第9章 核不拡散
3.保障措置

(2)保障措置の実施状況

 保障措置は主に核物質の計量・管理,封じ込め・監視及び査察から成り立っている。その仕組みを図に示す。((図9・2保障措置の仕組み))
 これに基づき1989年度に実施された保障措置活動は下記のとおりである。

①計量管理報告及び情報処理
 原子力事業者は,原子炉等規制法に基づき,国に在庫変動報告,物質収支報告及び実在庫量明細表等を提出することが義務づけられている。1989年度の報告件数及びそれらに含まれるデータの処理件数は,表のとおりである。

 また,我が国における1989年の核物質の流れは図のとおりである。((図9・3核燃料物質移動量(1989年)))
 一方,指定情報処理機関である(財)核物質管理センターの情報処理システムに関し,情報量の増加等に対処するため,データベース管理システムの整備・充実を図っている。

②査察
 我が国の原子力施設に対しては,政府による国内査察を基本とし,さらにIAEAによる国際査察が実施されている。1989年12月末現在における保障措置対象施設数及び1989年における国内査察実績は表のとおりである。なお,1989年に我が国及びIAEAが我が国の原子力施設に対して実施した保障措置の結果,核物質の平和目的以外への転用を示す異常な事実は皆無であったとの結論が得られている。

③保障措置分析
 1989年度においては,(財)核物質管理センター保障措置分析所においてウラン関係試料107個,プルトニウム関係試料309個の分析を行った。
 また,査察時にも非破壊測定を行った。これに加えて,合理化のため,プルトニウムの自動分析装置を用いた測定手法の検討を行った。


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