第8章 国際協力活動
1,先進国との国際協力

(3)国際機関との協力

①国際原子力機関(IAEA)
 我が国は,保障措置,放射性物質輸送基準,原子力安全,原子力情報システム,放射性廃棄物管理,核融合等IAEAの主催する原子力に関する各種シンポジウム,専門家会合等に多数の専門家を派遣し,また,我が国でこれら会合を開催し,情報の収集と交換を行っている。また,RCA計画等を通して開発途上国援助に関する協力やIAEAが行う保障措置の改善を支援することを目的とした対IAEA保障措置支援計画OASPAS)や大型再処理施設保障措置に関する検討(LASCAR)計画による協力を行っている。

②経済協力開発機構原子力機関(OECD/NEA)
 OECD/NEAにおいては,原子力施設の安全性,放射性廃棄物管理,原子力の開発と核燃料サイクルの経済的,技術的検討,並びに放射線防護及び公共保健の4分野を中心として技術的側面を主体に,これに政策的側面を併せた活動が行われている。また,1989年4月から今後5年から10年を展望して,NEAが今後取り組むべき課題,効率的な事業の進め方等について長期計画の策定を開始し,1990年4月に長期計画がまとめられた。
 我が国は「ハルデン計画(プラント制御法及び計算機の応用に関する研究並びに燃料の性能及び信頼性に関する研究)」,「国際ストリパ計画(放射性廃棄物の地層処分に関する試験研究)」,「NEAデータバンク活動」,「TMI-2原子炉圧力容器調査計画」,「デコミショニング技術情報交換協力計画」等のプロジェクト等に参加し,共同実験,情報交換,専門家の派遣等を行っているほか,NEAの主催する各種委員会,シンポジウム,専門家会合等に多数の専門家を派遣し,意見交換,情報収集等を行っている。また,我が国から提案した「核種分離・消滅処理等に関する情報交換の国際協力計画」(通称:オメガ計画)が1989年6月発足した。なお,植松邦彦博士(前動力炉・核燃料開発事業団理事)が,1988年10月から事務局長に就任している。

③国際エネルギー機関(IEA)
 我が国は,IEAの場を通じて,核融合研究等に関し,「逆磁場ピンチ研究開発計画」,「TEXTOR計画(プラズマと壁面の相互作用の研究)」を行っているほか,「核融合材料照射損傷計画」,「三大トカマク協力計画」,「エネルギー技術情報交換計画」においては,日本原子力研究所等が締約者として政府に指定され,各種協力を行っている。


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