第2章 核燃料サイクル
1.ウラン資源

(1)世界のウラン資源量と日本の必要量
 1989年の非共産圏の1ポンド当たり50ドル以下で回収可能な確認資源量は,約300万ショートトンである。
 1988年の非共産圏諸国のウラン必要量は約5万5千ショートトン,その年のウラン生産量は,約5万ショートトンであった。1987年以降,必要量が生産量を上回る状況になっており,その差分については過去の在庫の取り崩しで補われていると考えられている。1991年の日本のウラン必要量は,約1万百ショートトンで,世界のウラン必要量の16%となっている。これらのウランは全てカナダ,オーストラリア,アフリカ等から輸入している。我が国の電気事業者は,カナダ,英国,オーストラリア等から主として長期契約等により約19万ショートトン,また,ニジェール及びオーストラリアの開発輸入分として約4万ショートトン,計約23万ショートトンの天然ウランを確保している。
 このように,日本は世界のウラン資源のかなりの量を消費していることから,海外のウラン鉱山から製品としてウランを購入するのではなく,原子力利用国として自主的な調査探鉱活動を通して,世界のウラン資源量の増大と市場の安定化に貢献する必要がある。
(2)ウラン資源の調査探鉱
 海外における我が国のウラン資源の調査探鉱活動は,動力炉.核燃料開発事業団及び民間企業によって行われている。動力炉・核燃料開発事業団は,1991年度には,カナダ,オーストラリア,アフリカ諸国,中国等において単独又は海外企業と共同にょる調査・探鉱を実施しており,カナダ,オーストラリア及びジンバブエにおいて有望な成果が得られつつある。このうち,カナダのドーンレイク地区のミッドウェスト鉱床は,1991年2月に海外ウラン資源開発(株)(OURD)に譲渡された。
 まな,我が国の民間会社もカナダ及びオーストラリアにおいて活動を行っている。出光興産(株)は,1982年からカナダのシガーレイク地区でフランス,カナダ等の鉱山会社と調査探鉱を行っており,高品位の鉱床を発見し,現在,企業化調査を実施中である。さらに,同社は,西オーストラリア州のパターソン地区においても外国企業と共同調査を実施中である。さらに,同社は西オーストラリア州のパターソン地区においても外国企業と共同調査を実施中である。

(3)製錬・転換技術の開発
 製錬・転換技術に関しては,動力炉・核燃料開発事業団において,ウラン鉱石からイエローケーキを経ずに,一挙に四フッ化ウランを製錬する技術が開発され,さらに,これに続けて六フッ化ウランまで転換する技術が開発されてきた。
 この技術はイエローケーキからの製錬・転換にも応用ができるものであり,この実用化のために製錬・転換パイロットプラント(六フッ化ウラン製造能力200トンU/年)の試験運転が1982年3月から行われ,主要な試験を1988年3月に終了した。さらに,将来の回収ウランの利用に備え,本施設を活用した回収ウランの転換試験が行われおり,1992年3月までに44トンが処理され,また,今後大規模試験が行われる計画である。


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