第3章 安全の確保及び環境保全
2.原子力の安全研究

(2)環境放射能の安全研究

 原子力利用の本格化に伴い,国民の健康と安全の確保を図るとの見地から低線量放射線の人体への影響に関する研究,原子力施設に起因する放射能による人体への被ばく線量の推定評価に関する研究など,環境放射能に関する安全研究は,ますます重要になってきている。

 これらの環境放射能の安全研究は,各研究機関の有機的連携を保ちつつ,総合的,体系的な観点に立ってこれを推進することが重要である。
 このような観点に立つて,原子力安全委員会環境放射能安全研究専門部会は,環境放射能安全研究年次計画(昭和61年度〜平成2年度)を取りまとめた。環境線量,生物影響,特定核種の内部被ばく及び安全評価の4分野にわたり,今後推進すべき安全研究課題等を定めている。
 上記年次計画については,1988年3月に原子力安全委員会のソ連原子力発電所事故調査特別委員会報告書の指摘を反映するため見直しがなされ,現在,これに沿って放射線医学総合研究所を中心に,日本原子力研究所,動力炉・核燃料開発事業団,国立試験研究機関等において研究が実施されている。
 尚,平成3年度以後,推進すべき研究課題をまとめた新しい環境放射能安全研究年次計画(平成3年度〜平成7年度)が本年9月に策定され,研究の一層の推進がはかられることとなった。


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