第6章 放射線利用
4.医療への利用

 医療においては,診断及び治療の両面で放射線が広く利用されており,目ざましい進展をみせている。

(1)診断
 放射線を利用した診断については,放射性同位元素(テクネチウム99m,ヨウ素 123等)をトレーサーとして利用した人体の部位(各種臓器,骨など)の働きや病巣の有無の診断及びX線等を利用したものがある。放射性同位元素のトレーサー利用は短寿命核種の開発利用,放射線計測技術等の進展により,近年,急速に発展している。また,X線診断は,臨床のすべての領域にわたって広く利用されており,最も重要な検査法の一つとなっている。特に,X線装置とコンピュータを結びつけたX線コンピュータ断層撮影装置(X線CT)は広く利用されており,医療に大きく役立っている。

(2)治療
 放射線を利用した治療については,悪性腫瘍が主な治療対象となっており,現在,X線,γ線及び電子線による治療が実用化されている。
 放射線治療に用いられている線源及び発生装置は,イリジウム192等の密封小線源,コバルト60を用いた遠隔照射治療装置,直線加速器(リニアック),ベータトロン等の加速器である。


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