第3章 我が国における原子力開発利用の展開
2.放射線利用の推進

(5)研究利用

 放射線利用の一層の高度化を目指した新たな展開を図るための研究が国立試験研究機関を中心に進められている。日本原子力研究所は,現在,多目的イオン照射施設を建設しており,核融合炉用材料,半導体素子の宇宙放射線による劣化の研究,バイオ技術の開発研究等を行うこととしている。また,日本原子力研究所及び理化学研究所は,高輝度シンクロトロン放射光(SOR)による物質・材料系科学技術,ライフサイエンス,情報・電子系科学技術等,広範な分野の研究を行うことを目的として,兵庫県播磨科学都市において1995年の完成を目指し大型放射光施設の建設を計画している。
 理化学研究所は,線形加速器及びリングサイクロトロンを用いて,物理,化学,生物学及びその学際領域にわたる重イオン科学の研究を進めている。さらに,1989年3月に,前段加速器であるAVFサイクロトロンが完成し,同年7月には世界最高の加速性能を達成し,内外の注目を集めている。


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