第9章 核不拡散
4.核物質防護

(2)我が国における核物質防護

 原子力委員会核物質防護専門部会は,我が国の国情に即した核物質防護の在り方について調査検討を行い報告書を取りまとめた。これを受けて原子力委員会は「我が国における核物質防護体制の整備について」(1981年3月)を決定した。
 その内容は,
① 関係行政機関においては,同報告書に示された内容を指針として,今後の核物質防護施策を進めること。
② 関係行政機関においては,必要に応じ核物質防護に係る法令整備等の体制整備を図ること。
③ 核物質防護条約については,批准に備え国際動向に留意しつつ,諸般の整備を進めること。
である。
 我が国においては,核物質防護専門部会報告書に沿った形で,従来より,関係行政機関において核物質防護のための所要の施策が実施されてきたところであるが,核物質の防護に関する条約への加入にあたり,核物質の防護に更に万全を期するため1988年5月原子炉等規制法の一部改正が行われた。
 その内容は,核物質を取り扱う事業者等に対し
① 核物質の防護のために必要な措置を講ずること
② 核物質防護規定を定め,認可を受けること
③ 核物質防護管理者を選任すること
を義務づけること等である
 その後,同法実施のために必要な政令,規則等の整備が行われ,核物質防護のための具体的な技術基準,核物質防護規定に記載すべき事項,核物質防護管理者の要件等が規定された。これらの法令については,輸送中の防護に関する部分が1988年11月に,原子力施設の防護に関する部分が1989年5月にそれぞれ施行された。


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