第3章 安全の確保及び環境保全
1.原子炉施設等の安全確保

(3)放射性同位元素等の取扱いに係る安全確保

①許可及び届出並びに安全管理
 放射性同位元素等の取扱いに伴う安全性の確保については,「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律」(放射線障害防止法)等に基づき許認可等の厳正な審査,立入検査,監督指導等所要の規制が行われている。なお,1990年度末の放射性同位元素等の使用事業所数は4,921事業所,販売事業所数は210事業所,廃棄事業所数は12事業所となっており,使用,販売,廃棄事業所の総計は5,143事業所となっている。
 また,1990年度における放射性同位元素等に係る事故は,愛知県の名古屋大学理学部及び兵庫県の灘神戸生活協同組合におけるガスクロマトグラフの所在不明,東京医科大学病院における密封小線源の所在不明の計3件であった。これらについては,立入検査等を実施するとともに,所要の措置を指示した。
 また,1990年1月に判明した東京大学医学部附属病院における土壌等の汚染については,1990年5月から汚染土壌の除去作業が開始され,1991年5月までに復旧作業が終了した。

②輸送の安全確保
 放射性同位元素等の輸送は,陸上輸送については放射線障害防止法,海上輸送については船舶安全法,航空輸送については航空法に基づき規制が行われており,放射線障害防止法により,陸上における一定レベル以上のものの運搬について科学技術庁及び運輸省による確認を受けるほか都道府県公安委員会に届出をする等の規制が行われている。
 また,1990年11月28日付けでIAEA輸送規則(1985年版)を関係法令に取り入れた。

③廃棄物処理処分
 放射性同位元素取扱事業所で発生する極低レベルの液体状及び気体状の放射性廃棄物については,必要に応じ適切な処理を施し,法令に定められた基準値を十分に下回ることを確認したのち,環境中に放出している。
 また,液体状及び固体状の放射性廃棄物のうち,各事業所で処理処分することが困難なものについては,一時,各事業所の保管廃棄設備に保管された後,廃棄業者である(社)日本アイソトープ協会に引き渡されている。


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