第10章 原子力産業
2.核燃料サイクル関連事業

(1)核燃料再転換・成型加工事業
 核燃料再転換・成型加工事業は,我が国の核燃料サイクル事業中,最も事業化の進んだ分野であり,ほぼ国産化が達成され,極めて高品質な製品を製造している。現在,我が国で核燃料再転換・成型加工を行っている会社は,三菱原子燃料(株),日本ニュクリア・フュエル(株),原子燃料工業(株)及び日本核燃料コンバージョン(株)の4社である。
 なお,ジルカロイ被覆管については,(株)神戸製鋼所,住友金属工業(株),三菱金属(株)によって,ほぼ国産化が達成されており,現在,ジルコニウム鉱石から被覆管等の製品に至る一貫した国産化体制の確立が図られている。

(2)ウラン濃縮・再処理等の核燃料サイクル関連事業
 民間における核燃料再転換・成型加工事業以外の核燃料サイクル関連の分野については,その事業化が進められているところである。
 ウラン濃縮については,1985年3月,電気事業者を中心に,日本原燃産業(株)が事業主体として設立された。同社は,青森県上北郡六ヶ所村における商業用プラントについて,1988年8月,加工事業の許可を受け,1992年3月,初年度分の150トンSWU/年の規模で操業を開始した。
 また,重電メーカー3社によって,原型プラント及び商業プラントに供給する遠心分離機を量産するためのウラン濃縮機器(株)が,1984年12月に設立され,これまでに数多くの遠心分離機を生産している。さら,新素材高性能遠心機の製造については,日本複合材料(株)が1987年12月に設立された。
 再処理については,商業用再処理施設の建設・運転を行う日本原燃サービス(株)が設立されており,青森県上北郡六ヶ所村における商業用再処理工場について,1989年3月再処理事業指定申請が提出され,現在原子力委員会及び原子力安全委員会において審査中である。
 なお,日本原燃産業(株)と日本原燃サービス(株)は,1992年7月合併し,日本原燃(株)となった。
 さらに,使用済燃料等の核燃料物質等の輸送については,原子力発電の開発の進展に応じ,今後ともますます拡大することが予想される。
 このような輸送の本格化に対応して,既に民間の専門の輸送関係業者が輸送事業等を行っているほか,軽水炉使用済燃料用輸送容器の国産化も進められる等,輸送の安全体制が整備され輸送事業は発展しつつある。


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