第1章 新しい長期計画の策定
3.新長期計画に基づく当面の原子力政策の展開

(高レベル放射性廃棄物対策)

1995年春にはフランスへの再処理委託によって生じた高レベル放射性廃棄物のガラス固化体の我が国への最初の輸送が予定されているが,この輸送と輸送されたガラス固化体の一時貯蔵の開始は今後の高レベル放射性廃棄物対策の展開を図る上で重要な意味を持つものである。このため,海外の懸念にも配慮し,我が国の計画や輸送の安全性等に係る情報の提供や広報活動を適切に実施していくことにより,これが内外の理解と協力を得て円滑に実施される必要がある。
 さらに,高レベル放射性廃棄物の地層処分については,処分実施主体の設立から処分場の操業に向けた手順と主要研究開発課題を新長期計画において示したが,その推進に当たっては処分方策全般についての透明性の向上に留意し,高レベル放射性廃棄物処分に関する調査・研究の成果を明らかにすること等を通じて国民の理解を得ていくことが必要である。特に研究開発の進展は地層処分実施の基礎となるとともに国民の理解を得る上でも極めて重要であり,研究開発の進捗状況を的確に把握し,その公な評価を通じて研究開発の到達度を適時に国民に明らかにしていく必要がある。


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