第6章 放射線利用
1.放射線利用の動向

 放射性同位元素(R1)から放出される放射線又は放射線発生装置で人工的に発生させる放射線を利用する方法としては,大別して,物質の挙動を追跡するトレーサー利用と放射線の物理的,化学的作用を利用する線源利用種類があり,農林水産業,工業,医療等の多くの分野で利用されている。
 近年,利用範囲の拡大に伴い,放射性同位元素や各種放射線発生装置を利用する事業所が増加しており,放射性同位元素利用技術はますます重要なものになってきている。
 放射性同位元素は,外国から輸入されているほか,日本原子力研究所・放射線医学総合研究所及び民間企業において製造されている日本原子力研究所は,需要の多い核種及び輸入に依存することの困難な短寿命核種に重点をおいて生産しており,放射線医学総合研究所は,医用サイクロトロンを用い,短寿命放射性薬剤の製造技術の研究開発を進めている。
 我が国で使用されている非密封放射性同位元素の使用量を(表6・1)に示す。
 一方,放射線障害防止法に定める放射線発生装置は,1991年3月末現在,873台に達しており,過去5年で約38%の増加を示している。放射線発生装置の62%は医療機関に設置され,がん治療等に利用されこおり,また,16%が大学国公立又は民間企業等の試験研究所に設置され,さまざまな研究開発に利用されている。放射線発生装置の利用状況を(表6・2)に示す。


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