4.その他

(1)国際機関

1.国際原子力機関(International Atomic EnergyAgency)
1)概要
①沿革
1953.12.8  国際連合第8回総会において,アイゼンハワー米大統領提唱
1955.夏   8ヵ国憲章案起草
1956.2.27  国際原子力機関憲章起草会議(12ヵ国)開催
1956.4.18  機関憲章案採択
1956.10.26国際原子力機関憲章採択会議において最終的に採択
1956.10.26 日本を含む70ヵ国が憲章案に署名
1957.7.29  国際原子力機関憲章発効
②目的
 国際原子力機関の目的は,世界の平和,健康及び繁栄のための原子力の貢献を促進,増大することである。また機関は,その提供した援助がいかなる軍事的目的を助長するような方法でも利用されないように確保しなければならない。(IAEA憲章による)
③国際原子力機関憲章(StatuteofInternationalAtomicEnergyAgency)
(1957年7月29日発効。日本は1956年10月26日署名)
 有効期間:特に定めない。
 
 主な内容:(イ)国際原子力機関の設置,目的,組織,業務(第1条~第7条)
(ロ)情報交換の実施及び提供(第8条)
(ハ)物質の提供(第9条)
(ニ)役務,設備及び施設の提供(第10条)
(ホ)技術援助(フェローシップ,情報交換,専門家派遣,研究契約,訓練コース)(第11条)
(へ)保障措置の実施(第12条)
④国際原子力機関の特権及び免除に関する協定(AgreementonthePri-viledgesandImmunitiesofInternationalAtomicEnergyAgency)
(1963年4月18日発効,日本は1956年4月18日寄託)
 有効期間:国際原子力機関に加盟している期間
 
 主な内容:(イ)国際原子力機関に法人格を与える(第2条)
(ロ)財産等に関する訴訟,捜索,税等の免除(第3条)
(ハ)機関職員及び機関の任務を行う専門家に対する外交特権付与(第6条,第7条)
⑤組織
 機関は総会,理事会及び事務局をもって構成される。
 総 会……全加盟国の代表者で構成され,通常毎年1回開催される。
 理事会……1992年6月現在35ヵ国で構成され,そのうち13ヵ国は,理事会により指定され,他の22ヵ国は総会において選出されている。
 事務局……事務局は,事務局長及び科学者,技術者その他の人員を含む職員からなり,事務局長は,総会の承認を得たのち,理事会が4年の任期で任命する。
 組織は管理局の他,技術協力局,原子力エネルギー・安全局,研究・アイソトープ局及び保障措置局からなる。
⑥主な業務
(1)技術援助 (2)科学者,技術者の交換及び訓練 (3)核物質等が軍事目的に利用されないための保障措置の実施 (4)核物質,設備等の供与 (5)シンポジウム,パネル等の開催 (6)情報の交換の促進 (7)基準,協定,規定の作成 (8)研究活動の委託 (9)INIS
2.OECD原子力機関(OECDNuclearEnergyAgency=OECD-NEA)
1)概要
 OECDの前身であるOEEC時代に発足し,ヨーロッパ諸国のみを正メンバーとしていた本原子力機関は1970年OECD事務総長の提案により全OECD加盟国により構成されることとなった。
①沿革
1957.12 欧州原子力機関(ENEA)設立
1965.2  日本準加盟
1970.  加盟国拡大についての事務総長提案
1972.4  日本正式加盟,名称NEAに変更
②目的
 原子力平和利用における協力の発展を目的とし,そのために共同事業,共通サービス,技術協力,行政上及び規制上の問題の検討,各国法の調査,経済的側面の研究を行う。
③組織
 機関の運営は,OECD理事会の下にある運営委員会により行われる。運営委員会の下に各種専門委員会,ワーキンググループ等があり,運営委員会の仕事を助けている。
2)OECD-NEAの諸活動
①共同事業
・NEAデータバンク(イスイ・レ・ムリノー)…データ及びプログラムの共同利用
・メンバーとして関与しているもの…ハルデン計画,TMI-VIP計画,国際ストリパ計画他
②科学協力
 原子力関係の諸情報の交換を行うため,次の委員会及びスタディグループ等がある。(イ)原子力科学委員会(NSC) (ロ)放射線防護・公共保健委員会(CRPPH) (ハ)原子力施設安全性委員会(CS NI) (ニ)原子力規制活動委員会(CNRA) (ホ)原子力開発と核燃料サイクルに関する経済的及び技術的検討委員会(NDC) (へ)放射性廃棄物管理委員会(RWMC) (ト)原子力損害の第三者責任に関する政府専門家委員会


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