第II部 各論
第7章 放射線利用

2.放射性同位元素及び放射線発生装置の利用状況

 放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律(放射線障害防止法)に基づく放射性同位元素(RI)又は放射線発生装置の使用事業所は着実に増加しており,(図7・1)に示すように,1992年3月末現在,総数で5,006事業所に達している。これを機関別に見ると,民間企業1,875,研究機関948,医療機関820,教育機関416,その他の機関947である。

(1)RIの利用状況
 主な非密封RIの機関別使用数量は表7・1に示すとおりであり,医療機関におけるテクネチウム99mが大部分を占めている。また,これらの使用量の年度推移は表7・2に示すとおりで,体内診断用(インビボ)放射性医薬品におけるガリウム67,テクネチウム99m,ヨウ素123,ヨウ素131,タリウム201は増加傾向にある。特に,テクネチウム99m,ヨウ素123及びタリウム201は使用量が急増している。体外診断用(インビトロ)放射性医薬品については,利用核種の大部分はヨウ素125であり,使用量は近年横ばいの傾向にある。一方,教育・研究機関でそのほとんどが使用されているリン32,イオウ35の使用量は着実に伸びている。

 また,密封RIの使用事業所数は4,424であり,このうち民間企業における非破壊検査装置及び装備機器の使用状況を(表7・3)に示す。
 コバルト60はレベル計に,ニッケル63はガスクロマトグラフ装置に,クリプトン85は厚さ計に,ストロンチウム90はたばこ量目制御装置に,セシウム137はレベル計,密度計等に,イリジウム192は非破壊検査装置に,アメリシウム241は厚さ計,密度計等に主に使用されており,これらの核種を装備した機器の使用台数は漸増傾向にある。医療機関においては,コバルト60,ラジウム226等が密封小線源として利用されているほか,コバルト60及びセシウム137が遠隔照射治療装置として,また,コバルト60等が放射線滅菌用の大線源として利用されている。

(2)放射線発生装置の利用状況
 放射線障害防止法に定める放射線発生装置は,1992年3月末現在,875台に達している。放射線発生装置の利用状況は(表7・4)に示すとおりであり,その65%は医療機関に設置され,がん治療等に利用されている。また,20%が大学,研究機関等に設置され,様々な研究開発に利用されている。
 なお,放射線障害防止法の規制対象とならない低エネルギー電子加速器,イオン注入装置等も民間企業等に多数設置され,幅広く利用されている。


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