第2章 新長期計画策定の背景としての内外の原子力開発利用の現状
3.情報公開と国民の理解の増進

(3)原子力に対する国民の理解の増進のための活動の状況

 全国各地で開催される勉強会への講師の派遣,電話により質問に答えるテレフォン質問箱,パソコン通信相談室といった対話型の活動,施設見学会や自然放射線を実際に測定する実験セミナーの開催や簡易型放射線測定器「はかるくん」の貸出しといった体験型の活動が中心となっているほか,パソコンゲームソフトの配布や漫画等による分かりやすいパンフレット等の配布が行われるとともに,テレビ・雑誌・新聞等のマスメディアを活用した広報も行われている。本年度は,新たに通商産業省資源エネルギー庁が,7月より「原子力発電ライブラリ」及び「原子力発電目安箱」を設置し,原子力発電の安全性に関する情報の公開と国民からの質問・意見の聴取を開始した。
 また,我が国では,広く国民一般の原子力平和利用についての理解と認識を深めることを目的として10月26日を「原子力の日」と定めている。このロは,1956年に我が国が国際原子力機関憲章に調印した日であるとともに,日本原子力研究所が1963年に我が国で初めて原子力による発電に成功した日である。昨年は30回目の原子力の日を記念して,科学技術庁と通商産業省資源エネルギー庁が共同し,公募により「原子力の日」のシンボルマークを選定した。
 1994年は,科学技術庁と通商産業省資源エネルギー庁が共同し,公募により「原子力の日」のポスターを選定した。
 さらに,これらの全国広報に加え,立地地域においても,施設の必要性,安全性に対する住民の疑問や不安に直接答えるべく,国の担当官や専門家が,各地で説明会・座談会を実施するなど,地域の事情に応じた,懇切丁寧な広報を心掛けている。
 従来より,原子力発電所の設置に当たって,通商産業省は広く地元住民から意見を聞くなど地元住民の理解と協力を得るために一次公開ヒアリングを開催している。さらに,原子力安全委員会が,行政庁の行った安全審査についての調査審議を行うに当たり,地元住民の意見等を聴取し,参酌することを目的として二次公開ヒアリングを開催している。


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