第6章 放射線利用
2.農林水産業への利用

(2)害虫防除

 不妊虫放飼法により害虫防除が行われている。この方法は,コバルト60のガンマ線照射によって不妊化した虫を大量に野外に放飼することにより,野外の健全虫が正常な交尾をする機会を減少させ,正常な産卵を抑制し,次世代の個体数を減少させることを数世代にわたって繰り返し,根絶に至らしめるものであり,人体及び環境への影響のない画期的な方法である。この方法により,沖縄県久米島のウリミバエについては1978年に,小笠原諸島のミカンコミバエについては1985年に根絶に成功している。また,南西諸島全域のウリミバエを根絶するため,1982〜84年名瀬市に,1980〜86年那覇市にウリミバエ不妊虫大量増殖施設をそれぞれ建設し,1987年に宮古群島で,1989年までに奄美群島全域でそれぞれ根絶に成功している。現在,沖縄群島で不妊虫放飼による根絶防除が行われている。


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