第1章 新しい長期計画の策定
3.新長期計画に基づく当面の原子力政策の展開

(国民の理解の増進と情報の公開,提供)

 新長期計画の策定過程においては国民各階各層からの意見の募集や「ご意見をきく会」の開催という新しい試みを行い,原子力委員会として長期計画を作り上げていく上で貴重な意見や視点が得られた。このような「国民参加型」ともいうべき意見交換の場は,また,原子力政策が国民の信頼感や支持を得て展開されていく上で重要な機会となることが認識された。
 今回の新長期計画の策定過程で設けたこれらの機会を通じて,情報の公開,情報の提供への一層の取組を望む強い声が聞かれた。情報の公開については核物質防護,核不拡散,財産権の保護に関する情報など非公開にすべきものはあるが,原子力の安全性に関する情報などについて公開がなされてきており,さらにはプルトニウムの管理状況に関する情報を今回初めて本書において公表しているが(第2章第1節(4)参照),今後とも一層の配慮が必要である。
 また,情報の提供の面では,国民が判断する際の基礎となる情報が適時的確に提供されていくことが重要であり,提供窓口の充実やその周知に一層努力するとともに今後は情報ネットワーク等の新しい媒体の活用にも留意する必要がある。さらに,情報の送り手がら受け手への単なる提供から進めて,「参加型」の意見交換の場を通じた情報提供という観点も重視していく必要がある。
 さらに,エネルギーや原子力に関する青少年に対する学習機会の確保・充実も今回の新長期計画策定過程における意見の募集等を通じて強かった意見の一つであり,情報の提供上で重要な課題と考えられる。


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