第2章 新長期計画策定の背景としての内外の原子力開発利用の現状
6.核燃料リサイクルの技術開発

(1)使用済燃料の再処理

 我が国は,使用済燃料の再処理について,現在,動力炉・核燃料開発事業団東海再処理工場並びに英国核燃料公社(BNFL)及びCOGE-MA(フランス原子燃料サイクル会社)で再処理委託契約により実施している。
 我が国初の再処理工場である東海再処理工場は,動力炉・核燃料開発事業団により建設されたものであり,1981年1月から本格運転に入り今日に至っており,現在,年間70〜90トン程度の処理実績を達成している。これまでの使用済燃料の累計再処理量は,試験運転期間を含め1977年9月から1994年3月で,約720トンとなっている。
 また,日本原燃(株)は,1993年4月,青森県六ケ所村に年間再処理能力800トンの民間再処理工場の建設に着手し,2000年過ぎの操業開始を目指し建設工事を進めている。
 一方,我が国の電気事業者は,BNFL及びCOGEMAと再処理委託契約を結んでいる。具体的には,1994年3月現在,軽水炉使用済燃料については,BNFL及びCOGEMAに合計約5,600トンUの再処理委託契約を結んでいるほか,ガス炉使用済燃料については,BNFLに約1,500トンUの再処理の委託を契約している。これらの契約に基づき,1994年3月現在,軽水炉使用済燃料約5,000トンU及びガス炉使用済燃料1,200トンUが英国及びフランスに輸送されている。
 使用済燃料は,再処理されるまで適切に貯蔵・管理することとしており,各原子力発電所の貯蔵プールには,1994年3月現在,合計約3,900トンの使用済燃料が安全に保管されている。
 我が国における再処理技術に関する研究は,動力炉・核燃料開発事業団及び日本原子力研究所等において行われている。
 動力炉・核燃料開発事業団は,高速増殖炉燃料の再処理のプロセス・エンジニアリングの確立を図るため,工学規模のリサイクル機器試験施設(RETF)を2000年過ぎの運転開始を目標に諸準備を進めている。
 さらに,RETFと将来の実用プラントをつなぐ試験プラントについては,今後得られる新たな技術等の研究開発成果を踏まえることとし,2010年代半ばごろの運転開始を目標に,その建設計画を具体化していくこととしている。
 日本原子力研究所においては,燃料サイクル安全工学研究施設(NUCEF)を完成させ,臨界安全性に関する研究,高度化再処理プロセスに関する研究,TRU廃棄物の安全管理技術に関する研究等について,ホット試験*の準備を進めている。


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