第1章 原子力発電
3.原子力発電所の立地関連状況

(1)原子力発電所の立地をとりまく状況

 近年の原子力発電所の立地の進展状況をみると,全体的に,電源開発基本計画への組み入れは,電力施設計画の予定に比べて遅れぎみであり,また,電源開発基本計画に組み込まれた後も着工が予定に比べて遅れぎみである。
 なお,1973年以来,軽水型原子炉の設置許可処分に関し,5件の行政訴訟が係属中であり,7件の設置許可処分に対して合計16件の異議申立てが行われている。(1988年10月現在)これまで,伊方発電所(1号炉)設置許可処分に関して松山地方裁判所及び高松高等裁判所において,福島第二原子力発電所設置許可処分に関して福島地方裁判所において,並びに東海第二発電所設置許可処分に関して水戸地方裁判所において判決が言い渡されており,いずれも原告らの請求を棄却している。
 なお,1985年9月,動力炉・核燃料開発事業団の高速増殖炉原型炉「もんじゅ」に関し,原子炉設置許可処分の無効確認請求訴訟(行政訴訟)及び原子炉建設・運転の差止め請求訴訟(民事訴訟)が福井地方裁判所に併合提起された。これに対し裁判所は行政訴訟を分離し,行政訴訟については1987年12月25日,原告らに無効確認を求める訴えの利益がないとして,訴えを却下した。これを不服とする原告らは即日控訴し,名古屋高等裁判所金沢支部は1989年7月19日に,控訴人(原告ら)の一部に原告適格を認める旨の判決を言い渡した。これに対し,原告側,国側ともに判決の一部を不服として1989年8月1日に上告を行った。また,1986年5月20日には,同原子炉に関する同年3月25日の原子炉設置変更許可処分に対する異議申立てが提起された。


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