,二酸化ウラン粉末又は六フッ化ウラン,また,加工事業所と原子力発電所等の間においては,新燃料集合体の形で輸送されている。
 使用済燃料については,東海再処理工場で再処理する場合は,各原子力発電所から,専用運搬船により東海再処理工場へ輸送されている。
 また,英国及びフランスに再処理を委託しているため,両国へも各原子力発電所から専用運搬船により輸送されている。
 低レベル放射性廃棄物については,(株)原燃輸送所有の専用運搬船「青栄丸」(総トン数約4,000トン)により全国の原子力発電所から六ケ所村の低レベル廃棄物埋設施設への輸送が行われている。
 英国及びフランスでの再処理により回収されたプルトニウムについては,我が国に返還輸送し核燃料として使用することとしており,高速増殖炉原型炉「もんじゅ」の取替燃料製造に使用する約1.1トンのプルトニウム(核分裂性)のフランスから日本への海上輸送が,輸送船「あかつき丸」により1992年秋から1993年初めにかけて安全かつ確実に実施された。また,同じく英国及びフランスでの再処理により発生する高レベル放射性廃棄物の我が国への返還については,フランスからの初回輸送が1995年2月後半頃に開始される計画となっている。
 なお,1993年11月に開催された第18回国際海事機関(IMO)において,使用済燃料,プルトニウム又は高レベル放射性廃棄物を運送する船舶についての国際安全基準が採択された。これは,海上輸送の安全性を高める観点から,歓迎すべきことであり,我が国としては,この基準に沿った船舶により輸送を行うこととしている。


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