第4章 新型動力炉の開発
1.高速増殖炉

(3)実証炉の開発

 原型炉に続く実証炉の開発については,動力炉・核燃料開発事業団において1975年より,また,電気事業者において1978年より概念設計が実施されてきた他,(財)電力中央研究所においても概念の確立に必要な研究が進められてきた。
 原子力委員会は,1987年6月に「原子力開発利用長期計画」をとりまとめ,その中で今後の高速増殖炉開発の長期的な進め方を示した。すなわち,実証炉の設計・建設・運転については電気事業者が動力炉・核燃料開発事業団との密接な連携の下に,主体的役割りを果たすこととし,関連する研究開発については,電気事業者,動力炉・核燃料開発事業団,その他関連する研究開発機関等が,それぞれの役割りに即し,整合性を持って進めることとされた。また,これら実証炉開発の具体的展開は原子力委員会の高速増殖炉開発計画専門部会において引き続き審議を進めることとされ,同部会はその第一歩として1988年8月「高速増殖炉研究開発の進め方」をまとめた。
 さらに,電気事業者においては,実証炉の設計・建設・運転主体を日本原子力発電(株)とし,同社を中心に電力が行う実証炉関係の研究開発,実証炉の基本仕様の選定等を行うこととしている。1990年6月,電気事業者は当面トップエントリ方式ループ型炉の技術的成立性の確認を主たる目的とした,実証炉の予備的概念設計研究を進めていくことを決定した。
 現在,日本原子力発電(株)において,1992年3月の完了を目指して進められている。

 また,我が国としての高速増殖炉開発を一本化して推進するため動力炉・核燃料開発事業団,日本原子力発電(株),日本原子力研究所,(財)電力中央研究所の四者は,1986年7月,高速増殖炉研究開発運営委員会を発足させ,実証炉以降の研究開発を我が国の開発方針に基づき四者で協議・調整し効率的に分担して進めることとし,高速増殖炉中長期研究開発課題について検討を実施している。
 さらに,動力炉・核燃料開発事業団と日本原子力発電(株の間で実証炉の開発をより円滑,効率的に進めることを目的に,1989年3月に「高速増殖実証炉の研究開発に関する技術協力基本協定」が締結され,具体的協力を進めている。


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