第2章 核燃料サイクル
(参考)諸外国の動向

(2)再処理

①米国
 米国の再処理工場については,モーリスの工場が1974年に,ウェストバレーの工場が1976年に運転を断念し,またバーンウェルの工場が1983年に建設計画を断念した。

②フランス
 フランスの再処理工場は,マルクールとラ・アーグの2ヵ所にある。マルクールでは,1958年以来UPl工場が運転中であり,1988年までに累計約3,500トンの使用済燃料を処理している。
 ラ・アーグでは,1966年から天然ウラン燃料(ガス炉燃料)800トンU/年の処理能力を有するUP2工場の運転が開始された。1976年には,これに処理能力400トンU/年の濃縮ウラン燃料(軽水炉燃料)用前処理施設HAOが付加され,以降,ガス炉燃料及び軽水炉燃料の両方の再処理が行われた。1987年にUP2工場の天然ウラン燃料用前処理施設が閉鎖され,それ以来,軽水炉燃料専用の再処理工場(UP2-400)として稼動し,現在に至っている。UP2及びUP2-400工場の処理実績は,1991年3月現在,累計で約8,200トン(うち軽水炉燃料は約3,300トン)である。
 さらに,軽水炉燃料の処理能力を800トンU/年に増大させるため,1993年の運転開始を目指し,前処理施設等の建設が行われている。(完成すれば,UP2-800として稼動。)また,外国からの委託再処理を行うためラ・アーグに建設中のUP3工場(処理能力:軽水炉燃料800トンU/年)は,1989年11月に前処理工程を除いた部分の運転を開始し,1990年8月に全面運開した。

③英国
 英国の再処理工場は,英国核燃料会社(BNFL)が所管し,セラフィールドに天然ウラン燃料を再処理するため処理規模1,500トンU/年の工場が運転中である。また,セラフィールドにおいて外国から委託再処理のため1992年頃の運転開始を目指し,THORP工場(処理能力:軽水炉燃料1,200トンU/年)の建設を進めている。

④ドイツ
 ドイツでは,原子力発電所から発生する使用済燃料の再処理を実施するため,主要電力会社12社によりドイツ核燃料再処理会社(DWK)が設立された。
 DWK社は,カールスルーエにおいて1971年以来運転していた再処理用実験プラントWAK(処理能力:軽水炉燃料35トンU/年)の運転経験を基に,バイエルン州バッカースドルフにおいて,商業用再処理工場WAW(処理能力:軽水炉燃料350~500トンU/年)の建設を進めていたが,再処理はフランス等との協力で行う方針の下,1989年6月,WAWの建設計画の放棄を決めた。
 なお,WAKについては,WAW建設計画の放棄に伴い,1990年12月に運転を終了した。


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