第1章 新しい長期計画の策定
3.新長期計画に基づく当面の原子力政策の展開

(我が国の原子力開発利用の大前提に対する認識)

 もとより,我が国の原子力開発利用は,平和利用の堅持と安全の確保を大前提に進めるものであり,新長期計画においてもこの点を改めて示した。
 平和利用の堅持の観点からは,今後とも我が国が核兵器を決して保有することはなく,制度上もこのことが確保されているとともに,そもそも核兵器の保有は我が国の平和と繁栄に何の利益もないということをあらゆる機会を通じて示していくことが重要であるが,原子力平和利用の透明性に対する国際的信頼の増進には,さらに不断の努力を傾注していくべきことを認識しなければならない。また安全の確保という観点からは,原子力施設の安全確保対策の充実,原子力防災対策の充実,安全研究の推進を図るとともに,高度な原子力安全文化の構築に努める。また,民生用原子力発電所の国際的な安全確保を目的に策定された「原子力の安全に関する条約」に1994年9月に署名したことを受けてその早期批准と発効に努めていく必要がある。


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